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【第二章完結】モンスター系ダンジョン配信者〜ニンゲン嫌いの僕は、モンスターを布教しながら最強となる〜  作者: おしり炒飯


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第87話 月、太陽、風

 お兄様と手をつないで、ダンジョンゲートを抜けたの。ウンタラ☆ナイツが微妙な表情でルナたちを見ていたけど、気にしないの。


 お兄様とルナの愛は、あんな奴らには理解できないの。


 「んじゃ、集落手前まで移動してそこからは別行動で☆」


 「それぞれ配信は、13時から同時スタートでいいよな?」


 「それでいいですよ~。」


 あー、早くこいつらと分かれて行動したいの。緑髪の男がさっきからいやらしい目でジロジロ見てきて、鳥肌が止まりませんの。この男、噂によると裏でファン食いしまくってるらしくて最悪なの。女の敵なの。


 「では、行きましょうか。」


 勝手に仕切るなって感じですの。この青髪の男、裏ではめちゃくちゃ高圧的で当たり前のようにスタッフなんかに暴言吐くらしいの。おまけに超がつくほどの女性蔑視で、裏アカでリスナーをボロカス言ってるらしいの。こいつも女の敵なの。


 「いくぜ、ルナ。」


 「はい、お兄様…♡」


 はぁ、やっぱりお兄様しか勝たん、ですの。



 ○



 超視覚が、ピューマンの集落を捉えたの。時刻はちょうど13時。ナントカ☆ナイツもそろそろ、反対側に回り込んでいるはずなの。


 「そろそろ配信開始するぜ? ルナ。」


 「分かったの。」


 【配信開始】


 「よう、お前ら! 俺だ、高松タイヨウだ。さーていよいよこれからピューマンとの戦いに挑む訳だが。お前ら、伝説を目撃する準備は出来てるか?」


 :もちろん

 :待ってたぞ

 :やっちまえ!

 :皆殺しだ!

 :うおおおおおお


 「ルナ、準備はいいか?」


 「もちろんなの。」


 お兄様が、マジックアイテムである戦斧、「サン・バーン」を取り出したの。ルナも対となる鎌、「ルナ・トーン」を構えたの。


 気配を殺し、集落に向かって歩き始める。


 ドゴォ、ン。


 集落の反対側で、土煙が上がったの。どうやらデンデラ☆ナイツが交戦したらしいの。むぅ、向こうが“アタリ”を引いたの…?


 「おいルナ、様子がおかしい。集落から生き物の気配があまりしねぇ。」


 気配がしない…? 確かに、全くではないけれどあまり強い気配を感じられないの。ピューマンはそのほとんどが戦士。こんな薄い気配のはずが――。


 <危機感知、上空>


 「お兄様、上なのッ!!!」


 「くッ!?」


 ズダァアアーーーーーーーンッ!!!



 咄嗟に後方へと飛び下がり、すんでのところで攻撃を回避した。もうもうと立ち上る土煙、黒いシルヘットがゆっくりと立ち上がった。



 『ガルルルルゥゥゥァァァ…。』



 土煙が風に巻き上げられ、不自然に渦を巻き始めた。その奥から響く、低いうなり声。そしてこちらを捉える、赤く輝く“一つの眼光”。


 「へっ、ルナ。どうやら俺たちが、“アタリ”を引いたようだぜ?」


 荒れ狂う、黒い風の魔力。全身に感じる圧はこれまで戦ってきたどんなモンスターよりも強大で。


 無意識に手先が震える。馬鹿な、怯えているの? いえ、違う。これは、武者震いなの。


 ニィッと、口角がつり上がるのを感じた。


 『グルルルルゥウウウアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!』


 死の風、巻き上がる。

 高松兄妹の目の前に、今。



 “黒い疾風”が、あらわれた。


 

 ○



 ニンゲンが二人。それに、かなりやりそうだ。


 ため息が出そうになる。なんでかって? もう歳だからだよ! この歳で若いニンゲン、それも手練れが二人の相手とは。さすがにシンドイものだ。


 二人が同時に飛びかかってくる。炎を噴き出す斧。それに妖しげな鎌、か。威力はありそうだが、まぁ。


 当たらなければ、どうということはない。



 黒い残像が、目にも留まらぬ早さで駆け抜けた。後を追うようにして、風の刃が乱れ飛ぶ。



 「クゥッ!?」


 「は、速いですのッ!?」



 はっ、舐めるなよ? 若造が。だが、俺の初撃を受けきるとは、なかなかやる。



 ニンゲンたちの襲撃を知ったのは、今から一時間ほど前だ。伝説のヘンタイことパンイチじーさんが突如やってきて、身振り手振りとイラストで襲撃があることを教えてくれたのだ。


 ふん、罪滅ぼしのつもりか知らんが、あのとき殺さないでおいて正解だったな。またモンゴローに恩ができてしまったよ。



 『小手調べはお終いだ、ニンゲンのガキ共。』


 風を纏う。ここからが、本当の勝負。

 捉えられるか? 黒い風を。


 『グルゥゥウウアアアアッ!!!』


 「クソがッ! <炎陣>ッ!」


 炎の壁が、ニンゲン二人を取り囲む。なるほど、ようやるわ。だが、関係ない。

 炎如き、ワシの風で吹き消してくれる。



 『――<黒爪一陣>。』



 ブワリッ


 炎の壁が揺らいだ。一陣の黒い風が、炎をかき消して迫り来る。捉えたぞ、ニンゲン。



 「飛んで火に入る夏の虫、なの。」



 しかし、待ち受けていた。命を刈り取る、死神の鎌が。



 「――<下弦の月>。」


 振り下ろされる、鎌。ギラリと光を反射したソレは、死刑台のギロチンそのものであった。


 速い、だが。ワシは黒い旋風。風を、舐めるなよッ!!


 ギリィイーーーンッ! 漆黒の爪が、鎌を跳ね上げた。


 「くぅっ!?」


 双方、飛び下がった。ワシの爪が欠けている。


 「チッ、そう簡単に殺されてはくれねぇかぁ!」


 戦斧を担いだガキが、ニィッと笑みを浮かべた。なるほど、演技までしてワシを誘い込んだのか。


 はぁ、末恐ろしいガキだ。モンゴローと言いこいつらと言い、最近の人間はどうなっているのだ…。


 再び構える。フフ、面白いでは無いか。ちょうど筋肉が温まってきたところだ。

 強きニンゲンのガキ共よ、ここを通すわけには行かぬ。


 援軍は来ない。クーガーたちは出立したのだ。



 黒山羊の、討伐へ。



 ガルフフ、今頃愚かなニンゲンたちは黒山羊様の餌食となっていることだろう。なぜならば、奴らが向かった先にこそ黒山羊様が顕現されたからだ。


 心配はしていない。クーガーは必ず、成し遂げる。ワシの愛する息子は、必ずや宿願を果たす。



 その邪魔立ては、絶対に、させぬ。



 『グルフフフ、グルルルゥゥァアアアアアアーーーーーッ!!!』



 黒い旋風。いや、黒い暴風が吹き荒れている。

 吹き止まぬ風、死の台風。


 その“目”が今、爛々と輝きを放っていた。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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― 新着の感想 ―
おー意外とどっちも健闘してる。黒山羊の方にナイツ(笑)達が行ったのか…嫌な予感しかしない。
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