星空への鍵
「あーあ、でも飛空艇アイオロス、魔力に変換しちゃったんだよね? 結構気に入ってたのにな」
エレノアが不平を漏らす。まぁ、露天風呂とか家電とか、色々あって快適だったしな。それに思い出もある。布団やコタツは引っ越しで持って来れたとはいえ、名残惜しい。
「まぁ、一度錬成したことのある物体ならもう一度作れるから。飛空艇も再現できるはずだ」
「そうなの!? じゃあほとぼりが冷めたらまた空に戻りたいわね」
「そうだな。皇帝が俺らへの怒りを忘れかけたら、また飛空艇を浮かべてやるか」
俺は飛空艇アイオロスの設計図をしまおうと、手を伸ばす。すると、仄かに光っているのが分かった。光源は、設計図にいつの間にか浮かび上がっていた文字列だった。
【天穿つ魔法は星空への第一の鍵】
そんな言葉が刻まれていた。
「あれ? こんな文字なかったよなぁ」
余白に記されているこの言葉は、ヒナビのやつが書いたものなのか? 今浮かび上がったのは、何かの条件を満たしたから? ヒナビほどの才があればそれくらいのことは仕込みそうだが。
「天穿つ魔法って、スカイピアッサーのことじゃないか?」
フレアが指摘してくる。
「私の炎も収納できたんだ。スカイピアッサーの魔力の残滓が、この潜水艦内部にも漂っているのかもしれない」
なるほど。確かに微弱だがスカイピアッサーの余波は感じる。それに反応した設計図が文字を表示させたのか。どういうカラクリかは知らんが。
「まさか、皇帝に撃ち落とされそうになることまで予見して、ヒナビさんはこの設計図を?」
セレスティアがそんな推理を披露する。
「いや、ヒナビにそんな異能はなかったはずだが……確かに奇妙だな。どういうことなんだ?」
それに、「星空への第一の鍵」ってなんなんだ?
星空を地上に再現できるとかそういうことなのか?
ヒナビのことだから何らかの意図があってのことだろうが、俺はその深遠な意図を掴みきれなかった。




