第12話 死階死霊2
その直後にミリアの話を聞いていた者たちの狩人指輪から画面が写し出された。
『記録が残っている主な非討伐の死階死霊の映像。
映像終了後にそれぞれの死階死霊についての詳細情報が書かれたデータを送るため、要確認するように』
そして、画面から5から始まるカウントダウンが始まり0になって、映像がスタート。
『記録西暦2026年2月25日18時35分 個体名 “八ツ羽龍桜”』
まず写し出されたのは大都市を上空から撮っていたもので、その大都市のカメラが寄った一つの何の変哲もない道路から突如として巨大……なんて言葉では足りない程、大きく頂点が見えない“桜で彩られた竜巻”が発生する。
だが、桜のお陰で脅威は減っているように見える──訳ではなく、どんどんと大都市は崩壊していき、跡形も無くなった。
その直後、竜巻が消え……高層ビル一つ分の長さと太さを持つ一本の長い体に八つの黒い羽を持ち、二つの赤い眼の黒い鱗に覆われた龍が姿を見せる。
その龍、八ツ羽龍桜は宙で羽を動かしながら止まっている中、突然瞬間移動のように姿を消した。
『八ツ羽龍桜。
ここで初めて姿を見せ、2026年に合計8回出現。
いずれも大都市に現れ合計約一億人もの人々を殺害。
その後、姿は確認されていない』
直後に映像が切り替わる。
『記録西暦2025年12月31日01時45分 人形死階死霊 “フレミア”』
舞台は変わり、海をドローンを使い空中から撮影している中にドローンが方向転換し、後ろを向いた時、黒髪ショートヘアー黒い瞳で身長150後半で、チェーンの一番下にはひし形が付いた銀色のピアスを右耳に嵌め、顔立ちは丸く小さく幼さがある17才程度の少年が平然と空に浮いていた。
その少年……人形死霊フレミアはドローンに振り向き笑顔で両手を振る。
フレミアは両手を下ろすと右手の指を鳴らす。
直後、360度から幽霊と例えるのが妥当な化物たちが出現。
そして、ドローンのカメラが壊されたのか映像が途絶える。
『フレミア。
2026年末まで各地で確認され、死霊と性質は同じだが、見た目はホラー映画に登場する幽霊を操る。
田舎町から都市まで攻撃を繰り返し、合計約八億人もの人々を殺害』
文章が表示され、また映像が切り替わる。
『記録西暦2026年12月24日20時06分 個体名 “三火月”』
世界が死霊たちの猛威にふるわれながらも賑わいを見せている平和な街のクリスマスイブの中、男性が当時使われていたというスマートフォンで録画をしている。
その録画映像なのだろうが……映像の中の街から遠くにある山の頂上に“三つの大きな火の玉が自身の上に漂うドーム一つ分の月”が山の頂上を押し潰しながら居座ってる。
街の人々の注目を一身に集める中──突如映像は途切れた。
『三火月。
この日限りの出現であるが、十八ヶ所で確認され、合計二億人の人々を殺害』
そして、映像は切り替わる。
『記録西暦2026年12月21日17時00分 個体名 “神隠し”
※注、この死霊はこの日付以前にも出現しているが、記録が残っていないため、この映像を使用する』
どうやら大都市の監視カメラの映像のようだが──なぜかすぐに消えた。
すぐに別のカメラに切り替わったが、それは“大都市一つは入りそうな更地”を撮影しているものである。
だが、そこで映像は終わる。
『個体名 “神隠し”
今の映像の最後は大都市が存在していた場所を撮影しているものであり、神隠しは出現する度にまるで最初から更地だったように人々が暮らす場所を消す。
殺害した人々の数は合計二十億人』
……存在自体はここにいる全員が知る死霊だった上に参考になる資料等は見ている。
とはいえ死霊狩りとしての経験が浅く、強い者でも中階までの死霊がやっと倒せるものたちにとっては絶望感であり理解不能とも言える感覚を脳が覚え、誰も口を開かなかった。
まるで時が止まったような静寂感が包む部屋の中、ミリアが口を開く。
「こんな映像を見せて申し訳ないとも思っている。だが、死霊狩りならば死階死霊が出てくる戦場に出くわすこともあるし、それはすぐ先の話になる可能性は充分にある。だからこそ現実に向き合い、一旦気持ちを整理して、戦いの覚悟を決めてほしい。でも強すぎる心配は要らないよ」
ミリアは優しい口調で目の前の死霊狩りに語りかける。
そして、引き込まれる笑顔で続けた。
「紹介した死階死霊か、今回紹介していない別の死階死霊が出てくるかはまだ分からないけど、どちらにせよ君たちを前線には出さない。僕みたいな死階死霊を倒せる死霊狩りがコイツら引き受けるし、君たちはまだまだこれから強くなる」
そのままミリアは鋭いけれど優しさのある目付きで。
「だから、君たちは世界一周なんて余裕な大船にでも乗ったつもりで力を付けて戦う日々を過ごしてほしい」
と、語り終えた。




