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続けて。魔王は私が倒すから  作者: 遠海 流


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 激しくぶつかり合う光と闇の光。まだファリナの魔法が闇と決まったわけではないが、あんなどす黒い魔法陣、善良な僧侶はまず出せないだろう。勇者を裏切って敵と駆け落ちしただけあって、性根が腐っている。


 「ミアちゃん、これ以上は危険よ!こんな狭い場所で戦ったら洞窟が崩落するわ!」


 すでに壁や天井は穴だらけで、砕けた岩の破片があちこちに転がっていた。通気性の悪い洞窟内に砂埃が舞い、ステラはげほげほとせき込む。


 「先に手を出したのはそっちでしょ!」


 「だからあれは作戦なんだって。しかも考えたの私じゃなくてチロルちゃんだし」


 死んだふりを続けるチロルをミアが睨みつけたが、今の怒りの矛先はファリナに向けられているらしい。すぐにファリナに視線を戻し、先ほどより大きな魔法陣を出現させた。


 「目の前で恋人を…、あんなふうにされる気持ち、考えたことありますか!」


 「あいにく私には分からないわ。いつも私は寝取る側だったから」


 「最低!」


 ファリナへの憎しみがミアの魔力を増大させ、洞窟の岩壁をごっそり削った。このままでは本当に崩落しかねない。


 二人の僧侶の争いは、海賊による砲弾の打ち合いのようだった。絶え間なく繰り出される光線。互いの魔法がぶつかり合って相殺してくれればいいのだが、全部が全部そうなるわけではない。狙いが外れた魔法が洞窟を破壊していくと、そこに住んでいた生物たちが驚いて、我先にと逃げ出していった。見たことのないトカゲのような魔物が、短い足をばたつかせながら必死に走っていく。


 「いい加減にしなさいよ、恋人の耳舐められたくらいでピーピーと!」

 

 「舐めただけじゃないでしょ!リュカ様にあんな、あんな顔させて…」


 「リュカちゃんが弱すぎるのも問題なんじゃない?まだ私とチロルちゃんだったから良かったけど、敵に同じことされてもあんなふうになっちゃうんじゃ、この先思いやられるわ」


 ファリナの言うことにも一理があるが、肉体と違って耳の弱さを克服するのは無理だろう。高すぎる戦闘能力や顔の美しさと引き換えに、神が与えたペナルティと思うしかない。


 「うるさい、この…不純な僧侶め!存在が神への冒涜!」


 「はあ?奥ゆかしさみたいなのを勘違いしてない?あなたみたいにいつまでも恋人と一線超えられないような臆病者はね、戦いでも生き残れないわよ!」


 魔法での戦いは、いつの間にか舌戦に変わっていた。

 「こっちは時間をかけて愛を育んでるんです!」


 「かけすぎでしょ!ステラちゃんから聞いたわ。もう半年くらい経つのに、あと一歩のところから全然進展してないって。私なら3日、いえ、1日あればリュカちゃんを落せる自信あるけどね?」


 「リュカ様はそんな軽い女じゃありませんから」


 「どうかしらね。ああいうタイプって、案外色仕掛けに弱いものよ。私が本気を出せば、コロッといっちゃうんじゃいかしら」


 「それ以上の侮辱は許しませんよ」


 「いいわ。もっと本気でかかってきなさい」


 「おいファリナ、大人気ないぞ!なに挑発してるんだ。ミアを止めてくれよ!」


 この状況を収められるのはファリナしかいない。というかミアを怒らせた原因なのだから、死んでも収めてもらわないといけない。


 「悪いわねステラちゃん。僧侶には引けない時ってのがあるのよ」


 「今じゃねえだろ」


 「年下の小娘に舐められるわけにはいかないの。僧侶としての格の違い、年の功ってのを見せてあげるわ」


 ファリナの背後に黒い魔法陣が二つ、三つ…。あっという間に目で追えなくなるほどの数が浮き上がった。


 それら全てから一斉に光が放たれ、洞窟は完全に崩落した。

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