表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/38

Sランク冒険者 ニック

仕事と両立しながら書いてる人たちすごすぎでしょ

次は久々の戦闘回!!!

馬車を降りたところで、リィナたちとは別れた。




「じゃあ、あたしたちはこっちっス!」


「また後で会うかもしれませんね」




 リィナが大きく手を振り、アリシアさんは静かに会釈する。




「会議、頑張ってください」


「昇格戦も、どうかご無理はなさらず」


「うん」


「そっちもね」




 そう返すと、二人は人混みの中へ消えていった。




 残されたのは、僕と姉さんだけだ。




「じゃ、あたしたちはギルド本部ね」


「うん」




 城塞都市の中央へ伸びる大通りは、王都より幅が広い。その代わり、歩いている人たちの雰囲気が違った。冒険者が多い。誰もが自然に武器を携え、大きな傷跡を残している人までいる。




「ほんとに、戦う人が集まる街って感じ」


「だね」




 案内板に従って進むと、やがてひときわ大きな建物が見えてきた。




「あれか」




 石造りの重厚な建物だった。王都のギルドより明らかに大きい。外には武装した冒険者たちが出入りしていて、ただ立っているだけでも空気が張っている。




「本部ってだけあるわね」


「ちょっと緊張するな……」


「今さら?」




 姉さんが笑う。




 けれど扉をくぐると、その気持ちも少し分かった。中は広い。受付の数も多いし、行き交う人の足取りにも迷いがない。騒がしさはあるのに、王都のギルドよりずっと引き締まっていた。




 受付で名前を告げると、すぐに奥へ通される。




「昇格戦の件で伺ったアトラとキャトラです」


「把握しております。こちらへどうぞ」




 案内された部屋には、年配の男が一人いた。役人に近い雰囲気だけど、机の向こうからこちらを見る目は鋭い。




「来たか」


「はい」


「王都からの通達は受けている。ヴァルフェニア討伐、青晶洞での件、それらを踏まえての特例だ」




 机の上の書類を軽く叩く。




「通常、Aランク昇格には相応の実績と盗賊討伐等、段階を踏む必要がある。だが今回は、すでに十分それに値すると判断した」


「それで特例ってことですね」


「そうだ」




 頷いてから、男は一枚の紙を取り上げる。




「本来であれば、指定魔獣の討伐か、あるいは本部規定の模擬戦になる。だが今回は特例につき、試験内容も変更される」


「変更?」


「対人戦だ」




 姉さんが少し口元を上げた。




「そっちの方が分かりやすくていいわ」


「相手は本部選定の試験官役。二対一で行う」


「二対一……」




 そこで一拍置かれる。




「試験官はSランク冒険者だ」


「いいじゃない!!!」


「Sランクですか?」




 姉さんは置いといて、さすがに聞き返した。




 男は顔色一つ変えない。




「あぁ。ヴァルフェニアを倒したやつらだからな。並のAランクでは相手にならんと思った」


「昇格の条件は?」


「Aランクに相応しいかどうかだ。実力、判断、連携、生存力……総合して判断する」


「つまり、そいつに認めさせればいいってこと?」


「端的に言えばそうだ」




 姉さんはむしろ面白そうだった。




「余裕ね!」


「姉さん……」


「Sランクが相手なら、ちょっと本気出してもいいでしょ」




 そういう問題だろうか。




「試験は明日だ。」


「明日?」




 思ったより早い。




「早い方がいいだろ?」


「それもそうか……」


「詳しい条件は、試験官本人から聞け」




 その時だった。部屋の外で足音が止まる。




 次いで扉が開いた。




「お、この子たちが特例組?」




 年はレオンさんより少し上くらいだろうか。長身で、無駄のない体つき。片方は細めでもう片方は少し幅広い剣を2本背に負った男だった。




 男は部屋の中を見回し、最後に僕たちへ目を向ける。




「若いねぇ。ほんとにヴァルフェニア倒しちゃったの?」


「……倒しました」


「あたしたち二人でね」




 姉さんが答えると、男は目を丸くしたあと、楽しそうに笑った。




「ははっ、そりゃすげえわ。受けてよかったわ、この仕事」


「ニック」




 机の向こうからジュードさんが低く呼ぶ。




「分かってるって」




 軽く手を振ってから、またこっちを見る。




「俺が今回の試験官役、ニック。Sランク冒険者だ」


「アトラです」


「キャトラよ」




 名乗り返すと、ニックさんは頷いた。




「いやでもさ、あの不死炎鳥倒せるなら、試験なしでAランクでやれる実力は十分だろうって、俺は思ってるけどね?」


「じゃあ、試験いらないんじゃない?」


「それは駄目だ。」




 姉さんの言葉を、ジュードさんが即座に切る。




「ですよね」


「だよねえ」




 ニックさんは苦笑した。




「まあ、せっかくなら面白そうだし、俺が試験官役に立候補したんだ」


「立候補?」


「あぁ。ヴァルフェニア倒した特例組って聞いて、ちょっと戦ってみたくなってさ」




 そこで少しだけ笑みを深くする。




「試験官やるからには手は抜けないぞ?」


「抜かなくていいわよ」


「お、いいねぇ」


「その代わり、つまんない試験にはしないでね」


「そこは安心していいよ。俺も退屈なのは嫌いだし」




ニックさんの目が光る。




「じゃ、明日はよろしくな」


「……はい」


「ええ、よろしく」




 ニックさんは満足そうに頷いて、壁際へ寄りかかった。




「話は以上だ」




 ジュードさんが書類を机へ戻す。




「今日は体を休めておけ。長旅の疲れが残ったままで来られても困る」


「わかりました」




本部を出たあと、そのまま近くの宿を取った。


荷物を下ろして、ようやく一息つく。




「明日が楽しみだわ!」


「姉さんはいつも通りだね」


「アトラもでしょ?」




楽しそうに笑う姉さんを見て、少しだけ肩の力が抜けた。




明日になれば、いよいよ昇格戦が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ