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【第一章完結】モンスター系ダンジョン配信者  作者: おしり炒飯


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第49話 最奥ボス:影の魔人

はい、どうも皆さんこんにちは。モンゴローです。メンタルブレイクから二週間。家でごろごろしたり、もふげと散歩したり、ジムで筋トレしてみたりして、ようやく復活してきました。世間の注目も少しずつ落ち着いてきて、一安心です。


 新宿ダンジョンは調査のためしばらく封じられていたけど、調査依頼を受けた探索者によって異常がないことが確認され、昨日からまた開放されている。


 あ、そうそう。プログレスのみんなも無事助かったそうで、ユウキさんから連絡が来てました。一番重症だったタケシさんも意識が回復したらしく、包帯ミイラ状態のタケシさんのベッドで撮った、四人の集合写真が送られてきました。


 みんな、元気そうで良かった。普通の人間だったら、あんな目に遭って、「僕と言うモンスター」にも遭遇して、二週間ちょいでここまで明るく振る舞えないだろう。


 これも探索者としての大事な才能なんだと、切実に思う。


 きっとプログレスのみんなは、もっと強くなるだろう。いずれは富士ダンジョンにも行くんだろうなぁ。


 「次は新宿、新宿です。」


 お、もう新宿か。そう、今日は二週間ぶりに新宿ダンジョンに向かっている。シャドウ・ヒーローからスキルを取得したことで、すでに新宿ダンジョンに出現するモンスター全種から、スキルを取得している。


 残るのは、最奥のボスのみ。


 僕は今日、新宿ダンジョンを攻略するつもりだ。



 ○



 新宿ダンジョン、第9階層。僕の眼前には、血のように赤いゲートが存在している。幻影剣士以来の赤いゲートだ。この先に、このダンジョンのラスボスが待ち構えている証拠。


 新宿ダンジョンは未踏破のダンジョン。これまで数多くの探索者達がこのボスへと挑んだが、成功者は誰一人としていない。攻略勢と言われる者たちも何人かが挑戦したが、結局は敗れて命からがら帰還した。


 ダンジョンのボスについては、戦闘中に逃げることが出来るボスもいれば、どちらかが死ぬまでゲートが開放されないダンジョンもある。必然、逃走可能なダンジョンの方が人気が高い。


 しかし新宿ダンジョンは逃走可能であるにも関わらず、ボスに挑む人は少ない。それには、とある理由があった。


 「行くか。」




 僕はゲートを潜った。一瞬の浮遊感、視界が開ける。


 オレンジ色の光が差し込んでいる。夕日だ。風がそよいで、木々がざわざわと音を立てている。都市の中、ではなかった。小高い丘、その途中。遠くに自然へ帰りつつあるビルの群れが目に入る。


 『美しいと、思わないか?』


 唐突に、声をかけられた。視線の先、丘の頂上。


 黒い穴が、空間に開いていた。


 僕はゆっくりと、その“穴”に近づいていった。攻撃はない。敵意もない。丘の頂上に並び立つと、丘の反対側は崖となっていた。


 「…本当だ。美しいですね。」


 植物に覆われたかつての都市に、真っ赤な夕日が沈んでいく。ところどころに表出している地下鉄湖が夕日を反射して、キラキラと輝いている。


 いずれこの都市の跡は自然に飲まれて沈み、大地の一部になるのだろう。


 盛者必衰。そんな言葉が、頭に浮かんだ。


 『ふふふ、やはり私の言葉が分かるようだな、青年。これまでここを訪れた者たちはみな、私が声をかけても耳を傾けもせずに、襲いかかってきたよ。』


 「そりゃ当然ですよ。あなたはこのダンジョンのボスなんですから。それに、僕が特殊なだけです。モンスターと意思を通わせられるスキルを持つ、僕がね。」


 静かな時間。不思議な時間。多くの人間に恐れられているダンジョンのボスと、そんなダンジョンを攻略する探索者の青年が、語り合っていた。


 『ダンジョン。それにモンスター、か。』


 “穴”は自嘲するかのように笑った。


 「どうして、世界を滅ぼしたんですか?」


 『ふふふ、いきなり核心を突く質問だな、青年。だが君なら分かるだろう? ニンゲンという種族の、醜さが。』


 「…やはり、マリスはあなたの仕業ですか。」


 『ふふ、バレてしまったか。久しぶりに見たよ、あそこまで醜悪なニンゲンたちは。“外の世界”も、どうやら私の世界とあまり変わらないらしい。滅んでしまった方が良い。』


 今度は僕が、自嘲するように笑った。


 「確かに、あなたの言うことも分かります。僕も“ニンゲン”が嫌いだ。でも、良い“人間”もいる。僕は彼らまで皆殺しにしたくはない。あなたにも、そんな“人間”が、いたんじゃないですか?」


 穴がわずかに、震えたように見えた。


 『…君には、分かるまいよ。世界を滅ぼした私の、絶望など。』


 冷たい風が吹いた。


 「お話は、終わりですか? はぁ、今度こそ仲良くなって終われると思ったんだけどなぁ。」


 『ははは、すまないな青年。久方ぶりの語らいは楽しかったが、私と君は相容れない。ああそれと、礼を言わせて貰うよ。ありがとう、時間稼ぎに付き合ってくれて。』


 「やっぱりわざとですか! もぉ~、良い性格してますね、本当に。」


 『ああ、よく言われたよ。“あいつ”にもね。』


 僕の足下から、突如黒い槍が飛び出してきた。飛び上がり、後方へと回避。再び“穴”との距離が開いた。


 穴が、姿を変える。


 どろどろと真っ黒な液体があふれ出し、べちゃべちゃと音を立てて地面に落ちる。大量の液体が流れ出ると、穴は消えた。


 そして、スライムのように黒い液体が蠢き、人型の姿になった。男性か女性かもわからない、真っ黒なピクトグラムのような姿。


 『さて、始めようか。』


 真っ黒な人型の全身に、大量の眼球が現れた。ぎょろぎょろと周囲を見渡して、一斉に僕を見つめてきた。


 ぞわり、と鳥肌が立つ。


 

 新宿ダンジョン、最奥のボス。


 “影の魔人”が、現れた。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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