第95話 「参戦」
「では、ガズルさんをお願いします。」
高松兄妹との戦闘を終え、ガズルさんを集落まで運んだ。重傷だが、手持ちのポーションで一命は取り留めた。
『待て、モンゴロー…。』
「ガズルさん、無理しないでください。傷が開きます。」
『ガフフ、礼くらい、言わせてくれ。…ありがとう、モンゴロー。お主のおかげで、ワシはまだこの世にいる。』
ガズルさんは優しく微笑んだ。
「へへ。貸し、ってことにしておきます。」
○
さて、と。戦いはまだ終わっていない。黒山羊討伐に向かったクーガーたちの助太刀に行かないと。もしかしたらパステル☆ナイツとも戦闘になっているかもしれない。いざとなれば僕が、俺が、パステル☆ナイツを――。
「行くのかね? クーガー君たちの元に。」
「…ぱんじーさん。」
気づかなかった。いつの間に背後に?
「ありがとうございました。皆に襲撃を知らせてくれたのも、負傷したオババを助け出してくれたのも、ぱんじーさんなんですよね。」
「ひょひょ! まぁの。言葉は伝わらないが、彼らには世話になっておるしの。それに、オイラのパンツを見せつけられる存在がいなくなってしまうのは、悲しいでなぁ。」
ブレないな、この変態は…。
「すべて見ておったよ。お主が、モンスター・Xだったんじゃなぁ。」
…すべて見られていた、のか。
「…僕を殺しますか? それとも通報しますか?」
ぱんじーさんは間違いなく強敵だ。だが、ぱんじーさんとは、戦いたくないな…。そんなことを考えながらぱんじーさんを見ると。
ぱんじーさんはひどく悲しげな表情で。
「悲しいのぉ、モンゴロー君。そんなことはせんよ。第一オイラは、パンツを、体を見せつけたいだけじゃぞ? それに――」
パンイチじーさんはニチャっと笑った。
「お主はオイラの、大事な“変態友達”じゃからな!」
友達。僕のあの姿を見た上で、僕を友達と言ってくれた。胸の奥で、暖かい光が点ったような気がした。
…いや、待て。変態友達ってなんだよ!!
「僕は変態じゃないんですけど!!!」
「え、変態じゃろ? この前ヌンチャクニキ君とDMで話したが、モンゴロー君が変態であることは視聴者たちの中では共通認識らしいぞい?」
バ、バカな…!
「あ、それと。モンゴロー君がボコボコにした高松兄妹も最低限の治療してゲートに放り投げておいたぞい。友人に殺人させるのは、人生の先達として思うとこがあっての...。まぁ、運が良ければ生きてるじゃろ、知らんけど。死んだらラストアタックはオイラってことになるな!」
い、いつの間に!? ってかどうやって!? ラストアタックってなんだよ!
「ってことじゃから、これからも仲良くしようじゃあないか、モンゴロー君! ひょっひょっひょっひょっひょ!」
嬉しいが、素直に喜べないんだけど…!
○
「戦線は膠着してるな。うん? パステル☆ナイツはもう敗北したっぽいな。一人しかいないけど、青色担当と緑色担当はもう死んじゃったのかな?」
集落を出て平原を駆ける。先行させていた影人形を通して、黒山羊とクーガーたちの戦いの様子を確認していた。
「しかし、これが黒山羊…。」
うーん。山羊要素、少なくない???
山羊というか触手の塊というか…。でも、めちゃくちゃキモかっこよくてやばい。はやく自分の目で見てみたい。どんなことを考えていて、どんな趣味嗜好をしているんだろう…!
是非とも友達になりたい。なりたい、が。おそらく戦闘必至のタイプと思われる。
「うわっ、あの威力の攻撃でこの程度のダメージかぁ。めちゃくちゃタフだな。」
ピューマンたちの総攻撃をものともしていない。観察した感じ、魔法なんかを使っている様子はない。おそらくフィジカルと物理的な攻撃力でゴリ押ししてくるタイプ。シンプルながらに強敵。僕とも相性が良いとは言えない。
「変身、しないと厳しいな。」
日に二度の変身。初めてのことだが、魔力も体力もまだまだ余裕がある。それにパステル☆ナイツのドローンが生き残ってるようで、戦いに加わったら全国配信されてしまう。正体を隠す意味でも、変身は都合が良さそうだ。
ドゴォ、ン。土煙が上がっている。
視界。遠くに、戦場を捉えた。
○
戦えている。戦えてはいるが…!
『ガルルァッッ!!』
風、そして黒爪が触手をまとめて数本斬り飛ばした。しかしその触手も即座に再生する。周囲ではピューマンたちが連携して触手を抑えつつ、黒山羊の本体へと攻撃を届かせようとしている。
しかし。
火力が、足りていない…!
黒山羊。圧倒的な耐久力と攻撃力を誇る、純粋なフィジカルタイプ。搦め手のような厄介な攻撃はないが、シンプル故に強い。
父上はどうやってこんな存在を討伐したのだ! いや、弱気になっている場合ではない。
我が、継ぐのだ。黒い伝説を…!
『メェエエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!!!』
黒山羊の絶叫が響き渡る。至近距離で咆哮を食らったクーガーの動きが、鈍る。
『ホウ、ホウ、ホウ。』
触手が迫る。パステル☆ナイツにとどめを刺した、太い触手が。
『しまっ――』
やられる。眼前が黒一色で染まる。
否、一筋の、青い光。
ギャルルルルルリィイイインッ!!!
甲高い金属音。
はためくマント、青く輝く蒼天の鎧。
「お待たせ、クーガー。」
『フフ、ガルフハハハハハハッ!』
ああ、本当に。待っていたぞ、我が友よ。
『遅いでは無いか、モンゴローッ!!』
ヒーローは、遅れてやってくる。
作者のおしり炒飯と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
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続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。
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