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【第二章完結】モンスター系ダンジョン配信者〜ニンゲン嫌いの僕は、モンスターを布教しながら最強となる〜  作者: おしり炒飯


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第92話 守るための戦い

 「ガズルさんを、殺させはしない。」


 危なかった。あと少し遅れていれば、ガズルさんは殺されていただろう。高松兄妹、まさかガズルさんを倒すほどの実力者だったとは。


 地面に転がるポーションの容器。一本数百万円は下らない、完全回復ポーションだ。二人の体力と魔力はすでに完全回復していると見て良い。


 「何をしているのか分かっていますの? ズンゴロー。」


 「テメェ、モンスターをかばうつもりか? お前の行動は今、俺様達の配信で流れているんだぜ、マンゴロー。」


 「ちょっと惜しい、モンゴローです。あなたたちこそ、自分が何をしているのか理解してるんですか?」


 そう、彼らはギルドの注意を無視して、ピューマンの集落を襲撃している。彼らは生態系のバランサー、壊滅すればスタンピードの遠因となる可能性すらある。


 「なんのことか分からねえな?」


 やはり、講習の内容はもう忘れているらしい。


 「ピューマン達を殲滅しようとする今回の作戦。ギルドからの注意を完全に無視した行為だ。」


 「ええ、理解しておりますの。」


 「…何だって?」


 理解してやってる、だと?


 「俺様たちが講習の内容を忘れたとでも思ってんのか? あんまり舐めんなよ。俺様なんて二回も試験を…って、それは良い。なぁ、ムンゴロー。」


 「モンゴローです。」


 「“一種のモンスターを殲滅してはならない”、なんて規定。探索者規定のどこに載ってるんだ?」


 「ッ!?」


 こいつら、すべて分かった上で…!


 「そんな規定はありませんの。ピューマンへの攻撃については、ただの注意でしかありませんの。よって、規定も法律も違反していない、罰則もありませんの。」


 「つまり、何が言いてえかって言うと…。」


 僕に指を向ける、高松タイヨウ。


 「お前が、“悪”だ。」


 ボウッ!


 タイヨウの指先から、白炎弾が放たれた。まずい、僕の後ろには動けなくなったガズルさんがいるッ!


 「くっ!」


 刃と化し、魔力を纏わせた右腕で軌道をそらす。


 「へっ、これくらいはやれるか。まぁ、腐っても“攻略組”だもんなぁ?」


 「フフッ、でもお兄様? チンゴローの右腕を見て欲しいの。」


 クソ、やはり。


 「お兄様の攻撃をそらしただけで、グチャグチャですの。」


 そう、僕の右腕。タイヨウの魔法をそらしただけで、ドロドロに融解していた。普通であればあんな攻撃、躱せばいいだけ。しかしこの状況において、僕に躱すという選択肢はない。背後には、致命傷を負ったガズルさんがいるからだ。


 「オラオラ、どこまで守り切れるかなァ!?」


 大量に出現した白炎。数え切れないほどの。


 「クソッ! <岩壁>ッ!」


 土魔法で即席の壁を作り出す。


 「んなもんで止められるかッ! <シャイニング>ッ!」


 白炎弾が発射されると、岩はすぐに融解した。重ねがけするように何層にも岩壁を展開、風魔法で軌道を逸らす。それでも何発かは抜けてくる。


 ドーム状に水の膜が形成される。


 ジュゥウウウッッ!


 爆発的な水蒸気、威力の減衰した白炎弾をたたき落としていく。


 「まだまだおかわりあるぜッ!!」


 融解した両手は即座に再生、癒やしの汗も重ね掛けすることで少しでも再生速度を上昇させる。クソ、キリがないっ!


 『ガフッ! もう、良い。良いのだ、モンゴロー。』


 「良くないッ! 黙っててください!!」


 『ガル、フフフ…。ワシらピューマンは死ぬことを恐れていない。戦いの中で死ぬことこそ、本望。あのニンゲンたちは紛れもなく強者だった。最期の相手としてふさわしい。』


 「そうですか! 僕は人間なので、価値観が違います! 悪いけど、勝手に守らせてもらいますから!!」


 『ガフッ、フフ。まったく、頑固なヤツめ。』


 「背後が、がら空きですの。」


 しまった! 振り返ると、鈍く輝く銀の大鎌を振りかざした高松ルナがいた。間に合わない、どうする! 


 「<かばう><骨格強靱>ッッ!!」


 振り下ろされた鎌は、ガズルさんの体をすり抜けた。しかし、その代わり。


 ビシュウッ!!


 僕の上半身に、深い切り傷が刻まれた。


 「ガフッッ!!」


 骨格強靱のおかげで、斬撃はあばらと背骨で止まっている。しかし傷は深く、大量の血が噴き出した。


 壮絶な痛みと衝撃で集中力が途切れ、展開していた魔法が解除される。


 「お兄様。ツンゴロー、意外とタフなの。」


 「おいおい、死ぬぞ? まだやるのかよ。」


 ボタボタと流れ落ちる血が、赤茶けた砂地をさらに赤く染めていく。ここで倒れるわけには行かない。ここで倒れてしまえば、ガズルさんは。それに、集落の皆が…!


 「…やるさ、何度でも。」


 変身はできない。高松兄弟の配信ドローンがある。故に、生身でどうにかするしかない。


 「ヘッ、そうかよ。かっこいいこと言ってるが、お前が“悪”だからな?」


 「スタンピードが、引き起こされるかもしれないんだぞっ!」


 再びこの地で、スタンピードが。僕の両親が死ぬことになった原因の、スタンピードが。


 「…うるせえんだよ。」


 うるせえ、だと?


 「うるせえで済ませられるか! 無責任なこと言いやがって!」


 「無責任、だと? テメェに何が分かる、モンゴローッ! 俺たちは力を証明するッ、しなけりゃいけねぇんだッ!」


 そんな、自分勝手な理由で。


 「ふざ、けるなよ。お前達みたいな身勝手な考えの奴らが、スタンピードを引き起こし」


 鎌が、迫っていた。憤怒の形相を浮かべ黄金の魔力を放つ高松ルナが、鎌を振り下ろしていたのだ。


 「黙れぇええええええええええ!!!! 偉そうに講釈垂れてんじゃねえですのッッ!!! 死ねぇえええええ、“クソゴロー”ッッ!!!!!」


 グシャッ!


 体が、冗談のように吹き飛んでいく。視界がグルグルと回転し、砕けた骨やちぎれた肉片、飛び散る血しぶきが視界を横切る。ああ、痛い。



 

 クソニンゲンが。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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― 新着の感想 ―
スタンピードを誘発する害悪行動を取ってる時点で悪は相手側なんですね。配信のコメントが気になりますね、誰か通報してるかな?
害獣駆除の時間だね…ニンゲンって言う。
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