↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/20

16 悪趣味、そして逃走


「「却下」」


てっきりそう言われたから今日もヴォル兄様か、ヴァン兄様が私の着替えをするのかと思ったのだが、

二人は早々にレティーシャに別部屋に連れていかれてしまった。


なので、私がルーナになってから人生初

メイドさんによるお着替えの開始、であるのだが…


「お嬢様、今日のドレスはどうなさいましょうか?」

「えっ?」


ドレス?

今、私にドレスの事聞きました??


私が何故こんなに驚いているかと言うと、

自慢じゃないけど、この一週間私が自分の服に注文出来たこと無いから。

えっ、だって全部兄様達の好み?に仕立てられていたんだもの。

服の色くらいは何度か提案するも、聞いてもらえた試しがないし。

(大体は兄様達とお揃いになるように着させられていたから)

…なので、結果私は自分の服の色すら未だ選んだことがない令嬢なのだ。


「お嬢様は肌が白くいらっしゃいますので、濃いお色のドレスなんてステキなんじゃないかと思うのですが」

「えぇっと…わたしは、なんでもいいのですが…あっ、なんでもいいは、ごへいがある…?」


うーん、と考えた末に、私は目についた一着を指差す。

私が適当…ゴホッゴホッ、失礼。

真剣に選んだドレスは、ショッキングピンクのフリル満点ドレス。


…あらっ、よく見ると適当に選んだ割に可愛いんじゃない?

私、ルーナによく似合いそうだわ。


「えっ…こちら、ですか?」

「ピンクが、かわいいとおもいます」

「えっ、えぇっとですねお嬢様、そちらのドレスは少々常軌を逸し…あっ、いや、お嬢様にはお似合いかもしれませんが、私の技術が足りないばかりにコーディネートの方が難しく…」


おいおい、今常軌を逸してって言ったよね?

私の趣味が悪いってかっ!

失礼な!!


…えっ、待って。

私ってそんな趣味悪い?

もしかして、たまーに兄様達に服の注文つけると、怪訝(けげん)な顔されてたのは私の悪趣味のせい??


「じ、じゃあ、あっちの…」

「おっ、お綺麗なお色ですね。ですが、お嬢様には…」


マジか、全部却下されるぞ?!

それなら選んでもいい服だけ置いておいてよ!?


「な、ならあれは…!?」

「お嬢様そちらは…」


…

……

………


真剣に選んでも却下とは…

最早、私の悪趣味確定じゃないか。



…それにしても、服一着、一着選ぶだけなのにさっきから長い。長過ぎる。

このままじゃ、午前中一杯『着替える服を選ぶ』だけで終わっちゃうんじゃないの?!


それもこれも私の趣味が悪いせいなのは、もう言うまでもないけど…

このメイドさんだって少しは悪いと思うのよ?

だって、私が選ぶ服選ぶ服切り捨てるし…

まっ、まぁ私のせいなんだけど。


でっ、でも、最初っから、似合わない服はちゃんとしまっとけば良い話じゃない?

そう思うでしょ?!




あ、あぁっ、もうこうなったら似合わなくっても良いっ!

着るのも、笑われるのも最終的に私なんだものっ!!


それに、服を選ぶだけでこの長時間よ?

私の時間は無限じゃ無いの。


それこそ、自分を着飾るために使う時間があるなら、私は日常エンドを目指すためのフラグ折りに時間をかける。

…まぁ、普通のご令嬢だったら、婚約者や未来の旦那様候補のため、自身を着飾る重要な時間なのかも知れないが、(ゲーム内ではルーナも楽しそうにドレスを選んでいた)生憎私にそんな必要も知識も、ましてやこの時間を笑って過ごす耐性もないのだ。


ほらっ、それに服は着れれば何でも良いし。


…えっ?

その割に自我が強いですって??

もう放っておいて頂戴っ!


「おっ、お嬢様はどんなドレスもお似合いになるから、あぁーっ、どれにしましょう?!」

「…どんなのでもにあうなら、さいしょのでいいとおもうんです」

「……」

「……」


私の趣味が悪いばかりに、この沈黙が辛い…


はっきり言って私はドレスなんて良くわからないし、動きにくいから出来れば着たくない、と言うのが本音だ。

今は寝間着を脱いで、白のインナー(ワンピースキャミソール)

早く言えば下着だけ、と言う格好なのだが…


「…あ、あぁっ、久しぶりのお嬢様のお着替え、腕がなりますわぁっ!」


腕がなる割には、顔が引きつってるよメイドさん?



…はぁ。

何か私、このままでも十分いい気がしてきた。



だって、動きやすいし。

ワンピースキャミソールって言ってるし。

上等な布使ってるから、見た目薄めの普通のワンピースよ?


それに、私とこのメイドさんとは、絶対的に趣味が合わないみたいだし。


…

……

………うん。


もう、これでいいや。


幸い、口煩い兄様達もここには居ない。



「わたし、このままでいいです。メイドさんはおしごともどってくださいませ」

「…えっ、お嬢様っ!?」


私はそのままメイドさんを残し、父様達の部屋を目指して走り出す。

着替えや食事より大事なのは父様達に早く会って、家庭教師を手に入れること!

別に全裸で走り回っている訳じゃないんだから、このままで会いに行ったって構わないでしょ?



それに、ちゃんとパンツは穿いてるもの!!



「おっ、お嬢様、お待ちください!!」


メイドの声を背に受けながら、私はそのまま部屋を後にした。




**********




私が部屋を出てから早、10分。


「……ここ、どこっ?!」


私は早々に迷っていた。

自分の家で迷うってどうなのよ、もうっ…


こんな格好をしているのがバレたらメイド、執事には確実に自室へ連行されること待った無し。

早いとここ(・)の(・)ま(・)ま(・)父様達に会わなければ…!


因みに、あのまま服をきちんと着て父様に会う選択肢もあったのだが、私は将来のためにそれはパスした。

何故かと言うと、日常エンドでの私はと(・)ん(・)で(・)も(・)な(・)い(・)お転婆令嬢なのだ。

どこの家からも縁談を断られるようなじゃじゃ馬。


勿論、じゃじゃ馬が王配に就くことは万が一にも無し。



兄様達が居ると、まずこんな事出来ないし(100%捕まる)メイドさんも服選びが異様に遅いので、突発的に決行したのだが…


「…いえのちずでも、つくってからにするんだったかしら?」


早速詰んだ感も、待った無し。

固有スキルの方向音痴発揮しちゃってるわよね、これは。


「さてさて、これからどうしたもんかしら?」


よくよく考えてみると、私が行った事があるのは食堂、自分の部屋、兄様達の部屋、お風呂、中庭…

あらっ大変、片手で足りたわ。


勿論、父様達の部屋がどこにあるかも把握していませんし、把握していたとしてもこの固有スキル(ほうこうおんち)で、きっと辿り着くのも難しいでしょうね。


現に、今は食堂に向かおうとしているのだけれど…


「あらっ?」


綺麗な花が沢山咲いている中庭に到着!

うん、前迷った時も思ったけど家の庭師いい仕事してるじゃないのっ!


ほらっ、一面に植えられた色とりどりのこの花なんて

…何か分からないけど、とっても綺麗だし



…

……

………



おっと、いけないいけない。

花を見て、現実逃避している場合じゃないのよ私


早く父様達の部屋を見つけなくっちゃなのよ!


「…でも、てがかり0なんだよねぇ~」


すくっと立ち上がった私だが、また膝を抱えるように座り込んでしまう。

むーーーーーーー。

もうっ、こーいうときは普通お助けキャラ出てくる所じゃないの?


ほらっ、庭師のお爺さんとかお爺さんとか…

『こりゃあお嬢様、どうかしただんべか?』

そう言って私を颯爽と助けてくれる、イケメンお爺さん。

略してイケジジ!!今こそ貴方の出番よ…!



「………まぁ、そんなキャラつくってないんだけど」


結局、私には歩く以外の選択肢はないのだ。

グダグダ言ってないで歩きましょ、

っ…!!?


「危ない!!」


段差もなにもないのに躓くのは、私のお約束なのかしら?

顔面から地面へのダイブ…



私は、父様の部屋への第一歩を、盛大に踏み外した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。