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19 両親登場



「やっと、やっとですわ!!!」


着替え終了からのヴァン兄様のご機嫌とりで、1時間をまた無駄に要してしまった私は、やっとの事父様達の部屋の前にたどり着いた。


勿論両手に花(ヴォルとヴァン)で。


「ルーナ、はしゃぎすぎ」

「一週間振りだもんね。ルーナがはしゃぐのも無理ないよ」

「そうです。あっ、いっしゅうかんぶりのだいいちいんしょう!!」


忘れてたっ、第一印象!!

ルーナは愛されキャラだけど、両親とは今が初対面。

いや、正確には違うだろうけど、私は初対面


キャラデザインする前に私(佐藤しお)は死んだから、顔は分からない。

けど、この中にいる顔面偏差値高い人が私の両親。


「一週間振りは第一印象じゃないだろ?」

「んー。久しぶり、かな?」


兄様達がキャンキャン言ってるけど、ここはスルーして。


父様に挨拶、元気一杯でいく?

それとも淑女の真似事?


ストーリーに有利になるのは果してどっちが正解??


元気一杯の挨拶で今までと違うと見せつける?

元気が有り余ってますアピールして、家庭教師をGET?


はたまた静かにノックして、スカートをつまみ上げ淑女の挨拶を真似てみる?

もっと淑女になりたいからと、家庭教師が欲しいとおねだりしちゃう?


…

……

………うん、5秒で挫折した。淑女は私には向いてない。

想像だけで3回こけるとか、うん。重症案件待ったなし


変な小細工するより、子供は元気が一番だよね!

パンパンと自分の顔を軽く叩いて、いざ出陣



「た、たのもーーーーーーーー!!!」



…言ってから思った、私は柔道破りかっ!



**********



………もう引き返せん。

大声で宣言したし、後ろからの兄様達の視線が痛いし


ここは「おかえりなさいお父様、お母様 (はーと)」とか

「寂しかったです、おかえりなさい!!」とかで良かったんじゃない?!

それがまさかの「たのもー」とか。

前世でも言ったこと無いわ!


で、ここから私はどうすればいいの?

「たのもー」からの正解は一体何

普通にドア開けて入る

それとも蹴破るの??


確実に蹴破ったら大目玉よね?

でも、たのもーは蹴破れと私に告げているわ。

そして確実に「じゃじゃ馬」令嬢のフラグGETじゃない?

……これはやるしかないわよね


「あ、あちょーおーーー!!」

「ルーナ!?」

「どっ、どうしたのルーナ?!」


兄様達から手を離し、勢いをつけて扉に体当たり!!

最初蹴破ろうと思ったけど、絶対無理!死ぬわ!!

なので軽い体当たりに変更よ!!


「たのもーーーーーーーー!!!」


扉に当たる瞬間、ガチャとドアが開いたのは私の計算ミス。

扉に軽ーく体当たりする予定だった私の体は、もう床を蹴っていて

…そのまま部屋の中に顔面ダイブ極め込んだわ。



…

……

………沈黙が、痛いわ。


もう恥ずかしくって顔もあげられない…


「一体何事だ、すごい音がしたぞ?」

「あらあら、何かあったのかしら?」


騒ぎを聞き付けて人が集まってくる気配がする。

だけど私は顔をあげられない。


「なっ…これはどういうことだ!?」

「まぁ、あなた大変っ!あそこに寝ているのはルーナでなくって」

「る、ルーナ?!?!」


バタバタと私に駆け寄ってくる気配

抱き起こされたのが分かったが、目が霞んで輪郭がぼんやり見えるだけ


「……だぁれ?」

「ラ・ルーラ、我レイン=フェルト・レィリレースの名の元に命ずる。我の声を聞けし全(・)て(・)の(・)癒しの精霊よ」

「かの者を癒せ」


キラキラとした光に包まれたかと思うと、沈黙の痛み(実際には顔面の痛み)が消えていくのが分かる。

だんだん焦点が定まってくると、私を心配そうに見つめる美(・)少(・)年(・)の姿が目に入る。


…あらっ、10年後が楽しみ。


兄様達とはまた違う、可愛い系のこの少年。

13、4歳かしら?


「あらあら、ルーナちゃん大丈夫かしら?」


少年の上から覗き込んできたのは金髪碧眼の超絶グラマラスな美女。

…あっ、この人絶対私(ルーナ)のお母様だわ


「おかあさま…?」

「えぇ。ただいまお転婆ルーナちゃん」


やだ、気まずい。

笑顔だけど絶対怒ってるよお母様。

初対面だけど、怒ってるのが手に取るように分かるんですけど




「父さん、母さん僕達にも入室の許可を」


部屋の外からヴァン兄様の声がした。

入室の許可なんてとらないといけないのね…


「…フィン、ヴォルとヴァンに入室の許可を与える」


何故か、私を抱く少年が兄様達に許可を出すと

兄様達がパタパタと私に近づいてきた。


「母さん、ルーナを怒らないでやってよ。二人に会いたくって

仕方なかったんだから」

「そーそー。父さんもそんな顔しないで」


兄様達の言葉に、グラマラス美女と美少年が顔を見合わすと

ハァーーと大きな溜め息をついて、二人で私をぎゅーっと抱きしめた。


「まったく、心配ばかりさせるんじゃない」

「本当に。ルーナちゃん、貴女に何かあったら私はどうしたらいいか」


ここは素直に謝っておこう。


「ごめんなさいおかあさま、おとうさま…?」


「……ルーナ、まさかと思うが僕が分からない?」


美少年が顔を歪めて私に問いかけてくる。

いや、多分この状況だと確実にこの美少年はお父様で間違いない

けど、些か若すぎませんかね

えっ、私はお父様が10歳の時の子ですか?


「あなた、いつもと姿が違うからルーナが混乱するのよ」

「あ。あぁ、そうか」


納得したように私を解放すると、お父様(仮)は呪文を唱え始める。



「ラ・ルーラ、我レイン=フェルト・レィリレースの名の元に命ずる。

時を司る精霊よ、我の本来の幻をここに映せ」



そう彼が唱えると、眩しい光がお父様(仮)を包み込んだ









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