第80話 パンイチじーさん捕獲作戦
「おっ、見えてきた見えてきた!」
配信から三日後。家でゆっくりして、ギルドに素材の買取をお願いをしたり、おいもちゃんの飼育環境をアップグレードしたりして過ごした。
今日からまた、数日間ピューマンの集落で過ごそうと思っている。配信もしたいしね。
「こんにちは~! って、むむ?」
なんだか集落の様子がおかしい。ざわついているというか、浮き足立っている感じ。でも、重大な事件が起きた、って感じでも無さそうだ。
『あ、モンゴロー!』
「ブチ! ねぇ、何かあった? みんなの様子がちょっとおかしい気がして。」
『ああ、実は昨夜ヘンタイが現れたんだ。』
…ん? な、なんだって?
「へ、ヘンタイ? 変態って言った?」
『ああ、ヘンタイだ。人間たちの言葉なんだろう?』
た、確かにそうだけど。まさか変態って言葉をここで聞くことになるとは思わなかった。
「ちょっと詳しく聞いても良い? 力になれると思うんだ。」
『本当かい? 助かるよ。ちょうど今村長の家で会合が行われているから、案内するね!』
○
『と、いうことがあったのだ。』
「な、なるほど…。」
ガズルさん宅。昨晩起きた事件について説明を受けていたところだ。この場にはガズルさん、クーガー、オババ、そして当事者の一人でもあるブチがいる。
『モンゴロー。なにか知らないか? これほどのヘンタイだ。人間界でも有名なのでは無いか?』
う、うーん。間違いなくあの人だよなぁ…。
僕はスマホでその配信者の名前を検索して、画像を見せた。
「あのー、この人だったりします?」
そこに写っているのは、THE・変態だった。真っ白なパンツ一丁で、オーガのメスから逃げている老人。最古参配信者の一人で、(ある意味)生きる伝説。
その名も、パンイチじーさん。
『『『『こ、こいつだぁーーーーーっっ!』』』』
「ですよねーーーーーーーーー!!!!」
パンイチじーさんはR18配信界隈の王だ。様々なモンスターのメスにパンイチ姿を見せつける、という配信を行っている。噂では、「ダンジョン内の変態行為で得られる経験値」でレベル上げをしているとか…。
『モンゴローよ。このヘンタイ、パンイチじーさん? なのだが、10年ほど前にも現れて、1ヶ月にもわたって露出行為を行ったのだ。当時のワシらはなんとか追い払うことに成功したのだが、いかんせん逃げ足だけは我らでも追いつけないほどでな。』
マジかよ。でも、不思議な話ではない。パンイチじーさん、通称ぱんじーが「探索者として」活動を開始したのは、今から数十年前。それからずっと現役でいると言うこと。
つまり。レベルで言えば、全人類の中でもトップクラスであると考えられる。
『なぁモンゴローよ。なんとかこのヘンタイを捕まえられぬか? さすがに一ヶ月もこやつを見る羽目になるのは、気が滅入りそうだ…。』
げんなりとした表情のクーガー。うーん、何か方法…。
あ、そうだ。
「もしかしたら、出現日時が分かるかも。」
『ほ、本当か!?』
スマホを取り出し、パンイチじーさんの配信チャンネルを確認する。あ、やっぱり! 配信予告がされてるぞ!
「次の出没時間がわかりました! 今夜20:00、再びこの集落の水浴び場に現れるみたいです!」
『よし、でかしたぞモンゴロー! クーガー、ワシ、モンゴローの三人で待ち伏せしてヤツを捕らえよう。』
こうして、パンイチじーさん捕獲作戦が開始されたのであった。
○
「ぷるぷる…オイラ、悪いヘンタイじゃないよ?」
「変なところぷるぷるさせないでください。あと、良いヘンタイってなんですか?」
はい、捕まえました。触手と化した僕の両腕につり上げられる形で、ぱんじーさんが捕まっている。
:なんでピューマンと人間が一緒にいるんだよ!?
:教えはどうなってんだ教えは!
:お、モンゴローやん!
:こんごろー
:じーさんも年貢の納め時だな
:モンゴローの腕、どうなってんの…?
:じーさんの触手プレイとか、どこに需要あんねん
ぱんじーさんの配信は継続している。どうやら僕の視聴者もいるようだ。さーて、どうしたものか…。
『どうする? モンゴロー。抵抗する意思はなさそうだが…。』
『ワシとしては、殺してしまいたいがな。こやつにどれだけおちょくられたことか…!』
「わ、わぁーーー! 暴力ヘンタイ! 暴力ヘンタイじゃ!」
身じろぎしながらぶらんぶらんと揺れるぱんじーさん。ガズルさんから漏れ出る魔力に反応したのか。ふぅ、なるほど。
逃げようと思えば、いつでも逃げられるくせに。
ぱんじーさんに、逃げるつもりはないらしい。僕の両腕から伝わる感触。全身にうっすら魔力を纏っている。その薄さ、0.01mm。うわー最悪すぎる…。
でも、こんな芸当できる人間は聞いたことがない。想像より厄介なおじいちゃんだな。
「まぁまぁ、落ちついてください。ぱんじーさん、僕も配信者だ。あなたの配信や切り抜きだって見たことがある。」
「お、おぉ! そうじゃろう、そうじゃろう。話が分かる青年じゃないか。ささ、オイラを早く開放して」
「ぱんじーさん。超広範囲の探知スキルって、持っていますか?」
「ひょ? も、持っておるぞ。それを使ってメスモンスターに絞って探知しておるからな。」
ふーん、持っているんだ。じゃあ、“ちょうど良い”ね。
「ぱんじーさん。“コラボ配信”、しましょうか?」
「…ひょ?」
作者のおしり炒飯と申します。
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