第5話 初配信!【スライムに指を突っ込んでみよう!】
その日は、いつもより早めに起床した。いや、目が覚めてしまった、と言うべきかな。
『わふわふっ!』
「おはよう、もふげ!」
僕はもふげをわしゃわしゃと撫でて、もっふもふの体に顔を埋めた。もふげは父さんと母さんが拾ってきた子犬だった。今では1mくらいに成長している。犬種は不明だが、とにかくもふもふしているし、なんでも食べてしまう。
鏡を見ると、茶色がかったくるくるの天然パーマが爆発している。ひどい寝癖だ…。シャワーを浴びて、整髪料で髪を整える。
パシンッ!
化粧水を顔に叩きつけるように浸透させ、気合いを入れる。
「や、やるぞ、やるぞ…!」
僕は今日、ついにダンジョン配信を始める!
○
立川ダンジョンに入り、配信の準備をする。装備は前回同様。ドローン君を取り出し、カメラをオンにする。
配信中、視聴者から寄せられるコメントは、専用の骨伝導イヤフォンによって読み上げられる仕組みだ。
いざ、配信開始ッ!
【配信開始】
「こ、こんにちは~、今日からダンジョン配信を始める、“モンゴロー”と申します!どうぞよろしくお願いします!」
:初心者か?
:若いな
「わ! 早速コメントありがとうございます! ピチピチの18歳です! 今日はですね、ここ立川ダンジョンでモンスターを観察したりしていこうと思います!」
:若者はピチピチとか言わない
:倒せ
:観察...?
:都内勢か
「僕の配信では、主にモンスターの生態や行動観察、そしてそれらの解説をしていこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします!」
:おー
:ちょっと面白そう
:戦え!
「ま、まだ初心者なので、戦闘は慣れてきてからってことで…。」
:ええんやで
:無理すんな
:死んだら意味ないからな
「暖かいコメント、ありがとうございます! では、本日最初のターゲットは、スライム君です! まずはスライム君を探しに行きましょう! 先日、立川ダンジョンの奥まったところに、スライム爆湧きゾーンを発見したので、そこに向かおうと思います。」
:なに?
:スライム爆湧きゾーン?
:そんな場所見つけんな
:大丈夫かこいつ
△
「お、つきましたよ~。ほら見てください! 今日も爆湧きしてますね~。壁一面、スライム君まみれです!」
:やばすぎ
:壁全部緑で草
:一面のクソミドリ
:なんで嬉しそうなんだよ
「スライムというモンスターは体の大半が水分で構成されているモンスターで、水辺や湿地帯、洞窟なんかの湿度が高い環境を好む傾向があります。この場所で爆湧きしているのは、あそこに地下水が貯まっているからなんですね~。」
:はえー
:まぁでも、今更スライム倒しても金にならんしなぁ
「スライムは自己増殖する形で増えていくモンスターです。オス、メスの概念は無く、分裂してクローンを作り、増えていく感じですね。一定以上のカロリーを摂取すると、体内の核ごと二つに分かれて、新たな個体となります。」
:きもいな
:スライム娘は存在しないんですか!
「地球上のどこかにはいるかもしれませんね~。あ、ほらあのスライム、今から増えますよ! こう、ぷるぷる震えてるのが分かりますか? あ、ほら増えた!」
:スライムが増える瞬間を察知できるスキル、何
:草
:ぷるぷるしてるのちょっとかわいい
:スライム娘探しに行ってくる
「かわいいですよね! スライムは全身が消化器官となっているので、壁面や地面を這いずりながら、様々な有機物を消化しているんです。なので、顔なんかに落ちてきたら悲惨なことになってしまうので、洞窟型のダンジョンを探索される際は、頭上にも十分ご注意ください。」
:そうなんか
:探索者って大変そうやな
:気配を察知できるスキルあれば余裕やで
:レベル1ワイ、気づける自信ない
「では、スライムにどれくらいの消化力があるのか、指を突っ込んで、試してみましょう!」
:は?
:は?
:やめとけ
:?
:危ないって
:まずいですよ!
「では、行きますよ~?」
ジュワッ
「いてててて、紙やすりで磨かれているような痛みです! うわ、数秒突っ込んだだけで皮膚が溶かされてしまいました。これは危険ですね…。」
:頭おかしい
:何を四天王
:やばすぎ
:だからなんで嬉しそうなんだよ
:変態だろこいつ
「あ、指はこんな感じで再生できたのでもう大丈夫です! ご安心ください!」
:?
:は?
:再生とは
:人間って、即時再生とか出来るんでしたっけ
:さっきから理解が追いついてない
:再生なんて“攻略勢”でも持ってるヤツ少ないぞ
「スライムはこんな感じで、有機物ならなんでも消化してしまいます。モンスターの死骸なんかも好んで食べるので、ダンジョンの掃除屋、なんて言われたりもしていますね。あ、スライム君も再生持ちなので、倒す場合は一撃で核を破壊する必要があります!」
:スライム君“も”
:じゃあ君はなんなの
「よーし、この調子で今日はもう一種類、解説して行こうと思います! 立川ダンジョン一層にはスライム君しか生息していないので、二層まで移動しようと思います。」
:この調子で、とは
:この調子のままなの心配すぎる
:一回落ち着いてくれ
:俺たちを落ち着かせてくれ
:これはとんでもないルーキー探索者が現れたかもしれない
視聴者数:27人
作者のおしり炒飯と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
本作、カクヨム様にて、先行公開しております。
続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。
https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614




