表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セラン・ブルーと幸福の少女  作者: Annabel
第1部 再会編 ※工事中。上から順に読んでいただいて大丈夫です
24/143

22.真面目なアドバイス(?)

「ライナス!お前まだ結婚してないのか!信じられん!結婚はいいぞ、結婚は!恋人くらい作れ!好きな相手の一人や二人いやむしろ三人くらいいないのか?男なら…」



 まだまだ続きそうな怒涛(どとう)の大声。それを諫めたのは鶴の一声だった。


「おばあ様」


「ええ。…あなた!いい加減になさって!本っっ当にみっともない!!」


 かたわらの老年女性から叱責され、一方的にまくし立てていた人物はチュンッと静かになった。


 そうして女性が頑強な腕を取り、「本当にごめんなさいね、公爵様。…行きましょうか、あなた?」と微笑めば「うん」と委縮した巨体が速やかに遠ざかっていく。


 それを見送る暇もなく、今度はライナスの目前に深く下げられた茶色い頭。


「申し訳ありませんでした!」


「いや…」


「本当に本当に、申し訳ありません。祖父がとんだ失礼を申しまして…!誠にお恥ずかしいかぎりです」


 「あれは我が家の恥です」と言い切るルルリエにライナスは苦笑した。

 あの猛攻からこの謝罪まで。ここまでの流れを彼はすっかり慣れており、もはや一連の儀式だ。


「相当酔っておられたな。仕方ないだろう」


「ええと…言い訳にもなりませんが、祖母と和解したのが効いたのかと」


 本当に申し訳ありません、とルルリエに再度謝られる。


 今ライナスに容赦なく絡んでいたのは国軍の元帥、ミゲル・ガーランドその人だった。


 貴族籍ではないというだけで、軍部では名実共にトップの存在。それに彼はライナスの剣の師であり、気さくに話しかけられるのも今更だ。

 しかしそれが気になるらしく、ルルリエはいつも申し訳なさそうにする。知り合って十年経つが、相変わらず律義だ。


 気疲れしたのか、はあ…と溜息をつく彼女を横目に、ライナスが壁時計を見ていると。


「……あの、聞いてもいいですか…?」


「ああ」


「…少佐、本当に今は恋人もいないんですよね?」


 中々に率直な質問だ。

 客観的に考えれば、今の騒ぎの後に尋ねるものではない。だが二人の間柄ではさほどの話題ではなかった。


「いないな。今はそんな暇もないのは知っているだろう」


「じゃあ好きな人は…あ、気になる人でもいいですよ?」


(なぜそこで身を乗り出す?)


 すでに聞き飽きた、令嬢の親のような質問をライナスは訝しむ。


「急にどうした?はっきり言ってくれ」


「………もういいです。そこで『君のことが気になるんだ』とか、言ってみたらどうですか?」


「婚約者がいるくせに、なにを言う」


 ライナスは彼女が婚約者と相思相愛なのを知っている。そんな睦言は間違っても言うわけがない。

 そう反論すれば、隣の丸い頬があからさまにむくれた。どうやら酔っているのはルルリエもらしい。


「そうですけど…!…ああもう、そうじゃなくて。ライナス様……好きな子にそんな態度じゃあ、伝わらないですよ?」


 もう会話の脈絡もなくて、眉を寄せる表情にライナスは笑った。ルルリエはやっぱりあの元帥に似ている。

 すると彼女は目を半眼にさせて…。


「…笑わないでください。私は真面目に言ってるんですよ?」


「ふ…ああ、わかった。ちゃんと聞くから怒らないでくれ」


 その後しばらく、ライナスはますますの謎理論で今夜のパートナーに責められ続けた。

 笑い続けたせいで、最後には「あののことで困っても、知りませんからね」とまで言われ、一体なんの話かと、余計に面白かったが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ