♤ 大阪特区防衛戦 2
俺とサラは、小夜子と分かれた後に身体強化術を使い、付近で一番高いビルへと飛び上がった。
「あれ、もう防壁突破されてない?」
「ああ。恐らく突破されてる。それに、さっきから続くこの音と振動。おそらくでかい怪異が顕現してる。」
「やっぱり?」
サラがあからさまに嫌な顔をする。
「とにかく、ゲートに急ごう!」
「オーケー!」
俺達はビルからビルへと飛び移り、より前線へと向かっていく。
ビルから外縁部へ向かうモノレールの高架に合流し、その上を疾走する。
モノレールは非常時のため運休しているので、列車を気にすることなく移動に活用させてもらう。
高架上を進んでいると、防壁周辺で強烈な呪術行使光が光る。
大規模呪術が使われた証左だ。
「真!今のって。」
「さっき陰陽師が先行して行ったのを見た。彼らだろう。」
「すごいねー。それはそうと真、あたしはこの辺から迎撃するよ。」
ここはレールが緩やかにカーブした箇所で、ゲートが良く見え、距離は2000m程度となっている。
サラが狙撃するポイントとしては誂向きといえる。
「わかった。俺は現場に向かう、援護頼むぞ。」
「任された!」
そう言ってサラは担いでいたバッグからハードケースに分解収納されていた狙撃銃を取り出す。
ロアフレームのバイポッドを展開しピンを抜く、アッパーフレームのバレルを引き出し固定。
ロアフレームにアッパーフレームを差し込みピンで固定する。
サラは淀みない手つきで、あっという間に組み立てられていく。
組み立て終わった狙撃銃は『バレット M82』。使用する弾丸は12.7×99mm。銃の全長は約1500mm。
対物ライフルと呼ばれる凶悪な狙撃銃だった。
サラはその銃の横に一瞬、弁当箱にも見える弾倉を幾つも並べていく。
その内の一つを手に取り、狙撃銃に差し込み、コッキングレバーを引き初弾を装填した。
「準備いいよー。行ってこい!」
「任せたぞ!」
高架から飛び降り、最短距離で今だに戦闘が続いている西ゲートを目指す。
『真聞こえるー?』
サラから伝心が入る。
「どうした?」
『真さ、『鴉』上げてるでしょ?こっちにも視界共有してくれない?』
「わかった。支配権ごと渡すぞ。」
『オッケー。受け取った!いいねー、よく見える。』
ガンッ!!
背後から銃声が聞こえた、サラが狙撃をしたのだ。
『真、屍に混じって影鰐も来てるよ。1匹やったけど多分まだいる、気をつけてー。』
「わかった。」
もう普通の肉眼でも、屍が良く見える距離まで近づいてきた。
鞘を握る手に力を込める。
♣
「響子姉!よかった。」
「エイ!よく来てくれたわ。さっきのは助かった。」
伝心が通じず、心配だった叔母に合流できた。
「メイは?」
「少し離れた所で戦ってる。多分、大型の怪異が奥にいるんじゃないかな?」
「おそらくね。でも、今の戦力では防戦が精一杯。橋頭堡を築けないのが現状よ。左翼!弾幕を!屍を抜けさせるな!」
響子は現場の指揮を取りながら、現状を説明してくれる。
敵の初撃で『W3ゲート』以南の防衛員は半数以上が死傷した。
残された戦力では戦線の後退をしいられ、結界を盾に押し留めていたところに敵の質量攻撃で結界が破られたのが現状とのことだ。
先程のメイとの一撃がなければそのまま押し切られていた可能性があったと言っていた。
「まだ、屍がいる。僕もメイと各個撃破に専念するよ。」
「防衛部も何とか、これを機に戦線を押し上げてみる。討伐部隊はあと1時間近く掛かるらしいわ。」
「わかった。」
「聞こえた?メイ?」
『聞こえてる。あと1時間ね?』
「そう言ってた。」
メイとの伝心をし、行動に移そうとした。
各個撃破ならとメイとの居場所から少し離れたほうが良いと彼女の現在地を探した。
程なくして彼女を見つける。
そのメイの背後には影に潜んだ『影鰐』が大きな口を広げていた。
「メイ!!」
だめだ!間に合わない!!
「陰の法『影縫』」
別の方向から声がした。




