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モンスター系ダンジョン配信者  作者: おしり炒飯


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第32話 オーク

僕は走っていた。シーフカイトの巣から景色を眺め、優雅にサンドウィッチを食べていたところ、次のターゲット、それも集団で移動しているところを発見してしまったからだ。


 「まさか、狩り終わりに遭遇できるなんて…!」


 そう、次なるターゲットは非常に知能が高く、集団で狩りを行ったりするのだ。僕が発見した際、シカのような大型動物なんかを背負って移動していた。もしかしたら、彼らの集落も発見出来るかもしれない!


 川辺特有の、葦のような背の高い草をかき分けていく。獣道のようになっていて、彼らがここを藪漕ぎしたのは明らかだ。目を血走らせて夢中で追って行く。超音波を使うと、前方から複数の反応。見つけたぞ!


 「いたーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


 『『『フゴッ!?』』』


 2m近い体躯、全身を覆う豊かな体毛。麻のようなもので作られた、簡易的な衣類と、そこから覗く屈強な筋肉。


 口元から飛び出す牙。猪のような、顔。


 「オークだぁあああああああっ!!!」


 『『『ヒ、ヒィッ!? 何ダコイツゥ~~~!?』』』


 狂気的な笑顔を浮かべた人間に恐れおののくオーク達という、奇妙な絵が完成した。



 ○



 「へぇ~、料理とかするんですね!」


 『ソウダ。焼イタリ、煮タリ、色々ダ。』


 僕は今、オークの群れに帯同している。どうやら彼らはこれから村に戻るところのようで、解体作業や料理なんかを手伝うと申し出たところ、同行を許可してくれた。最初はめちゃくちゃ恐れられたけど、なんとかなってよかった。


 「ここにいる皆さんはオス、ですよね?」


 『ソウダ。オスガ狩リ、メスは子供ヲ産ミ、育テル。』


 オークは知能が非常に高い。人間で言えば、12歳程度の知能を持つ。そのため、火を使った料理や、分業、農業のまねごとまでする。会話をしていても、これまで出会ったどのモンスターよりも流ちょうに会話が成立している。


 極まれに、普通の人間と会話が成立する個体もいるらしいが、都市伝説の域を出ない憶測だ。


 『見エテ来タゾ。』


 簡易的な柵で覆われた、小規模な村が見えてきた。竪穴式住居が5,6棟、村の中心には大きめのたき火が炊かれており、幼いオークたちが走り回り、メスのオークたちは植物を叩いて繊維状にし、衣類の素材を作っている。


 「うわぁ、すごい。本当に村だ…。」


 ゴブリンの集落とは一線を画している。オークは中級冒険者がぶつかる最初の壁、とも呼ばれている。その理由が、この知能の高さだ。縄文時代レベルの生活を営むことができる知能と、強靱な肉体、旺盛な繁殖力。一般的な探索者にとっては、非常に驚異的だ。


 『戦士タチガ帰ッテキタ!』


 『『ワーーーー!』』


 子オークたちが駆け寄ってくる。フゴフゴと鼻を鳴らしながら、狩りの成果であるシカや魚の臭いを嗅いでいる。そしてそのまま、僕の方へとやってきて、臭いを嗅ぎ始めた。


 『ニンゲン! ニンゲン? ドッチ…?』


 「こんにちは! 僕は人間だけど、お父さん達の知り合いなんだ。そうだ、これをあげよう!」


 僕は草で編まれたボールを子オークに手渡した。ペットショップで買った物で、本来は猫や犬用のおもちゃだ。


 『『ワーーーーーーーイッ!』』


 彼らはひったくるようにそれを受け取ると、さっそく村の中央で遊び始めた。モンスターの子供も、かわいいものだ。


 『オイ、人間。メスト一緒ニ料理ヲタノム。』


 「了解!」


 僕はたき火の近くで作業をしているメスのオークたちに近づいた。オークの雌雄判別は慣れないと非常に難しい。


 見た目で判別するポイントは主に二つ。毛並みの違いと、まつげの長さだ。オスの毛並みはごわごわとしているが、メスは若干さらさらしている。オスのまつげは短く、メスのまつげは長い。まぁ、どれも個体差あるから確実な判別方法ではないんだけどね。


 「料理お手伝いします! よろしくお願いします!」


 メスオークたちはじろじろと僕を見た後、フゴフゴと鼻を鳴らして臭いを嗅いだ。…長いな。え、僕めっちゃ匂う…? お風呂ちゃんと入ってるんだけど…。


 『…アナタ、モシカシテ“ウマイ粉”、持ッテル?』


 「え、美味い粉?」


 な、なんだろう。よく料理するし、さっきサンドウィッチ食べたからその匂いかな? うーん、アイテムボックスに“アレ”あったな。出してみるか!


 「これのことかな?」


 『『『!!!??』』』


 その調味料を出した途端、メスオークたちの顔色が変わった。フゴフゴと匂いを嗅いだ後、わーっと歓声をあげると、血走った目で僕に詰め寄ってきた。


 『アナタ、今スグ肉ヲ焼キナサイ!』



 ○



 『ウマイ! ウマイ!』


 『ウマイ粉、サイコーッ!』


 「すごい盛り上がりようだ…。」


 美味い粉。その正体は、「はりにし」でした。はりにしは超人気のスパイスで、肉にも魚にも合う万能調味料だ。僕も大好きで、ダンジョンで一泊するときとかにはお世話になっている。


 どうやらこの村では、探索者が偶然落としていったはりにしを手に入れたことがあったらしく、それ以来「美味い粉」として半ば神聖視されていたらしい。


 「家にもあるし、これ瓶ごとあげるよ。」


 『『『ウ、ウオォオオオオオオオオオオオーーーッ!!!』』』


 ものすごい歓声があがった。



 『スキル獲得:オーク』



 「え、えぇ…。そんなに嬉しかったんだ…。」


 いいのか、オークたちよ。まさか、はりにしで信用度がカンストするとは思わなかった…。


 『『『ハリニシサマ! ハリニシサマ!』』』


 「は、はりにし様!?」


 こうして、オークの村に「はりにし様」が誕生した。


 ―――――

 スキル:オーク

 ①精力増強

 性欲と精神力が増加する。


 ②怪力

 一時的に筋力が3倍になる。発動中は常時魔力を消費する。

作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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