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 「ステラ様も黙ってないで、なんとか言ってください!私たちと旅を続けるんですよね?」


 「私と一緒に来るよな、ステラ」


 「え、え、私が決めるの?」


 提示されたのは二つの選択肢だった。ミアとリュカの二人と一緒に魔王討伐の旅を続けるか。それとも、昔のようにカリンと一緒に行くか。どちらかを選ぶと、もう片方と別れなければならない。


 「四人でパーティーを組むっていうのはどうなの?」


 ステラの思いつく限り最も平和的な落としどころだったが、ミアとカリンは同時に首を横に振った。リュカも同意を示すように、ミアの肩に手を置く。


 「あー…、ダメっぽい?」


 「ダメですそんなの。この人と一緒に旅するなんて無理です。普段のステラ様だけでも厄介なのに、さらに面倒なのが増えるじゃないですか」


 「カリン様がいると、ステラがずっと猫をかぶっているというか、落ち着かないんですよ。私たちの知ってるステラ様に戻ってもらわないと」


 リュカからすれば猫をかぶっているように見えるかもしれないが、こっちが本当のステラだ。確かにカリンがパーティーに加われば、ミアたちに見せていた偽りの人格は出てくる機会を失い、完全に消えるだろう。


 「お前らにギャーギャー言う権利はねえよ。決めるのはステラだ。なあ、どうすんだ。私よりもこいつらといるほうが楽しいのか?」


 「そんな聞き方、ずるい。あの二人との時間も大切だし、でもカリンとも一緒にいたい。私が決められないの分かってるくせに」

 

 カリンはふっと肩の力を抜いて笑った。


 「お前はそういうやつだよな。物事をズバッと決めるほど思い切りがなくて、昔からうじうじしてばっかりだった。私は知らないが、お前ら三人の間にもそれなりの絆、みたいなのが生まれてるんだろ。それ全部捨てて、私のところに戻ってこいってのも、まあちょっと意地悪かもな。でもちっこいのが言う通り、私も四人パーティーを組むつもりはない!」


 「ほお、上等ですよ。こっちも二匹目の獣を飼う予定はないんで!」


 「誰が獣だ、このガキ…」


 にらみ合いを始めた小動物と肉食獣に、ステラが割って入った。


 「分かった。一晩だけ時間をちょうだい。明日の朝には結論を出すから」

 

 言ってしまった。もう引き返せない。自ら設けたタイムリミットまで、残り二十四時間。泣いても笑っても、どちらか一方と別れなければならないのだ。


 「いいんだな、それで」


 「うん。だから一日待って」


 「あ、あの!」


 ミアが地団太を踏み、ステラの注意を引き付ける。


 「私まだステラ様と行きたいところもたくさんありますし、もっと色んな戦いも経験したいです。せっかく出会えたのに、ここでお別れなんて嫌です」


 「ミア…」


 「私も、まだステラ様に救われた事への恩返しが出来ていません。あの時ステラ様が助け出してくれなかったら、今頃騎士団の面汚しとして処刑されていたかもしれないんです」


 恩を着せたつもりはなかったが、ステラを引き留める建前ではなく、本音でそう思っていそうなのがリュカだ。実に義理堅い戦士である。


 「お前らずるいぞ!そうやってステラの同情を引くのは反則だろ。はい、解散解散。明日の朝にここで集まって、ステラの答えを聞こうじゃないか」


 一人になってみると、色んな音が聞こえてきた。行き交う人々の話し声、噴水から吹き出る水の音。いつも誰かと一緒にいるのが当たり前になっていたステラの耳には、世界の音が少しうるさく感じた。

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