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モンスター系ダンジョン配信者  作者: おしり炒飯


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33/53

第33話 カピバラさん

 『ハリニシサマ! ボール投ゲテ!』


 「いくよー!」


 僕は今、オークの村で子オークたちとボール遊びをしていた。スキルは獲得したけど、なんやかんやまったり過ごしてしまっている。まぁ、今日は夕方にはダンジョンを出ようと思ってたから、それで良いんだけど。でも出来ればもう一種類くらい発見しておきたいな~。


 と、思っていたとき。子オークたちの後ろ、川辺にそれは現れた。ぞろぞろと自らあがってきた、それは。


 「ん、え? カピバラ?」


 『アッ! ハリニシサマアブナイ!』


 「へぶっ!?」


 しまった、カピバラに気を取られて顔面でボールを受けてしまった。子供と言えどオークはオーク。普通に力はめちゃくちゃ強いので、鼻血が噴き出した。


 『アハハハハ! ハリニシサマ、汚―イ!』


 「こらーっ!」


 きゃー、と叫びながら、子オークたちは逃げ出した。改めて、カピバラらしき生き物に目をやると、続々と一列になって村の中に入ってくる。


 「ね、ねぇ。あれってカピバラだよね? どんどん入ってきてるよ?」


 『アア、カピバラサン達ハイインダ。カピバラサンは水魔法ガ使エル。色々タスカル。ソノ代ワリ、村内に住マワセテイル。』


 「へ、へぇ…。」


 まさかの共生関係。そう、カピバラさんはモンスターなのだ。オークが言ったように、なんと水魔法を使うことが出来る。体内に魔石もあるため、モンスターとして正式に認められているのだ。水中で水魔法をジェットのように使用して、高速で泳いだりするらしい。


 ただ、それ以外は完全に、普通のカピバラと一緒。動物のカピバラと区別するため、世間では「カピバラさん」と呼ばれている。水魔法はかなり有用だし、そのあたりも考慮しての敬称なのかも…?


 カピバラさんはかなり温厚な性格で、積極的に人を襲うこともない。しかし、身の危険を感じた際は容赦なく、水魔法で迎撃してくるため注意が必要だ。例えば、攻撃魔法の流れ弾がカピバラさんたちの群れに直撃してしまったりすると、陸上で溺れるほどの集中砲火をうけることになる。


 『フピフピ。』


 なんか鳴いてるな。ぺたぺたと一列になって、村の中を横断していたが、たき火の周りをぐるぐると回り始めた。


 『ホカホカ、ホカホカ』


 カピバラさんたちはたき火の周りで円になると、暖をとりはじめた。そういえば、カピバラと言えば温泉好きなイメージがあるな。そうだ、オークたちと協力して、この村に温泉でも作ってみるか!


 「ねぇカピバラさん、温泉って分かる? 温泉、入りたくない?」


 温泉、という言葉を出した瞬間、カピバラさんたちが一斉にこちらを向いた。す、すごい圧だ…。


 『オンセン、ホカホカ、イイキモチ』


 「そ、そうそう、その温泉! もし温泉を作れたら、君たちのこと教えてくれる?」


 『ヨカロウモン』


 よし、確約をもらえたぞ!



 ○



 「で、出来た…!」


 あれから数時間、オーク達も総出で地面に穴を掘り、石を集めてきて整地することで、簡易的な温泉、というか石造りの浴場を作ることに成功した。


 僕が土魔法を使えれば良かったんだけど、あいにく使えなかったことから、すべて肉体労働となってしまった。


 あとはこの巨大な浴槽に、カピバラさんたちの水魔法でお湯を満たすだけだ。水魔法は50度程度までのお湯であれば出すことが出来る。


 「カピバラさんたち、お願いします!」


 『ホカホカ、ハッシャ!』


 浴槽の周りをぐるりと取り囲んだカピバラさんたちが、一斉に放水を開始した。カピバラさんの鼻先に、小さな、青く光る魔方陣が展開され、そこから大量のお湯が噴き出している。魔力に限界があるのか、ある程度放水すると後ろに下がり、別のカピバラさんが放水を開始する。


 10分ほどで、浴槽はお湯で満たされた。白い湯気が立ち上り、完全に温泉の見た目だ。


 「うん、温度も問題無い。みんな、入って大丈夫だよ~!」


 『『『フピフピフピフピ!』』』


 カピバラさんたちが一斉に入浴を開始した。ものすごくフピフピ言ってる。子オークたちも水浴び感覚で入浴して、喜んでいる。こうやって見ると、完全に動物園で見る光景だなぁ。あ、そうだ。ミカン持ってるから、ゆず代わりに浮かべてあげよう。食べてもおいしいしね。

 

 

『ババンババンバンバン、フピフピ』


 ご機嫌だなぁ。



『スキル獲得:カピバラさん』



 あ、スキルでもカピバラ「さん」なんだ…。



 ○



 カピバラさんを一通りなでなでして、水魔法の使い方を教わった後。気づけば日が暮れ始めていたため、慌ててギルドまで戻ってきた。


 いつもより疲れた感じがするのは、オークたちとたくさん会話したからだろうか。いや、子供達の相手をしていたからだな…。


 「こんばんは。モンゴローこと、守野ゴロウ様、でしょうか?」


 「えっ?」


 ギルド1階、僕は見知らぬ女性に突然声をかけられた。キリっとした印象の、スーツを着た三角メガネの女性だ。


 「私、当ギルド職員の桜井カレンと申します。少しお時間、よろしいでしょうか?」



 ま、まずい。レストランの件か…!?



 ―――――

 スキル:カピバラさん

 ①水魔法

 水魔法を取得する。水の温度は50度程度まであげられる。


 ②潜水

 10分以上の潜水を可能とする。

作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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