第15話 スペア
『!?!?』
辺り一帯が静かになって、すぐに一般人はパニックになり、周りの車は逃げていくように各方向に去る。
ただ、この車内の全員は路地裏を見る。
そこは六人の死体と一人の露出している所は傷だらけで左目は眼帯をしているラガーマンのように大柄な人間の男がショットガンを手にし、突っ立ている。
「……死霊ってよぉ……こえぇよぉなあ? 明らかに化けもんなデザインで“死ぬ”っていうのが頭によぎるからなぁ……。まあ? 霊魔は苦しんで不幸感を感じさせながら殺さないとでねぇし……死霊も見た目で恐怖とかをすぐに与えてぇ……簡単に霊魔を取るためなんだろうがよぉ……」
男は霊魔が暴走していた男性の背中にできた大きな銃痕とピクリとも動かなくかった体を見て喋る。
「でもよぉ……? 人類もまだまだこえよぉなあ? こんな世界で死霊も居るっていうのにぃ人類同士で殺しあいするんだもんなぁ……? つーか……死霊は明らかに違うとしてぇ……人間以外の吸血鬼ぃ……天使ぃ……アンドロイドぉ……は人類になるのかぁ? ………あ? 悪ぃ……お前らを差別するつもりは無かったんだぁ……許してくれぇ……」
しょんぼりした表情見せた男。
直後、モルネがなにかを気付いたようにハッとした顔を見せる。
「……アイツ!! 確か私を狙っている犯罪集団の一人です!! 名前は──」
『カミツ。殺人歴有りの犯罪者で現在は行方をくらましている。霊魔を体内に持っており、重要指名手配犯の一人です』
モルネが名を出す前にヨルルの狩人指輪が反応。
「……あぁ……確かぁ狩人指輪っていうヤツは死霊とか犯罪者とかはもちろんな上に使えるかもしれないデータは網羅してるんだったか……? 便利だょあなぁ……」
羨ましそうな視線を送る男──カミツ。
しかし、至極どうでもいい。
護衛依頼の敵ならば倒すのみ。
リミクとネネアも同じことを考えていたらしく、すぐに切り替え、狩人指輪からリミクはショートソード、ネネアは刃があちこちに付いた鉄鞭を取り出した。
ヨルルは昨日の鎌と二丁拳銃を取り出す。
そのまま一瞬、シャルルにアイコンタクトを送り、彼は頷き、三人は車から飛び出し、男の前に立つ。
「……おいおいぃ……俺たちは天使の女を寄越せば──」
──なんて言い終わる前にヨルルは自身の霊魔を斬撃やレーザーなどの自身がイメージした攻撃に変えて放出する能力を使い、放出する力を増させる二丁拳銃から引き金をひいて細い二つのレーザーを男の心臓と脳天に一つずつ撃ち出した。
二つのレーザーは心臓と脳天をいとも容易く貫き、カミツは倒れた。
『わりとあっけない』なんて思いたいがあの男の雰囲気は異質だった。
本当に人を殺すのに慣れている人間のそれと一緒だった。
「……あれ?」
ヨルルは先程の六人の死体を改めて見て気付く。
おかしいとは思っていた。
銃声が聞こえたのは一回だけのなのに、カミツの武器はショットガンだったのに六人も死んでいることに。
そう。
全員、殺され方が違っていた
銃以外は刀で斬られる、首絞め、ハンマーで殴られる、胸を包丁で刺される、斧で切り裂かれる。
明らかにアイツ一人ではない。
「お前らには何もしない、ってよく聞くようなセリフを言おうとしてたのにぃよぉ……俺たちスペアのことがバレないようにタイミングを見てぇショットガンで面倒なヤツを殺したのにぃ……てめぇ……そう……ヨルルっていう名のお前にバレたしよぉ……人生うまく行かねぇなぁ?」
するとゾロゾロと周りから五人のカミツと同じ姿の男が出てきた。
──いや、違う!
五人だけじゃない!!
「お、お姉ちゃん!! コイツら……百人は居るよ!!」
「姉さん!! どうする!?」
あっという間にカミツたちはさっき進んでいた道路を含め、辺り一帯を支配していた。
まずい!!
「シャルル!! キミはモルネとここを離れて!!」
「いいんですか!?」
シャルルが初めて焦っていたが、気にしないですぐに指示を出す。
「コイツらの狙いはモルネなのは多分間違いない!! 二人はここに留まらずに!! 私たちがコイツらを倒す!!」
「でもモルネさんを護衛するのはお三方ですけど!?」
「そんな事は気にしてる場合!? それよりもモルネの命優先!! 後、シャルルは人形上階死霊でしょ? 最悪シャルル一人でもなんとかして!!」
「え!? 僕がなんで人形上階死霊だと気付いて……って、違う!! ま、まあ、分かりました!!」
シャルルとモルネが乗る車は再び進みだす。
モルネは車が進みだしてすぐこちらに。
「どうかご無事で!!」
と大声で激励を送ってきた。
『っておいおい……逃がすわけぇ……ねぇだろうが!!』
カミツたちはすぐに進路を妨害するか、武器を構えたが、ヨルルが大鎌に切り替え、コントロールされた斬撃を放出し、なんとか車を進ませた。
「……はぁ……てめぇらを倒さねぇと進ませてくれねぇのかぁ。じゃあ、殺してやるよ!!」
目の前のカミツがそう言い放った。




