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【第二章完結】モンスター系ダンジョン配信者〜ニンゲン嫌いの僕は、モンスターを布教しながら最強となる〜  作者: おしり炒飯


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第54話 同期

翌日、講習当日。

 

 昨日は部屋で一通りの復習をしてから、近くの飲食店やモールをふらふらと散歩して気分転換をした。


 全体的に若干物価が高いものの、それを質で補っているような印象を受けた。ホテル滞在中の飲食物については領収書を提出することで、後から補填してくれるらしい。


 「うぅ、緊張してきたな…。他にも参加者、いるんだろうし…。」


 眼前に迫る教練棟。近づくにつれて緊張と不安がどんどんと大きくなってくる。今日の講習を受けるってことは、僕同様に中級ダンジョンを突破してきた猛者達だということ。一体どんな人たちがいるんだろう。


 「プログレスみたいな人たちだったら良いな…。」


 淡い期待を胸に、教練棟へと急いだ。



 ○



 結論から言おう。しんどいて。


 受付のお姉さんに案内されたのは、二階にある大きめの会議室だった。中に入ると、すでに参加者が揃っていた。彼らは僕にちらり、と目を向けると、すぐにそれぞれの会話へと戻った。


 二組の団体。


 一組目は、容姿が整った三人の若い男性と、スーツを着た、白髪交じりで痩せぎすの男性の四人グループ。三人はそれぞれが淡いピンク、緑、青の髪色をしている。うーん、どこがで見覚えがあるような…。


 二組目は、若い男女の二人組。男性はオレンジ色の髪で、女性は綺麗な白髪だ。すごいイチャイチャしている。ただ、ものすごく若い。もしかしたら僕より年下かも? それにこっちも若干見覚えがあるような気がする。


 一組目グループの、スーツの男性がするすると近づいてきた。


 「あの~、突然申し訳ございません。モンゴロー様、でお間違いないでしょうか?」


 「え? えぇ、はい。」


 「私、こういう者でございまして。」


 名刺には、アイドル事務所ゼニーズ所属“パステル☆ナイツ”マネージャー、竹下アツオ、と書かれていた。


 パステル☆ナイツ。確か、アイドル系ダンジョン配信者として絶賛売り出し中の探索者パーティで、歌と踊りでモンスターを倒し、視聴者も沸かせる、みたいな感じのグループだったはず。


 「若手で勢いのあるモンゴローさんには我々も注目しておりまして、ご挨拶申しあげ」


 「やぁ! 君が新宿ダンジョンを攻略した、“あの”モンゴローくんなんだって!?☆」


 竹下さんの話を遮って、ピンク髪の男性が話しかけてきた。


 「僕はパステル☆ナイツのリーダー、神宮寺ヒナタ! あそこの緑色担当が西園寺ソウ、青色担当が東雲寺ミナトだ☆」


 紹介されたソウとミナトに目を向けると、じっとこちらを見つめている。口元にはうっすらと笑みが浮かんでいるようだが、なんだろう。良い感じはしない。とりあえず軽く会釈しておいた。


 「ご、ご挨拶ありがとうございます。モンゴローこと、守野と申します。どうぞ、よろしくお願いしま」


 「ふふふ、仲良しごっこなんかして、バカみたいですの。」


 鈴のなるような声。発したのは、白髪の少女だった。


 「おや、何か気に入らなかったかい?☆ 若き天才兄妹、高松ルナさん?」


 「気安く名前を呼んで欲しくありませんの。私の名前を呼んで良いのは、お兄様だけですの。」


 「おいルナ、あんまり恥ずかしいこと言うなって。ま、俺様としても、かわいい妹の名前を気安く呼ばれるのは癪に障るがな。」


 「お兄様…♡」


 高松兄妹。兄の高松タイヨウ、妹の高松ルナの二人パーティで配信をしている。その才能から特例で16歳からダンジョン探索を認可されており、すでにそれぞれが中級ダンジョンを踏破しているほど。


 その実力はすでに二つ名持ちほどと言われている。兄妹と言っても血はつながっていないようだ。


 あの~、なんだろう。僕を間に挟んでバチバチするの、やめてもらっていいっすか??


 ここにいる中で一番有名度が少ないのが、僕だ。二組ともそれはもう人気な配信者で、僕でも名前を聞いたことがあるほどだ。人気な探索者は、やっぱりみんな個性的なんだな…。


 僕はやっぱり、一人の方が性に合っているな。うん。


 バチバチと言い争いを続ける三人の間で地蔵になっていると、ゴツン、ゴツン、という特徴的な音が外から響いてくる。


 現れたのは、スーツの男性。筋骨隆々で黒髪をオールバックになでつけており、メガネがギラリと光を反射する。そして、その右足は、棒状の義足であった。


 いや、ほぼヤクザですやん…。



 「…着席してもらおうか。」


 男性は教壇に立つと、ギロリ、と僕たちを睥睨した。言い争いを続けていた三人は、しらけたような表情でそれぞれの席へと戻っていく。


 「さて、私が今回の講習を担当する獅子角ジュンだ。富士ダンジョンは、君たちがこれまで攻略してきた中小規模ダンジョンとは何もかもが異なっている。よく注意して、この講習を受講するように。」


 「なぁ、先生。俺様とルナはすでに、中級ダンジョンを二つ、小級ダンジョンを七つ攻略している。正直言って、こんな講習に意味があるとは思えないんだが?」


 うわ、あんな怖い講師によく突っかかっていけるなぁ。


 「…高松タイヨウ君。君みたいな発言をして、碌に講義を聴かない探索者はこれまで何人も見てきた。しかしその中で、トップ層として現在も現役で探索をつづけている探索者は一人として存在していない。誠に残念だ。」


 うわ。


 「…なんだと? 死にたいのか、テメ」


 「お兄様をバカにするなっ!!」


 あ、ルナさんの方がキレちゃうんだ!?


 高松ルナの周囲で魔力が渦巻き、窓枠や扉がガタガタと音を鳴らす。整った人形のような顔を歪ませ、目は黄金色の輝きを放っており、今にも何か、大規模な魔法を行使しそうだ。


 いや、射線上に僕もいるんだけど!?


 「落ち着きなさい。誰もタイヨウ君が活躍できない、とは言っていない。それに、私が言ったのは“講習を真面目に受けなかった者たち”のことだ。最初は反発的でも、しっかりと講義内容を理解してくれていればそれで良い。君たちはあくまで、探索者だ。命の危険が伴わない、たかだか“授業”を完璧に理解することなど、朝飯前のはずだ。違うかね?」


 ルナの魔力が、次第に落ち着いていく。


 「さすがの魔力量と魔力制御だ。中級ダンジョンを二つも踏破しているだけのことはある。私が講師として着任してから、中級ダンジョンを二つ踏破してこの場に臨んだ者は君たちが初めてだ。それだけ、君たちには才能がある。だからこそ、こんなところで躓いて欲しくない。私は、私たちは、君たちに期待をしているからこそこの場に招待しているということを、どうか忘れないで欲しい。」


 「へっ、先生。よくわかってるじゃねえか。悪かったな、けんか腰になっちまって。」


 「ルナも、謝りますの。」


 そう言うと二人は着席した。いや~、うまいな。さすが、ベテラン講師。ルナさんが暴走しかけても、獅子角講師は一切おびえたりすることもなく、魔力も揺るがなかった。


 パステル☆ナイツの面々も、一切魔力はゆらいでいなかった。この場にいる者たちは、すでに“攻略勢”。弱い訳がない。



 「では、講義を始める。」



 波乱の幕開けとなった講習が、ようやく始まる。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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