第6話 12月7日 その三
ビジョンに写っている映像は茶色のソファーがあったり、まるで探偵事務所のようなクラシックさを感じる場所で、ある人物を受けているものだった。
そのインタビューを受けているのは世界の死霊狩りをまとめる死霊狩り協会のトップ、ミリア──というか、その肩書き以前にミリアはヨルルの実の兄だ。
ミリアは黒髪ショートヘアー、黒く丸い瞳で丸眼鏡をかけていて、身長175センチメートル、白いシャツと黒い長ズボンを着て、黒いネクタイを付けており、美しい顔立ちで吸血鬼の男性。
ちなみにクルロという女性でアンドロイドの恋人がいる。
……この映像では姿は見えないが。
『……不安にさせてしまったでしょうが、今の人類には単独で死階死霊を討伐可能な死霊狩りも増えてきていますし、死階死霊の全てを明らかにでき、更には死霊たちを全て倒して世界に平穏が訪れる日は近い。これは間違なく言えることでしょう』
ミリアは自信満々かつ笑顔で微笑んだ。
「……」
……ミリアはカリスマ性がある人物を平然であり当たり前でありそれが自分という感じで喋っているが大丈夫だろうか?
最近ヨルルは忙しく、ミリアも忙しいようで会えず、彼の調子がどうなっているか心配だ。
……いや、こればっかりはクルロが上手くやってくれていることを信じるしかない。
というか、クルロしかミリアを助けられないのが現状だ。
なんとか近い内に会えるように取り繕う。
「そんなにミリアお兄さんのことが心配ですか?」
「……!?」
まず認知できたのは雪が積もっているので聞こえやすい足音が聞こえなかったのに、座っているベンチにはヨルル以外誰も座っていなかった筈なのに、ちょうど右隣座っていたら聞こえる位置から少女のように高く一度も聞いたことがない声。
次に人間ともアンドロイドとも吸血鬼とも天使とも違う──まるで死霊みたい、と思わせるような異質で生気がしない雰囲気。
すぐにヨルルは右隣を向く。
右隣に座っていたのは黒いミドルヘアー、黒く優しい眼差しの瞳、黒色のパーカーと黒色の着やすそうなズボンを着ていて、身長は目測155センチメートル、美少女かと思う程可愛らしい顔立ちだが──自分の弟、スヨノと同じタイプで多分、男性。
年齢はこれも目測であり勘だが、16才。
見ると人間にしか見えない──けれど直感が、本能が、細胞が、今まで死霊と戦ってきた経験がヨルル自身にこう伝えてくる。
“この少年は人形の死霊だ”
「……!!」
すぐに狩人指輪を開こうとし、ひらけと思いを込め──。
「弟さんと妹さんは二人よりも遥かに強い僕の協力者が監視しています。僕に攻撃しようとしたら……どうなるでしょうね?」
……人形死霊の厄介な点は人とコミュニケーションが取れ、人間と同じ思考と知能を持ち、人間社会に溶け込めるところ。
階級が高い人形死霊程、見分けが付きづらく、人形の死階死霊は歴戦の死霊狩りでも人と見分けが付かない(まあ、死階死霊は力が溢れすぎて潜伏できないので人形でも人間社会に溶け込めないが)。
以上の特徴があるので人だと思っていたら後ろから襲われたり、知的な戦術で立ち回られる。
今回のように誰かを人質に取ることも、もちろん例として存在する。
「攻撃しなければ、弟さんと妹さんは普通に過ごせます。しかし、あなた……ヨルルさんの一族は凄いですね。千年以上続く最も優れたリリノル家と呼ばれる吸血鬼の家系で、今は世界で名を馳せる死霊狩りの一家。弟さんと妹さんも14才と若いのにもう既に霊魔持ちの死霊狩りだ。ヨルルさんの祖父、父、母、兄、姉は死階死霊討伐経験有りですよね。ははっ、死霊からしたら恐ろしい家族ですよ……あ、でもヨルルさんは上階死霊くらいは倒せるでしょうけど、死階死霊を倒している人類の英雄たち。それにいとも容易く霊魔を獲得し、ヨルルさんよりも早く死霊狩りになって、このままいけばその英雄たちの仲間入りを果たせる弟さんと妹さんがいる。その中でヨルルさんは霊魔を獲得するのにすごく苦労して、霊魔持ちの死霊狩りの中では最下層の実力なので比べられて大変でしょうね」
──コイツ、長々と人のコンプレックスを遠回しにペラペラと言いやがって……。
攻撃できるようになったら覚悟しとけよ。




