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【第二章完結】モンスター系ダンジョン配信者〜ニンゲン嫌いの僕は、モンスターを布教しながら最強となる〜  作者: おしり炒飯


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第85話 欲と再臨

 ドガンッ!


 「クソッ!!」


 ヒナタが事務所の机に拳を叩きつけた。一般的なその机ではヒナタの力に耐えきれず、一瞬で粉々になってしまった。


 モンゴローとパステル☆ナイツの配信から数日後。彼らの企みは“超優秀なモデレーター二人”によって阻止されてしまった。それだけではない。彼らの信者、騎士団のほとんどがDチューブ運営によってアカウントを永久凍結されたのだ。さらには。


 「まさか、ネットニュースになっちゃうとはね~…。」


 「チッ! ここまで炎上するとは…。」


 ただの変態だと侮っていたパンイチじーさんの適格な指示によって、一連の荒し行為、及びそれを指示したような限定配信が切り抜きとして動画投稿されていたのだ。これに対し世間からのバッシングが強まり、ツピッター上で謝罪までする羽目になった。


 「このまま終わらせてたまるか…ッ!」


 怒りの炎が、ヒナタの身を焦がしていた。


 「どうする? リーダー。正直僕もイライラするんだよね~。」


 「私もです。チッ! しかし、直接的な手段をとることはできない。」



 ビシビシと窓ガラスが音を立てて揺れていた。怒りによる、魔力の発露。



 「…そうだ。」


 「何か、思いついたのですか?」


 直接的には、無理。これ以上配信の妨害もできない。

 だが。


 俺たちは、“探索者”だ。



 「ピューマンの集落を、襲撃しよう☆」



 ○



 「ったく、気に入らねーぜ!」


 ズシャアッ、肉を斬り裂く快音。


 『キュォオオオーーーーー、オ、ン…。』


 ズドォ、ン。


 血しぶきが舞い、轟音と共に土煙が上がった。炎を纏った巨大な戦斧から、ジュウジュウと煙が噴き上がっている。付着した血が、蒸発しているのだ。


 「図体だけデカくて、たいしたことはなかったの。」


 ネックウィッパー、性格は非常に温厚なモンスター。首をしならせて放たれる一撃は非常に強力だ。しかし、高松兄妹の相手ではなかった。ネックウィッパーの素材は毛皮、角、骨に至るまで非常に高額で取引されており、一匹で数億円にもなる。


 「はぁ。おい、さっさと回収しろ!」


 「「「へい。」」」


 ぞろぞろと複数人の探索者たちが現れた。彼らはモンスターの解体や収集、運搬を専門にしている者たちだ。ギルドから特殊な許可を得て業務を請け負っている。しかしその実。彼らこそが、密猟者。骨掴みのゲンも、かつては所属していた犯罪組織の下部団体。


 密猟者達にとってモンスターをひたすら狩り続け、己の力を証明し、見せつけたいだけの高松兄妹は格好の顧客(寄生相手)だった。殺したモンスターの素材の扱いについても一任されているため、違法売買などもやりたい放題である。


 「お兄様。ドンゴローのこと、ですの?」


 「…ああ。あの変態ジジイとつるんでるのもそうだが、まさかピューマンなんかとお友達ごっこしてるなんてよ。」


 ビシュッ! ルナが鎌を一振りすると、ネックウィッパーの血が砂地に黒い跡を残した。


 「ルナ達にとって、ピューマンはただの狩るべき“獲物”。お兄様とルナの力を証明するための試金石。狩られるべき存在と同列に成り下がるなんて、信じられないの。」


 「まったく、その通りだぜ。だが、まあいい。俺たちの次の獲物は黒い疾風。例え人間であろうとも、俺たちの前に立ち塞がるなら――。」



 「「殺す(の)。」」



 ○



 深夜の平原。静寂に包まれ、風の音だけが響いている。月明かりは静かに、優しげに、平原を遍く照らし出していた。


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 静かな平原。風の音に混じって、かすかに。


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 かすかに、不気味な音がこだまし始めた。


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 平原の砂地。地面から、黒い何かが生えてくる。黒い一本の木のようなそれは、ゆっくり、ゆっくりと、新芽が成長するように、地上に姿を現した。


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 真っ黒な一本の幹のようなものが、ブワリ、と。枝分かれしていく。太い四本の幹と、無数の枝。いや、それは幹や枝などではなかった。ぬるぬるとした粘性の物質に覆われたそれらは、触手、と呼んだ方がふさわしい。


 ズ、ズ、ズ。


 大地が鳴動する。ブルブルと、無数の触手が震えている。


 ズシャアアアッ!


 砂煙が巻き起こる。その不気味な黒い木が「立ち上がった」のだ。地面から現れたのは、四本の太い脚。それらには蹄がついており、動物的な見た目をしている。しかし、毛などは一切生えておらず、触手同様粘ついた液体で覆われている。


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 『ホウ、ホウ、ホウ。』


 一際大きく、ソレがぶるり、と身震いを起こした。

 太い幹に、無数の巨大な「口」が現れて。



 『メェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!』



 月明かりに照らし出される、その巨体。粘液はてらてらと月の明かりを反射している。



 黒山羊。冒涜的な豊穣の神が、産声を上げた。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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― 新着の感想 ―
いよいよニンゲンとの対決かな。 黒山羊も思ったよりヤバそうな奴ですね。
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