15 いつもの朝…?
「にいさ…」
トントン。
控えめなノック音が部屋の中に響く。
寝ていると思っているのか、返事は待たずにすぐ「ガチャ」とドアが開く音がした。
(きっ、きちゃったー)
私はこそこそとそのまま布団へ潜り込み、ヴァン兄様とヴォル兄様の間で目を瞑る。起きていてもいい言い訳も思い付かないし…。
もうここは現実逃避だ。
その際ヴォル兄様を少し踏んだが、この際お構いなしだ。
「…ルーナ、ただいま」
「ただいまルーナちゃん。うふふっ、みんな可愛い寝顔ね」
「僕達のルーナが一番可愛い」
「うふふっ、そうね。…でも、ルーナに本当の兄妹が居たらこんな感じなのかしらね」
私は薄目を開けて、声のする方を確認した。
私達を起こさないようにすごく小声で話している人物。
「…そうだな」
「…ごめんな、マリア」
「どうかしたの?」
「ルーナに弟や妹を作ってやれなくって…」
「そういう意味で言ったんじゃないわ。…それに、あなたはもう宝物を私にくれたじゃない。私はルーナとレインが居ればもう他には何も要らないわ」
「…ありがとう」
そう言うと、そのまま二人の距離は近づいていき…
…
……
………ながっ!
ここ、子供部屋ですよー
まぁ、両親が仲が良いのは良いことですからいいんだけどね?
「…あなた、ルーナが起きたらまた来ましょう」
「そうだな」
カチャ、とドアが閉まったのを確認してから私は目を開けた。
…うん、あれが父様と母様か。
薄目だったからよく確認出来なかったけど、かなりの美形が居た気がする。
しかも、二人が入ってきたら凄い部屋が良い匂いで満たされてるし。
なんだ、なんだっ、美形は匂いも良いのかっ!
試しに私自身も嗅いでみるが、残念ながら良い匂いはしなかった。
まぁ、私がルーナになった時点でルーナの残念感半端ないしなぁ…
もし残念臭があるとしたらプンプンかもしれないが。
それにしても、父様は特に怒っていなかったような…?
私が兄様達の間で寝ていたのにも関わらず、だ。
…あれぇ?
私が作った設定が変わってるのかしら??
設定通りなら、私だけ部屋に移動させそうなのに…
まぁ、怒られたいわけでも、父様と兄様を険悪にしたいわけでもないから
怒られないなら、それはそれで良いんだけどね?
「ふわゎぁ…」
安心したら急に眠気が…
やはり体はまだ3歳児、私に早起きは辛すぎた。
…兄様達もまだまだ起きそうにないし、私ももう一眠りしようかしら。
そう思い、兄様の腕を枕にして眠りにはいる。
その際、出来心でクンクンと隣に寝ている兄様達を嗅いでみたら、父様達とは違うが凄く良い匂いがした。
うん、フローラル。やっぱりイケショタは匂いも良い…。
…あれっ、私今すごく変態っぽいんじゃないかしら?
あぁ、私のルーナが私のせいでどんどん穢れていく気がする…
そんな事を思いながら、私は眠気に負けて意識を手放した。
**********
「……な……きて…」
「ほん……か……」
んー、誰か喋りかけてる?
「ルーナ………よ」
「起き……」
あぁ、私の事呼んでる?
早く起きないと…
「……ルーナ、早く起きないと……しちゃうよ?」
「馬鹿っ、……は俺………!」
「うるさい。ルーナ起きちゃうだろ」
「起こしてるんだろうがっ!」
あれから数時間後、キャンキャン騒ぐ兄様達の声で私は目を覚ました。
あれだけ起こしても起きなかった割には、兄様達はとても目覚めが良さそうだ。
「あっ、おはようルーナ」
私が体を起こすと、ヴァン兄様がすぐさまベットに近寄ってきて軽く頬にキスを落とす。
そのまま私をヴァン兄様がベットから下ろすと、ヴォル兄様から私は手招きを受ける。近寄るとヴォル兄様も「おはよう」と言いながら私の頬にキスをした。
最早、我が家の恒例行事だ。
「おはようございます、にいさま」
「ん、おはようルーナ。今日も俺のお姫様は可愛いな」
「…にいさまも、てんしさまのようにうつくしいですよ」
「ハハッ、俺が天使じゃルーナは女神様だな?」
わしゃわしゃ、と私の頭を撫でるヴォル兄様。
因みに、この褒めあいも私達の日常だ。
最初の頃はこの『褒めあい』も恥ずかしくって否定していたのだが、否定すればするほど兄様達は私を褒めまくるのだ。
美しい、世界一可愛い、宝石より輝いているのはルーナだけ等…
うん、もう否定するのも諦めましたよね
「そうそうルーナ。父さんと母さん帰ってきてるよ」
「え、えぇ。しってますわ」
兄様達は知らないでしょうけど
何時間か前に父様達、ここに来てましたからね!
「俺達はさっき挨拶してきたから、ルーナも着替えたら行こうな」
「えっ、もうあいさつしてきたんですか?」
「僕達はルーナが寝てる間にね」
「…あのっ、だいじょうぶでしたか?」
父様、発狂しませんでした?
「別に…いつも通りだったよなヴァン?」
「うん。早くルーナに会いたいって言ってたよ」
「そ、そうですか。じゃあ、あいさつにいってきます」
私はそのままフラフラっとドアの方へ向かった。
父様の設定は、もうはっきり言って良く解らないが、二人の顔はちゃんと見ておきたい。
…そう思ったのだが
「こらこらルーナ。そんな格好で何処に行くの?」
「どこって…?」
この状況で両親の所以外にあるだろうか?
それに、そんな格好と言っても普通のパジャマだ。自分の家の中を歩くのだ。特に問題ないだろうと思っていたのだが
「先ずはお着替えだろ?ヴォル頼んだよ」
「おー、任された」
「きがえより、とうさまとかあさまにあいたいんですが…」
「だーめ。ほらっ、ルーナ着替えておいで」
「じ、じゃあ、せめてメイドさんにおてつだいしてもらい…」
「「却下」」
そんな私の提案は秒で却下された。
本当、双子のシンクロ半端ない…




