第二十八話「過去からの刺客」
遅れたぜ。(*■∀■*)
-1-
部屋の中では、重い沈黙が支配していた。
「…………」
ルール公開から数時間。シミュレーションルームに戻って来て打ち合わせを再開した俺は、それに合わせてミナミにしたように情報の一部を開示したのだが、これはその反応である。
ちなみに、戻って来た直後の単にルール確認だけをした状態だと、妹ミナミは『だいたい予想通り』と言わんばかりの表情だったのだが、開示後はアルジェント含めて絶句している。
俺もそうだったが、どっちのミナミも、アルジェントも、多分他の誰に見せても同じ箇所に反応するだろう。
……公開されたイベントルールで言うところの、怪人の強化システム追加という部分だ。
アレではヒーローと怪人の、と記載していたが、ヒーロー側の強化システムの詳細は俺も知らない。そして、それは怪人側でしか成立しないモノだから、同じであるはずもない。
「コレは……強化なんですか?」
「まあ、強くはなるわな」
実際、切り札ではある。発動条件が死ぬよりはマシってモノではあるが、それはあくまで人間から見たからであって、怪人の価値観からすればまた別だ。
それは命どころか自身の存在価値すら燃やし尽くす最後の灯火。蝋燭が燃え尽きる直前に強く輝く現象そのものなのだから。
最初に聞かされた時、かぐやにも言われたが、強化ではあるんだろう。
「今後出現する怪人の何割がコレを使うかは分からない。条件が厳しいからそもそも使えるかって問題もあるが、代償的に躊躇はするだろうからだ」
「でも、ここでコレを出してきたって事は……」
「そうだ。イベント中、確実に数例は出てくる事になるんだろうな」
特に終了条件として設定されているS級怪人、侵略怪人バルバロッサ。アレは確実にその対象だろう。
しかも、すべてと書かれているあたり爆弾怪人やアンチ・ヒーローズのような複数体というのがまたそれっぽい。
『S級が使ってこようが、マスカレイドさんなら楽勝ですよね?』
「多分な。そこは問題じゃないんだが」
『そうなんですよねー』
天下無敵のバグであるマスカレイドさんなら、切り札を使われようが別段他の怪人と変わらない。発動条件を満たすのも厳しいが、発動されたところでだ。
これが問題となるのは他のヒーロー。そして、人間に対してだ。……そう、このイベントでは人間への影響も狙っている。というよりもそれがメインだろう。
元々強くて勝ち目のない相手が強くなったところで、という話にはならない。コレはそういう類のものだ。
「俺の脳内シミュレーションだと、全体の影響としては大きくないと思うんだよ。特に戦略的な意味だと」
「これで……ですか?」
「術中にハマってるぞ、妹ミナミ。それじゃ思う壺だ」
「……そうか、確かに。そういう事か」
「いや、その理解スピードも早過ぎだが」
コレで投入されるのは単に超強力な個体でしかない。
しかし、あまりにインパクトが強いが故に、それに評価が引っ張られる。言ってみれば、これまでのS級怪人のような特化戦力が一体出現するだけなのに。
ここでの問題は、おそらく発動するのがS級でなくとも可能という点だ。どこまでが対象かは分からないが、少なくともA級は確実。これは確かに脅威ではある。
ヒーロー・ネットで確認できる限り、A級怪人は多い。基本的に降格はなく上がるだけなら、生き残るだけでそうなるのが当然と言えば当然だが、とにかく多い。A級怪人が使用できるシステムなら、これだけの数が使ってくる可能性があるという事でもある。
「俺としては、コレの影響を最低限に留めたい」
『あれ、ひょっとしてマスカレイドさんがイベント開始直後は様子見するって、以前から言ったたのは……』
「コレへの対策だ」
以前から、俺はイベント開始直後に静観する旨を近い関係者に伝えていた。少なくとも、第二次グランドイベントの際にやったような事はしないと。
もちろん面倒だからとか引き籠もりたいとかではなく、理由はコレだ。どこで確認されようが、最初に出現したコレを真っ先に叩く。それで見た目ほどじゃない、たいした事はないとイメージ付ける。
実際、インパクトはともかく能力だけ見ればそうたいしたものではなく、最大でもヒーロー複数人でかかれば対処可能な範囲に留められているはずだ。イメージさえ陳腐化すれば、他の連中でも十分に対処できる。
だから、他のヒーローでも対処できそうな大量の怪人や、世界各地に出現するだろう要塞群など、事前情報だけで予想できる、対策できるものは後回しだ。
ただでさえ長丁場になる事がほぼ確定しているイベントなのだから、スタートダッシュはいらない。
前倒しで終了できそうな勝利条件も設定されているが、怪人幹部Cがそれを許すはずはないのである。支配エリアのパーセンテージなんか俺一人でどうにかなるものではないし、全滅させれば終了なバルバロッサをいきなり全員投入してくるはずもない。
どうせ一ヶ月まるまるか、それに近いイベント期間になると踏んでいる。
「そうなると、マスカレイドさんが動かない事で生まれる影響が怖いですね」
『前回なんて、一人RTA勢でしたしね』
「RTA?」
「そこは今疑問に持たんでいい」
姉ミナミも最近覚えた言葉やがな。説明してもいいが、あとで。
「かといって、事前公表するのも違うしな」
『それはそれで影響大きいですね。実際に文句言う人は限られるでしょうが、なんで? って疑問はみんな浮かびます』
敵味方共に認知している最大戦力が動かないのは不自然だ。第一次グランドイベントのような出撃制限があるわけでもなく、他の何かに手を取られているわけでもない。
それはそれで相手に心理的プレッシャーをかけ、行動を制限できる利点はあるが、今それは別に望んでいない。
この際、変な邪推や短絡的な反応が生まれるのは仕方ないにしても、妙なネガティヴイメージが広がるのは避けたいな。極端な話、どこかの誰かがマスカレイドは逃げ出したと書き込んだだけでもそれが爆発的に広がりかねないのだ。何かしら目に見える判断材料があれば尚更だ。その後に出撃して黙らせても、一度広がったイメージはどこかで燻り続ける。
「ミナミ側でそれ押さえられる?」
『厳しいですね。そもそも噂話みたいなものをシャットアウトするのが不可能に近いですし、アトランティス・ネットワークがあると回線遮断と誘導によるコントロールも効かない』
「回線なしでも何故か繋がる不思議ネットだしな」
事もなさ気に回線遮断とか誘導とか言っているが、ミナミは普通にやるから今更である。
『何より、結構前からネット上の一部で怪人側の世論誘導の動きが見られます。その動きまでは止められない』
「集団意識の怖いところだよな」
『一定以上効果出てるみたいですしね』
人間社会で最も手が届かない部分でもある。ある程度の誘導はできても制御はできない。火の点け方一つでどうとでも転ぶ。
一人に対する洗脳、マインドコントロールができても、集団……それも大きくなるほどにどこかで綻びが生まれる。全体は制御できても、絶対に制御できない少数は生まれる。そういった少数意見というのはどう足掻いたところで消せない。そして、得てしてそういうマイノリティほど強く、硬く、しぶとく燻り続ける。
事実であるかどうかは関係ない。そう信じ込めば、本人にとっての真実となる。そして、信じたいものだけを都合良く解釈して信じる輩は一定数いるのだから。
これは、マスカレイドさんの超暴力で黙らせられる類のものではない。
「まあ、最悪様子見しつつって事もできなくはない。連絡の付かなくなる怪人勢力圏には行きたくないが」
『確かに世論対策は優先度としては低いですね。何やっても影響自体は避けられませんし』
「…………」
「妹ミナミ?」
「あ、いえ……どうなんだろう、コレ」
何か考えがあるのか、何か思いついた事があるのか、唐突に妹ミナミが思考モードに入った。これは通常のソレでなく、この場で幾度となく見せた思考同期のそれ。
「怪人幹部Cが何かやってきませんかね?」
「そりゃ新システムは向こうで把握していた事実なんだから、最大限印象を強くするように動くだろ。だから、俺も対処しようとしてるのであって……」
「それは分かります。もっと言えば、ルール公開の時点で、こちらがその狙いを看破してくる事も分かっているはず」
そうだ。ここまでの俺の懸念は、怪人幹部Cの戦略理念を元にしたものが大半である。
「でも、スパイについては気付いていない。新システムの詳細が漏れている事にも気付いていない。その前提だと、マスカレイドさんが開幕様子見する事まで読むには材料が足りない。可能性としては考えても確信には至れない」
「それはまあ……そうな」
確実ではない。ただでさえ第二次グランドイベントでやった一人RTAがノイズになる。
「イベントそのものにはある種諦めにも近い状態の怪人幹部Cは、イベント後を見ている。そのために、できれば欲しいのはこの新強化システムでのインパクト」
「多分な」
「なら、マスカレイドさんの様子見を不確定のままにしておきたくはない。最悪無視はできても、できれば足止めしたい」
「……手があるなら打ってくるか」
「私なら、半ば不発に終わったメガフロートの布石を利用する」
『同じ手は使えませんよ?』
「この際、捨て駒でいい。日本に怪人を投入すれば……いや、もっと確実な……」
ああ、なるほど。俺の中で前提条件がズレていたから思考もズレていたか。情報が多過ぎたんだ。
「どうせなら、目の前で未知の力を発動してやれば、マスカレイドごと驚かせられるかもしれない。……そう考える」
『……マスカレイドさん、来ました。イベント開始直前の決闘申請です』
「……君、マジですげえな」
「いや、タイミングは狙ってないんでけど」
出来過ぎなタイミングである。
しかしそうか……これは使えるかもしれない。
-2-
「返事は保留で」
『え、この流れで受けないんですが?』
「受けるが、待ってましたとばかりに返事するのもちょっと違うしな。小賢しく、悩んでるフリを見せてやろう」
『はあ……確かに決闘相手は悩む名前ではありますが』
「知ってる怪人なのか?」
『被虐怪人ド・エーム、加虐怪人ド・エース連合です。再生怪人ですよね、コレ』
「…………」
……マジかよ。本当に俺が出撃を躊躇う相手じゃねーか。まさに捨て駒に相応しい妙手……!?
「まあ、返事は変わらないんだがな。……嫌だが仕方ない」
「マスカレイドさんも恐れる相手って事ですか?」
「字面見ろや」
こんなん、普通に嫌だって話だ。この印象まで含めて打ってきた手なら感嘆するしかない。
実際のところは多分そのまま捨て駒だろう。再生怪人なら向こうとしても多分ノーダメだろうし。
……懸念はないでもないが、今は気にしないでおく。
「……そういえば、こっちは思ったより動きが鈍いな」
この怪人幹部Cの宣言を受けてから、世界情勢の動向確認を行っているのだが、思っていた以上に動きが鈍い。
もっと積極的にアトランティスに向けた戦力移動を始めると思っていたのに、限定的だ。
特に、幹部Cから宣言されていた日時、つまりグランドイベント開始を待たずに吶喊する馬鹿が出てこないのは異様の一言である。
「事前シミュレーションだと、この時点でそれなりにアホはいたよな?」
そう、想定していたシミュレーションは俺自身の予想も含んでいるが、大半はシミュレーション結果で予測されたものなのだ。なのに、すでにズレが生まれている。
怪人側の入力情報が少ない以上は、全体にある程度のズレが生まれるのは仕方ないとはいえ、このズレは人間側のものだ。ミナミによって丸裸にされ、相当に細かい情報まで入力済な人間社会の動向にここまでのズレが生まれるとは考え難い。
まさか、ここまで凶悪な精度で結果を出してきたシミュレーターが、こうも大きなズレを許容するとも思えない。
「原因は明白かと」
首を捻っていたら、担当者アルジェントが自信あり気な表情で口を開いた。案外、話題を振るのを待っていたのかもしれない。
「原因ってなんだ?」
「予測に必要なデータ不足です」
聞いてみれば、このシミュレーションに使用しているデータは仕様上リアルタイムよりもかなり遅れたものになるらしい。
今回に限っては、アトランティス放棄の影響という予測結果が必要なために暫定的な入力を行ったものの、それでは足りなかったという事だ。
「ああ、確かに。入力は結構遅れてるんだっけか」
「現在の確定最新版は一週間遅れたワールドデータです。そこまでに集めたデータを分類・精査し、入力を開始する工程になっています。かなり縮めましたが、これ以上となるとアンドロイドの数を加速度的に増やす話になるので」
「さすがに効率悪いって事だな」
その話自体は聞いている。避難所の不可侵領域に陣取っているアンドロイド……ミナミロボの数でさえ相当なものだ。あまりに同じ姿が増え過ぎてホラーを超えたギャグの領域に足を突っ込んでいるくらいである。
一時期、カタログでアンドロイド含むロイドの導入金額が跳ね上がった事があり、世界中で小さな騒動を引き起こしたのだが、その原因はウチなのだ。
ランニングコストは変わらないから導入予定は立て易いんだが、一線級のヒーローでもちょっとためらうくらいには高騰化した。
報告の義務などないので沈黙を貫いていたら騒動自体は終息したが、導入費は今でも結構値上がりしたままてある。
「ただ、直接的な問題はそれでなく」
「ないのかよ」
「原因は十中八九、先ほどの会見でしょう」
『あー』
裏でミナミが納得しているが、アレでそこまで影響を受けるか?
確かに入力されていない情報ではあるが、受け取り形によってはマスカレイドの侵略容認にも取れる内容なはずなんだが。明確な躊躇を誘うにはいまいち弱くないか?
「内容よりも、対象に言及をした事実そのものが重要なのでしょう」
「言及しないわけにもいかんだろ」
「元々没交渉なところに、こうも早く言及してきたので勘ぐるを得ないという事です。近似値での暫定シミュレーションを行いましたが、概ね正解かと」
「マシかよ」
これは、思った以上にウチ……というかマスカレイドの動向が世界に影響を与えてるな。さんざん言われて修正してきたが、ちょっと再修正が必要なレベルだ。
……ちょっと、望ましくないなコレは。下手に動けなくなる。これまでもそうだが、もっとだ。
「とはいえ、慎重になっているだけで、誰かが動いたら連鎖するのは変わらないと思いますが」
「アトランティス侵略は、ファーストペンギン待ちって事か?」
「マスカレイド様に正面から喧嘩売るペンギンですね。人はそれを蛮勇と言います」
「…………」
そう言われると、重大性が分からないでもない。どれだけ含みを持たせようが、アトランティスへの侵略行為は表面上マスカレイドが出した声明に真っ向から喧嘩売っている事になるのだ。そりゃ慎重にもなるか。
元々、大本命なアメリカが自分から口火を切る事はないとは思っていた。あそこは確かに領土や権益、資源、怪人由来のモノを含む未知の文明は喉から手が出るほど欲しいだろうが、それだけでアトランティスに攻め込むほど考え知らずではない。実利を取りに来るのが基本スタンスだ。
今回の場合は、どちらかというと地政学上の問題……自分の裏庭に手を出される事を避けたいがために行動すると読んでいる。
そして、あんな場所が無防備になって誰も手を出さないはずはないのだから、連鎖的に動く事になる。その事実が明々白々なため、予防として先に動くケースも考えていたが、それを躊躇うくらいの影響が声明にあったって事なのかもしれない。
かといってどこも動かないわけもない。国家レベルでも考えなしはいるし、今回に限っては団体、下手したら個人レベルですら動きかねないのだ。
三十倍の速度で進行する支配率変動という事は、一日でもある程度の支配率を確保するだけでポイントが手に入るという事でもある。
翌日にどこかに攻め取られたとしても、その一日分のポイントをアイテム化するだけで億万長者になれるのだから、賭けに出る者はいるだろう。
そして、それは何もアトランティスに限った話でもない。
『マスカレイドさん、世界各地で動きが』
「そっちからか」
口火を切るのは、どうやらアトランティスからではなく別の場所からのようだった。
予想ではアトランティスへの行動が先で、そこから連鎖すると思っていたが、実際にはどうやら逆。
少し考えれば分かるが、三十倍の恩恵はアトランティスに限った話ではない。国家規模でなくとも、より近い、回収し易い場所に目が向くのは当然。
原因が声明だったのか、シミュレーション結果を出すには最低でも一週間ほど待たなければならないが、ここからの流れでそれを確かめるのは優先度が低いだろう。
どの道、これは連鎖する流れだった。火の点く場所が違うだけで止められない。それはルール公開の時点で分かっていたのだから。
「一応、国内の動向は注視して、政府に情報を流してくれ。検閲はしろよ」
『可能な限りリアルタイムで流します』
命を賭けた小遣い稼ぎは何も外国に限らない。マスカレイドのお膝元である日本国内だって、ポイントが欲しい連中は山ほどいるはずだ。
たった一日、商品にもよるが、数日耐えただけで理外の超常アイテムが手に入るとなれば、テロに等しい行為をする者たちは出てくる。
-3-
そこからは雪崩のように世界中が連鎖した。暴動、テロ、デモ、土地の占拠や実効支配の宣言。
死傷者は数え切れない。当たり前だ。一つの現場でなく世界各地の、下手をすれば誰の目も届かないところで起きている事件も多い。
それはイベント開始に近付くにつれて明確に膨張していく。開始時点で、自分がここの主であると宣言するための突貫工事だ。
彼らは宣言する。声を上げる。電波で、インターネットで、アトランティス・ネットワークで。何故ならば、エリア支配率には実態と共に認知が影響するからだ。
まったく支配の素振りすら見せない南スーダンの一部で、マスカレイドのエリア支配率が残っているのもそれ原因である。
つまり、動向自体は分かり易い。アトランティス・ネットワーク上で支配エリア情報が更新される前でも、それは明白だった。
「こんな……」
その動向がショックだったのか、妹ミナミはシミュレーション・ルームに投映されるリアルタイム情報に絶句している。あるいは、時折挿入されるリアルタイムの中継映像がショッキングなのか。
俺や怪人幹部Cとの思考同調部分は鋭い切れ味で切り込むが、それ以外は事情を知った一般人の枠を出ないという事なのだろう。
ここのところ紛争の絶えなかった世界規模ではともかく、日本各地で暴動に近い事件が起きているのを地図上で見ると結構なインパクトだ。
……妹ミナミの助力はここがリミットだな。これ以上は負担が大きいし、精度も下がるだろう。
「ミナミ、もうあんまり時間ないから、決闘受諾の返事しておいてくれ」
『はい。決闘周囲の交通規制と避難依頼は』
「そういえば、場所は?」
『仙台です』
……またかよ。というか、ある意味これは必然なのか? あいつらが死んだのはどちらも宮城県仙台市だ。
リサイクル・リベンジャーの正確なスキル発動条件は分からんが、そういった没地に近いほうがいいという可能性もなくはない。
しかし、仙台に加虐怪人ド・エースか。ド・エームのほうはともかく、原点回帰って感じがしないでもない。絵面は最悪だけど。
「そっちも頼む。……いや、決闘自体をリークしていい。ただし、公式じゃなくあくまでリークの体で」
『広域に影響の出る怪人が出現するのでマスカレイドが対処するって感じですかね? 了解です』
目視可能なギリギリの範囲で見学してくれるのが理想だが、そこまでは期待も誘導もできないだろう。どうせそういうアホはいるだろうから、基本的には逃げてもらったほうがいい。
「決闘の中継準備も頼む。アトランティス・ネットワークだけでなく、動画サイトやSNSなどできる限り広域で見られるように。タイミングは……俺が直接指示する」
『例の強化についてのイメージ操作が目的ですよね? 最初からだと、公式が拡散しているように見えるからでしょうか?』
「違うんだが、ちょっと思い付きがある。上手くいくかどうか分からんから、保険だ」
『了解です』
またこいつ何やる気だよってニュアンスの感情が混じっていた気がするが、別段たいした事をしたいわけじゃない。ちょっと奴らに楔を打ち込んでやるだけだ。
怪人幹部Cの動向を長い期間見続けて来たから分かるが、どうも今回のイベント周りは印象が違う。
これまでのイベントや、普段リーダーシップをとっている怪人が見せるそれと比べて、結束力、組織力を感じるのだ。幹部がその名の通り幹部らしく君臨しているように感じる。できれば、そこに綻びを作りたい。できるかどうかは知らんが、この手のブラフは幹部Bにも通用したはずだ。
「さて、そろそろだな」
世界が炎上し、アラートが鳴り響くシミュレーションで腰を上げる。
イベント開始後、更に増える事になるだろうから、このアラートをどうするのか決める必要があるな。
「今回はちょっと長丁場になるが、妹ミナミはまだ残っててくれ。戻ってきたら、イベント開始直後の動向についての会議になる」
「は、はい。もちろん残りますけど」
『長丁場って、どれくらいを想定してるんですか? 開始まで、もう十分くらいですけど』
「……長くて三十分くらいかな」
『マスカレイド基準では長いですね、マスカレイド基準なら』
再生前の討伐時間考えたら数倍どころじゃないんだぞ。片方は俺が戦ってもいないし。
『時間前ですが、出現しました。場所映します』
「オーケー、俺も行ってくる」
そうして、決闘に向かう。
どう足掻いてもイベント開始に立ち会えないタイミング。たとえ瞬殺しようが、開始直後に大きな動きはできない。そういうタイミングだ。
[宮城県仙台市のどこか]
「カカカカッ! 久しぶりだな、マスカレイドよっ! 我々がいない間、世間では騒がれていたらしいが、今度こそ引導を渡してくれるっ!」
「今度こそ、お前をマゾにしてやろう!」
転移先の施設では、なんか久しぶりに感じるノリの怪人が二人待ち構えていた。こうやって正面切って啖呵を切ってくる怪人は発生直後の奴くらいになってしまったから、懐かしささえ覚えるほどだ。
「今度こそっていうか、お前と戦った覚えがないんだが」
「うるさいわっ!? サラリーマンにしか見えなかったが、アレは貴様の用意した鉄砲玉だったそうじゃないか! まんまと騙されたわっ!」
「卑怯者めっ!」
まったく以て違うのだが、そういう風に吹き込まれているらしい。
二人にマスカレイドへの恐れのようなものを感じないのは、上手い事情報制限された結果なのかもしれない。ものすごい馬鹿としか言いようはないが、死んでいたのだから仕方ないとも言える。
「というか、そっちのボンテージはちゃんと戦っただろ。一度やられてるのに、なんでそんなに自信満々なん?」
「加虐怪人ド・エースだっ! 覚えておけっ!」
「私は被虐怪人ド・エームだぞっ!」
いや、良く知ってる。なんなら、これまでに戦ってきた連中よりもはるかに強いインパクトで脳裏に焼き付いているくらいだ。
「分かった。じゃあやろうか」
「ま、ままま、待てっ!? まずは我々の自信の源を教えてやろうじゃないか」
「何を焦っているんだ、ド・エース。やりたいならやってやろうじゃないか」
「黙ってろ、ドMがっ!! 貴様はあの化物の怖さを知らんからっ!?」
そういうお前も、実はたいして変わらないと思うぞ。
「マスカレイドよ、前回は《 女王様の狂乱 》が一切効かず、《 ドSウィルス 》も不発に終わったが、今回はそうはいかんぞ」
「えっ、マジで。じゃあ、ヤバいじゃん」
「出撃前に情報の擦り合わせくらいしておけよ」
「ついさっき蘇ったばかりなんだよっ!!」
なるほど。やはり、そういう事らしい。直前に蘇らせられて、なんの情報も得ず……あるいは蘇らせた奴に都合のいい情報だけ渡させてここに来たわけか。
……リサイクル・リベンジャーか、怪人幹部Cか、あるいは別の誰かか知らんが、この悪辣さに評価が上がる。警戒対象だ。
「しかぁーしっ! 我々にはコレがあるっ!!」
そう叫びつつ、出して来たのは悍ましい気配を放つ花のような塊。しかし、形状はともかく、写真で確認した際はあんな気配は放っていなかったはずだ。
「< 怨恨珠 >か。……そんなモノを持ち出してくるとはな」
「くくくっ! 知っていたかっ! そうだ、コレさえあれば貴様など一網打尽よっ!」
「試験中とか言ってなかったっけ?」
もちろん、知ったかぶりである。実は、予想していた用途と違っていたようなので内心困惑気味だった。
「じゃあ、そろそろやろうか」
「待てと言うとるだろうにっ!? 貴様、こういう場面のお約束すら知らんのかっ!!」
「ドノーマル……略してドNはこれだから」
聞いた事ねーよ、そんな言葉。
「まあいいぞ、"そういう話だった"からな。のってやる」
「……は?」
「貴様、どういうつもりだっ!? ドNのくせに」
「どういうつもりもクソもあるか。ほら、使えよ」
「こ、後悔しても知らんぞっ!!」
その瞬間、二人が手した< 怨恨珠 >から黒い靄が噴出し、持ち主の体を覆っていく。エフェクトだけは格好いいが、ドMとドSの強化変身みたいなもんなんだよな、コレ。
『こ、これは……』
「知っているのか、ミナミ」
『分かりません!』
そういうネタを挟む時じゃないんだが。
『でもまあ……確実に強化アイテム。おそらくは一時的にS級になれるとかそういう類では?』
「俺もそう思う」
多分だが、それが例の条件なのだ。本来、あり得ないはずの現象を起こすために必要だったと考えれば合点がいく。
もしそれが正解で、S級になる事が前提条件ならかなり助かるのだが、確定でない以上はあまり楽観視できない。
黒い靄に覆われた影は少しずつ形を変え、より禍々しい気配が漂い始める。変身完了までちょっと長いので、つい手が出そうになるがここは我慢だ。いろんな意味で台無しになってしまう。
「ふわははははっ!! どうだマスカレイドっ! これが真の変態の姿だっ!」
「さあ、攻撃してくるがいいっ! またたく間に貴様をこちらの世界に引きずり込んでやるっ!」
ぶっちゃけ、あまり変わっていなかった。どちらも中身が小太りのおっさんなのはそのまま、手にした鞭や服装がより変態チックになっただけである。
とはいえ、それは見た目だけ。能力の面では元のそれと隔絶している。多分、能力のほうも正当進化に近いのだろう。
『被虐怪人超弩・エームと加虐怪人超弩・エースっ!? どちらも推定S級相当みたいですっ!』
「名前まで変わってんの?」
『なんて雑な進化名!』
それは言ってやるな。
「さすがにここまでの出力ともなれば、ノーダメージとはいくまいっ! ビルどころかタワマンですら寸断する鞭を喰らえいっ!」
どっちもビルである。
暴風のように荒れ狂う鞭。以前の形態では廃ビルを切断するというパフォーマンスを見せたが、あきらかにその時も速く、鋭い。
ちなみに、被虐怪人ド・エームあらため被虐怪人超弩・エームは当たらないように距離を取っていた。意外と冷静なのか、連携がとれているのか。
「うおおおおっ! ……これがドSの無限循環よっ!」
音速の壁を超え、ソニックブームすら発生させつつ、マスカレイドに放たれた鞭。
「……はえ?」
しかし、その鞭は極々自然にマスカレイドの手に収まり、動きを止めた。
「無限循環がなんだって?」
「ちょ……ちちちちちょっと待てっ! なんだそれは、おかしいだろっ! 数倍の怪人パワーじゃきかんのだぞっ!」
何もおかしくはなかった。いや、おかしい事はすでに常識だった。たとえA級怪人の必殺技が十倍の威力になろうが、マスカレイドには傷一つ付けられないと。
知らないのは、マスカレイドの前に立つ二人だけである。
「おいおい、ド・エース。鈍ったな。どうだ、まずはその鞭をこちらに向けてみるというのは」
「…………」
あれ、それはちょっと想定外だった。上手く台本進行できているつもりだったが、あのドMがちょっと読めない。
もしあいつに鞭が飛んだら、そのダメージで《 ドMウィルス 》か、それに類する能力が拡散してしまう。ただでさえ危険なウィルスなのに、進化した上でそんな事になったら宮城県全土がマゾになるという悪夢さえあり得るかもしれない。マスカレイドに効かないと言っても、周囲はそうも言っていられないのだっ!
「そ、そんなはずはないっ!?」
「仕方ないな。ほら、当たってやるから試してみろよ」
鞭を手放すマスカレイド。しっかり、その鞭がドMに向かないよう誘導する。
「な、何を考えている。どういうつもりだっ!!」
「"そういう約束だからな"」
「き、貴様何か隠しているなっ! おのれーっ!」
再び振るわれる鞭と、その直撃を受けるマスカレイド。あまりの衝撃に空気の破裂する音が広がった。
「な?」
しかし、やはり無駄であった。一切のダメージが通っていない。
それが信じられないのか、二度、三度と繰り返すド・エース。目の前の銀タイツは一切揺るがず、平然と立ったまま。何より、自身の《 超弩Sウィルス 》が発動していないのはダメージが通っていない何よりの証拠だった。
「分かっただろ? それじゃ俺には効かない。そして、俺には貴様を瞬殺できる攻撃力がある。……知ってるだろ?」
「ば、バカな……いや、進化した私なら」
「試してみるか?」
ド・エースの脳裏に蘇る、生前の記憶。無造作に繰り出された腹パンによって、ロクに描写もなく雑に粉砕された死の思い出。
確かに防御力は上がっているが、攻撃力主体のド・エースの上がり幅はそこまででもなかった。
「痛みも感じさせず、粉々にしてやろう」
「そ、それは困るっ!! 極上の痛みを味わえると聞いてここに来たのにっ!?」
マスカレイドに言葉に反応したのは何故かド・エームのほうだった。そりゃ確かにマゾ的に痛みがないのは困るだろうが、そこに反応するのかと。
「なら、さっさとしろ。あるんだろ? 更なる切り札が」
「ぐ……貴様っ!? 何を知っているっ!」
「お前たちの知らない事だよ」
ハッタリである。知らない事を知っているのは確かにそうだが、突きつけているのはそれではない。
そして、答えを出す気もない。与えられた言葉で形作られる疑念よりも、自らの内から生まれた疑念のほうが強く残るからだ。
もちろん、俺が言っているのはド・エースに対してじゃない。もちろんド・エームでもない。そのうしろにいる怪人幹部C、あるいはリサイクル・リベンジャーに対してだ。ダメ元で、効果があったらラッキー程度の願望。ついでにその周囲まで巻き込んでくれたらラッキーである。
『イベント開始しました』
ミナミがそう告げるのが聞こえた。
世界を覆う空気が一段階重くなったような、そんな気がする。
それは気のせいかもしれないが、これで世界の進む速度が加速したのは事実。歩むのは、混迷の中へとひた進む、悪夢のような道だ。
-4-
「イベントは開始した。……使えよ、《 概念回帰 》。そのために来たんだろ?」
「な……に?」
瞬間、時が止まったような気がした。
その驚愕は、果たしてド・エースだけのものなのか。その向こう側で見ているだろう者はどう感じているのか。
人類が、ヒーローが未だ知らないはずの言葉がマスカレイドから漏れた時、疑念は確信へと変わる。創られた偽りの確信に。
「お前らの復習心は知らんが、俺の足止め、そしてそれを見せつける事が目的だったはずだ。そうだろ、怪人幹部C」
「なにを、何を言っているんだ、マスカレイド!」
ド・エースは混乱している。しかし、それは《 概念回帰 》という言葉を知らない反応ではなく、何故知っているのかという反応だ。
「台本に踊らされているだけのお前らに言う必要があるのか?」
「くっ!!」
台本がなんなのかは知らないが、マスカレイドは自信満々だ。
ここに来て、二人がロクな情報を持たずに出撃させられた事実が重く伸し掛かってくる。
必要な情報が与えられていない。答えを導き出せる情報が揃っていない。それは当人たちの事ではなく、裏側にいる者の疑念だ。
こんな茶番のような演出だって、口にする者次第ではこうも凶悪なブラフと化す。
「お前らは復讐者でもなんでもなく、《 概念回帰 》の宣伝役だろ? スポンサー様がお待ちだぞ」
「おのれえええっ!!」
合図を送った。
『中継入ります』
ミナミから、冷たい返信が届く。ここから先は余計な事は言えないし、言わない。
「ド・エーム! 合体だっ!」
「えー」
「さっさとしろっ!!」
「……は?」
キレたド・エースがとる行動はイベント用新強化システム《 概念回帰 》だと思っていた。しかし、その口から発せられたのは、まったくの未知となる行動。
当然、マスカレイドはあっけにとられ、それを見ていたミナミもまた困惑していた。
中継を見始めた者たちはそれどころではないが、現場の者たちもそれどころではなかった。
「「合体っ!!」」
[ナレーション]
その瞬間、ドSとドMは一つとなり、更なる性癖へと進化するっ!
二つは二律背反ではなく、むしろ根源は一つ! ドSはドMを兼ね、お互いの特殊性癖は相互作用で無限増幅するっ!!
今ここにっ! サドとマゾが織りなす汚い無限機関、SM怪人ザ・セルフが誕生するのだっ!
「ええ……」
あまりの事態に、思わず言葉を失うマスカレイド。ちょうどいいから怪人幹部Cの思惑にのって、ついでにブラフで掻き回してやれという作戦が吹き飛ぶ衝撃。
汚いおっさん二人の物理的合体はそれほどのインパクトだった。子供が見たら完全にトラウマになる。大人が見ても夢に出る。極少数は性癖が捻じ曲がる。そういう衝撃映像だ。
何故このタイミングで中継を始めたのだと、事情を知るものから怒られるかもしれない。いや、マジですいません。
『……相当じゃなく、S級。SM怪人ザ・セルフ』
ミナミの不穏な通信も冗談にしか聞こえない。なんだよ、その名前。
「「我々は、自信を性癖の対象とする事で無限の快楽を生み出す無限機関っ!」」
合体した怪人から、声が二重になって聞こえてきた。いろんな意味で脳がバグりそうだった。
無限機関ってなんだよ。まさか、自分で自分を叩いて興奮するって意味なのか。頭悪いにもほどがあるだろう。
「「こうなってはもう戻れんが構わんっ! 《 概念回帰 》を使えばどの道戻れんのだからな」」
その言葉に、少しだけ正気を取り戻せた。
そう。目的は《 概念回帰 》だ。ブラフ云々はついでで、それが主目的。イベント開始早々、相手ではなくこちら主体で世界にその効果を晒させ、あっさりと撃退する。
それが俺の描いていたストーリーだ。それは、この発狂しそうな斜め上の展開でも変わっていない。
怪人は、情念から、記憶から、概念から生まれ、人の形を持つに至ったもの。
そこには本来生も死もない。彼らが死を恐れるのは、それが概念の喪失と同義であると本能的に感じているからに過ぎない。
長い期間存在し、認知され、浸透し、闘争によって濃縮された概念。それが高位の怪人である。イベント用のS級怪人はあくまで人工の存在でしかないが、本来S級怪人はその果てに生まれる高濃度の概念なのだ。
だからこそ、世界に回帰する事が許される。確固たる概念を世界に刻み付け、世界の一部であると宣言する。
《 概念回帰 》はそのための術だ。
「「お……お……お……おっ!!」」
概念そのものになった怪人は何と呼ぶべきか。
人の姿を捨て、ただ概念を振りまく災厄と化した者は怪人と呼ぶべきではないだろう。
――《 概念回帰 》――
人の生み出した情念が形を創る。歪んだ性癖が膨張し、世界へと回帰する。
元の形のすべてが失われたわけではない。意識が失われたわけではない。
滅びれば死以上の無に至るが、生命でないのだからそれは当然。
とはいえ、そこにあるのは恐怖ではなく、より強く自身の根源へと回帰する喜び。
怪人は死を恐れない。自身の存在意義が失われる事にこそ恐怖する。
ならば、これは本来怪人が求めた先にあるものではないのか。
そう感じさせる事さえ組み込まれた、狂気の強化システム。それが《 概念回帰 》。
「……でかい」
『およそ、三十メートル級。あくまで参考値ですが、世界に見せつけるインパクトとしては十分過ぎますね』
俺の前には、人の姿を捨て、暴走・巨大化したSM怪人ザ・セルフの姿があった。
ただでさえ合体した時点で異形ではあったが、これはもうそんな類のものではない。
古から続く特撮の怪人の如く、そのまま巨大化したように見えるそれは、元となる怪人とは本質から異なるものだ。
かつて俺が、かぐやからこのシステムの事を聞かされた際に話した事が脳裏に蘇る。
『《 概念回帰 》は、これは自身が怪人である事を捨て、元となった概念に回帰するシステムです。強化システムとは言っていますが、本当に強化かどうかは定義の分かれるところですね』
『特撮みたいな巨大化はおまけだと?』
『むしろ、それが強化部分ではないでしょうか』
『元の姿に戻れない。死んだら再生する事もできない。そのまま存在し続けられるわけじゃなく、時間経過で消滅する。怪人を騙してるようなもんじゃね?』
『それらの仕様を理解した上で使うわけですから、騙してはいないかと』
『強力なのは間違いないが、殺されるくらいならって覚悟で使うには厳しいだろ』
『怪人の死生観は、発生元となる概念に根ざしたものです。世界に概念を振りまけるのなら、むしろ本望と考える怪人がいてもおかしくはない』
『お前を含む、怪人ならではの視点って事か?』
『いいえ、正直私はさっぱり共感できません。ですが、そういう怪人が一定数いる事は分かりませす』
『……いそうではあるな。ただ何もせずに死ぬなら……自爆してでも被害を出したい奴がとる手としても単純に強力だ』
『はい。ただ、そんな概念のみの存在……回帰した怪人はもう怪人と呼べないでしょう』
『巨大化しようが、怪人は怪人だろ』
『概念となり、人である事を捨てるのですから、もう怪"人"ではない。ちょうどお誂え向きに、知性を持たない存在を指す呼称が日本にはあるじゃありませんか』
人を捨てた怪。巨大化というオマケまで付いた怪物の呼称は、確かにそう呼ぶべきだろう。
『"怪獣"』
満を持して登場した初の純S級、そして怪獣がそいつでええんか。(*■∀■*)







