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【第二章完結】モンスター系ダンジョン配信者〜ニンゲン嫌いの僕は、モンスターを布教しながら最強となる〜  作者: おしり炒飯


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第96話 守るための強さ

 あー、ダメだこれ。絶対倒さないといけないやつだ。しかも、言葉が通じないタイプのやつだ。


 『メェエエエエエエエエエエエエエエッッ!!!』


 意思が何も伝わってこない! ってかこの子、メェーって考えながらメェーって鳴いてるわ。


 ブオンッッ!


 極太の触手が振り下ろされる。パステル☆ナイツのミナトとソウが、一撃で叩き潰された触手だ。


 『モンゴロー、避けろッ! あの触手はまずいッ!』


 「いや、避けないッ! この子の力を、全身で受け止めたいんだっ!」


 『ハ、ハァ!?!?!?』


 皆さんは肉体言語という言葉をご存じだろうか? 言葉が通じなくても、拳で語り合える。筋肉で語り合える。なんか、そんな感じの意味だったはずだ(適当)。


 そう、例え黒山羊くんと意思疎通ができなくても、肉体言語であれば語り合えるかもしれな


 ドッゴォオオオオオオオオンッッ!!!


 『モ、モンゴローーーーーーーッッ!!!』


 爆発が如き衝撃音が平原に響き渡り、大地には巨大なクレーターができあがっていた。常人であれば、肉片の一つも残らないような攻撃。周囲のピューマンたちは、息をのんだ。


 「いっってぇなぁ、コラァッッ!!!」


 『ホウッ!?』


 土煙の中、青い眼光が光っている。

 モンゴロー、健在。


 『あ、あの一撃を耐えたのか!?』


 「どおおおおおおおおりゃあああああああああああッッッッ!!!」


 ずるずると引きずられる黒山羊。四つ足の蹄が大地を削る。


 『メェエエエエエエーーーーーーーッッッッ!!!??』


 「うりゃああああああああああああああッッッッ!!!」


 はい、背負い投げ~~~~~~~~~!


 黒い巨体が宙を舞う。あり得ない光景に、クーガーたちは全員口をあんぐりと開けていた。


 ズドォオオオーーーーンッ


 シュタッ! 100点の着地。


 「ふぅ、ありゃダメだ。意思疎通は不可能だね。で、どうやって倒す?」


 『お、お前さぁ!! めちゃくちゃすぎるぞ!!』


 「いやぁ、肉体言語だったら語り合えるかと思ったんだけど…。」


 ダメでしたね~。でも、黒山羊君(ちゃん?)と直接触れ合って分かったこともある。おそらくだが、黒山羊の触手すべては筋肉だけで構成されている。とてつもない密度の筋繊維を感じ取ることが出来た。


 『メ、メェエ~~~~~~~ッ…!』


 のっそりと黒山羊が立ち上がった。僕の背負い投げによって状況はリセットされ、再び膠着状態となった。警戒しているのか、黒山羊は触手を宙でくゆらせて、様子を窺っている。


 「どうする? クーガー。」


 『む、我に聞くのか?』


 「え? もちろん。この戦いはあくまでピューマンたちの、クーガーの戦いだ。君が族長を、黒い風を継ぐための。」


 そう、この戦いはピューマンにとって神聖な儀式でもある。僕は部外者。故に僕はこの戦闘、サポートに徹するつもりだ。彼らの誇りのためにも、この戦いは彼らが、クーガーが突破しなければならないものだ。


 『ガルフフフ、嬉しいぞモンゴロー。さすがは我が友。』


 クーガーが、牙をむき出しにしてニヤリと笑った。


 『我が一族の誇りにかけて、我が黒山羊様を討つ。故にモンゴロー、お前は――。』


 クーガーが、前傾姿勢をとった。

 風が、ささやき始める。



 『お前は、防御を頼む。』



 黒い風が、吹き始めた。



 ○



 我の一族は、黒山羊様に祝福された一族だった。男は皆、黒い体毛を持って生まれ落ちる。そして黒山羊様が顕現された際には、その存在を感知出来る。


 『メェエエエアアアアーーーーーッッ!!!』


 上下左右から同時にふるわれる触手。見える、見えている。対応できる。


 『<黒風刃>。』


 無数の、黒い風の刃が射出され、触手のことごとくを斬り飛ばした。風に踊るババブの葉のように攻撃を躱しながら、太い触手の上を駆け抜けていく。


 チラリと視線を下に向けると、地上ではピューマンの戦士達が黒山羊の気を引きつけようと奮戦していた。我が父が黒山羊様を討伐した際、戦士団は全員命を落としたそうだ。


 父の親友だった男も、最後の瞬間父をかばって死んだらしい。その親友だった男こそ、ブチの父親だ。


 死んで欲しくないなぁ。


 わかっている、これが弱音であることは。父が知れば激怒することだろう。だが、我にとって彼らは家族同然。皆、大切な存在なのだ。


 戦いの中で死ぬことこそが誉れであれど、死なないことこそが一番良いことだと思う。故に我は、一人の犠牲も出さずに、黒山羊様を討伐したいのだッ!


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 足下の口が、ニヤリと笑っていた。視線の先、すさまじい速度でせまりくる太い触手。我では受けきることが出来ない。このままでは我も、羽虫が如くぺしゃんこにされるだろう。


 だが、問題無い。我はただ前へ、進むのみ。



 「<我が身を盾に>。」



 青い鎧。我が友が光と共に現れ、触手をすべて受け止めた。衝撃波によって土煙が舞い上がり、足下の触手が揺れ動く。



 「――行け、親友。君が継ぐんだ、黒い風を。」



 すれ違いざま、友の声。

 ああ、分かった。ありがとう、友よ。



 『ガルルゥゥゥァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!』



 咆哮。

 我は、守りたいんだ。


 すべての、ピューマン達を。我が家族を。我が友を。


 だから彼のような。

 我が友、モンゴローのような、守るための力を。



 黒い風は、その思いに答えるように。

 我の体を包み込んで。



 ああ、これだ。これこそが、我の力。

 我が望んだ、黒い風だ。



『――<黒き風の王ワイルド・ウィンド>。』



 風が、高貴な王の装束となって纏われている。漆黒のマントがはためき、両手から伸びた爪はすべてを斬り裂くだろう。


『終焉だ、我らが神よ。』


『メェエエァアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーッッ!!!!!』


 すべての触手が束ねられ、塊となって襲い来る。我が戦士たちごとすべてをなぎ払い、皆殺しにするつもりのようだ。


 だが、そうはさせぬ。


 終わらせる。



 『―――<黒爪無尽>。』



 王の黒爪が振るわれた。

 音も無く、黒山羊と呼ばれたそれは斬り裂かれて。



 『ホウ、ホウ、ホウ、ホウジョウヲ、サズケン。』



 黒き汚泥となって、赤茶けた大地に降り注いだ。


 今日この日。新たなる伝説が、誕生した。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 二つ名の継承…熱い展開ですね。
最初の方、モンゴローが喋ってるのかナレーションなのかが分かりにくいです。 へぇ、意思がないタイプ!そんなのも居るのか。と言うことはモンゴローでも友達に成れなくて、あくまでシステムとしての存在なんですか…
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