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18 言い訳



花壇の段差に足をとられて、私はギャグのように、あのまま顔面を強打するはずだった、のだが…


「「浮遊」」


ここ一週間で、随分聞き慣れた声により最悪(それ)を免れていた。


「わっ、わぁー、ヴォルにぃさまだぁ…」


フワフワと浮く体に、自分が見つかったことを理解する。


グットタイミングかつ、最高のバットタイミング。

まぁ、10分以上も中庭(ここ)に居たら見つかるよね、普通…。


「コラッ、一人で危ないだろうがっ!」

「しかも、そんな格好で…」


「わぁっ、ヴァンにぃさまもいるぅ…」



眉間にシワを寄せて怒るヴォル兄様と、頭を抱えて呆れるヴァン兄様。

さて、これからの言い訳が大変だ。



言い訳1『メイドさんと趣味が合わない』


うん、嘘じゃない。

でも、それもこれも私の趣味が悪いせい…



言い訳2『兄様達じゃないから逃げた』


うん、兄様達からは絶対怒られそうもない。

でも、変なフラグが立ちそうで怖い…



言い訳3『無言』


諦めて怒られる…




…この短時間に、3つの案を出した私は天才かもしれない。


さて、どうする?

普通に考えたら1か?いや、2?


いやいや、2は出しといてなんだが絶対無いだろう。

だって、兄様達じゃないから逃げたなんて…


「…で、何でルーナはここに居るんだい?」

「えっ、えっと?」


ちょっと待って、まだ頭の中が整理出来てないっ!!

スリープボタンの実装まだですか?!


「ルーナは、立派なレディじゃなかったのかな?」

「えっ、あのっ、えーっと、その…」

「兄様達(おれたち)に言えないことなのか?」


今話しかけないでー、頭が混乱する。


「だって、メイドさんがにいさまじゃないかりゃ…」


…んっ?おかしいぞ??

メイドが兄様な訳あるかよっ!?

しかも、噛んだ


くそっ、1と2が完全に混ざった。あーぁ、大失敗だ。

これじゃ完全に言い訳2だよね。

ほらっ、兄様達完全に目輝かせてるし…


「ルーナ、それは僕達を探してたって事だよね?」

「ん、んーっと…えっと……」


うん、逃げ道無し!私って実はお馬鹿??

…はい、実はもなにも私は救えないお馬鹿ですよね。


「うぅーん、えっと…、その……はぃ」

「何だ、ルーナは寂しがりだな!」


わしゃわしゃと頭を撫でられれば、もう兄様達はご機嫌だ。

浮遊を解かれ、私はいつものようにヴァン兄様に『抱っこ』される。


「あのっ、にいさま。わたしひとりであるけます」

「ダーメ。お部屋まではこのまま」

「…おいヴァン、着替えは俺だからな?」

「はいはい、分かってるよ」


この行動で『じゃじゃ馬令嬢』のフラグは立てられたのか、と言われると

残念感がヒシヒシと。

これ、どちらかと言うとお馬鹿フラグ…

あぁっ、大人しく選択肢3にしとくんだった。


「にいさまわたし、とうさまたちにはやくあいたいのですが…」

「服を着替えたらね。僕達がちゃーんと連れて行ってあげるから大丈夫だよ」

「そーそ。今は諦めろ」



兄様にポンポンと背中を叩かれる。

うぅっ、あやさないでくださいよ…




**********




あれから、私は結局あのまま部屋へ連行された。


その間、私の事を捜していたであろうメイドや執事と何人もとすれ違った。

そんな皆から温かい目を向けられたのは、最早言うまでもない。


「はい、到着」


部屋につくと、さっき私が選んだドレス達は綺麗に片付けられていた。

代わりにと、揃えられていたのはパステルカラーの可愛らしいドレス達。


先程の宣言通り、今日の着替えはヴォル兄様がするらしい。

ヴォル兄様は元々決めていたのだろう、手際良く淡いピンクのドレスを手に取ると早速私のお着替えの開始だ。


「はい、ルーナばんざーいして?」

「…にぃさま、ちかいです」


首を軽く傾げながらニッコリと、100点満点の王子スマイルは破壊力満点だ。

これは、私が兄様の顔、好きなの絶対分かっててやっている…


こんな騒ぎを起こしたからだろうか、兄様は性格が悪い…

側で控えていたメイドも頬を染めるこの威力

それを至近距離でやられる私の身にもなって欲しい


8歳でこの色気、将来が思いやられる…


「ふふっ。ルーナ、真っ赤な林檎みたいだ」

「なっ、」

「とーっても美味しそう」

「ヴォルにぃさま、イジワルしないでください」

「愛情表現と言って欲しいなルーナ?」


私の反応、ぜーったい面白がってますよね兄様?


「おい、ヴォル」


ほらっ、ヴァン兄様がむくれてますよ!

父様に会うのが遅くなるので煽らないで下さい!!

私は早く父様に会って家庭教師をGETしなきゃなんですからね




…

……

………いや、でもちょっと膨れた顔も可愛いな






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