表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章完結】モンスター系ダンジョン配信者  作者: おしり炒飯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/53

第18話 ジャイアントラット

完全に日が暮れた。僕は鉄塔を後にして、活動を再開する。今回の探索は泊まりがけ。なぜなら、夜に活発になるモンスターや、夜にしか出現しない特殊なモンスターがいるからだ。アイテムボックスには、しっかりと「ダンジョンお泊まりセット」を持ってきている。


 「ピコピコゴキちゃんズがいたエリア周辺でジャイアントラットの糞を見つけたから、まずはそこから行こうかな。」


 ジャイアントラットは、文字通り巨大なネズミだ。大きさは1mを超え、壁を走り、トンネルを堀り、様々な環境に適応する。また、多くの病原体を媒介するため、この新宿ダンジョンでも特に嫌われているモンスターだ。


 噛まれたりすると、ダンジョン熱という、インフルエンザの超しんどいバージョンみたいな病気に高確率で罹患してしまう。まぁ、僕は病毒耐性あるから効かないけど。


 夜の廃墟を疾走する。光源はドローンのライトだけであるため、昼間に移動したときよりも時間がかかってしまった。ゴブリンから取得した暗視があるものの、昼間とまったく同じように見えるわけでは無いため、全力疾走するには練習が必要そうだ。


 走っていると、モンスターではないものの、様々な小動物なんかも目撃することが出来て、非常に楽しかった。


 糞を見つけたビル周辺を散策していると、ビル壁の壁面を素早く駆け上る黒い影が視界に入った。


 「いたいた、追いかけるか。」


 崩れかけたビルの外階段を駆け上がる。何度か落ちそうになったけど、自前の跳躍力でどうにかした。廃ビルの一室、黒い塊がいくつかもぞもぞと動いていた。


 ヂヂヂ、ヂュー!


 『マ、マブシイヂュ!』


 「あ、ごめん!」


 咄嗟にドローンのライトを弱めた。なんか、モンスターとのファーストコンタクト、大体謝罪から始まってる気がする…。今後はもっと気をつけないとな。


 『『ニンゲンヂュ、ニンゲンヂュ』』

 

 『ヂュヂュヂュ』


 『ヂューヂュ』


 よく見ると、子ラットがいるみたいだ。お母さんラット2匹と子ラットが7匹。お母さんラット2匹は茶色と灰色のツルっとした毛が生えているが、子ラットはまだ毛も生えそろってないようで、ピンク色をしている。


 ジャイアントラットの成長は非常に早く、一週間もすれば大人になる。この子たちは本当に生まれたばかりなんだろうな。


 また、ジャイアントラットの毛は非常に頑丈で、細い針のようになっており、撥水性も防御力もある優れものだ。初心者用の装備に使用されることもある。ハリネズミとドブネズミ、両方の特徴を併せ持っているようだ。


 「急にごめんね、ちょっと観察させてほしくて。赤ちゃん、生まれたばかりなんだね!」


 『『ウマレタヂュ、ウマレタヂュ』』


 「いつ生まれたの?」


 『『マエノヨル、マエノヨル』』


 昨晩かな? よく見ると、かよわい声でヂューヂューと鳴きながら、お母さんラットのおっぱいを吸っている。


 「君たちは二匹で、赤ちゃんたちを育ててるんだね」


 『『キョーリョクダヂュ、キョーリョクダヂュ!』』


 ジャイアントラットは、複数の母親が協同で子育てをすることがあるらしい。父ラットは子育てには参加せず、交尾をしたらすぐにどこかへ行ってしまう。このダンジョンにおいて、ジャイアントローチの次に数が多いのは、ジャイアントラットだ。これが生存戦略の一つなのだろう。


 子ラットは一塊になって、ぷるぷるしている。もしかして、寒いのかな?


 「これ、よかったら使って!」


 僕はアイテムボックスから毛布を取り出して、彼らに優しくかけてやった。ヂューヂューと鳴きながら、スヤスヤと眠りだした。ピンクの丸いお腹が、呼吸のたびに大きくなったり小さくなったりしている。


 『『サンクヂュ、サンクヂュ!』』


 その後は、お母さんラットたちにチーズをあげたり、子ラットのぽんぽこりんなお腹を撫でさせてもらったりした。


 

 『スキル獲得:ジャイアントラット』



 ○



 「さみしかったぜぇ~? カスミちゃぁん。急に休職なんて、どうしちまったんだよ。」


 「ごめんなさ~い、ゲン君。せっかく指名してくれてたのに。」


 カスミこと霧崎リオは、一口、シャンパンを口に含んだ。


 ゲン、と呼ばれた大柄な男は、リオに粘ついた視線を向けている。


 「実は、ちょー悲しいことがあってぇ、カスミ悲しくてお仕事どころじゃなくなっちゃったの。」


 「おいおい、どこのどいつだぁ? 俺のカスミちゃんを泣かせたカス野郎はよぉ。ぶっ殺してやるぜ、ぎゃははははは!」


 「…本当に、ぶっ殺してくれる?」


 リオの声色が変わった。ゲンはその場の雰囲気が変わり、「仕事の匂い」が漂い始めたのをいち早く察知した。


 「…あぁ、条件次第じゃ、ぶっ殺してやるぜぇ。」


 「実はね、カスミの大事な大事なお友達が、キモいオタク配信者に殺されちゃったの。だからぁ、私と一緒に、そいつのこと殺して欲しいなぁ~?」


 リオはゲンにしなだれかかる。ゲンの目線は、リオの胸の谷間に釘付けだった。


 「もしぃ~、私のこと強くしてくれてぇ~、あのクソオタクもぶっ殺してくれたらぁ、ゲン君のために、なんでもしてあげちゃうんだけどなぁ~?」


 「おいおい、カスミ。俺を誰だと思ってやがる。」


 ゲンは卓上のウイスキーボトルをひっつかみ、飲み口を軽く指で弾いた。パキィン、という軽快な音が響く。いつの間にかその瓶は、飲み口部分が切断されたように無くなっていた。


 「俺は元、攻略組。【骨掴み】の板東ゲンだぜ?」


 「きゃー! ゲン君、マジかっこいいんですけど!」


 板東ゲンは、ウイスキーを一気に飲み干した。


「オタクのガキなんざ、1秒でぶっ殺してやるよ。おい、お前ら。仕事が舞い込んできたぜ。」


「「「ウェイヨォ!」」」


「久しぶりに行くかァ、ダンジョンへ。」


 金の長髪をかきあげ、撫でつけた。獰猛な肉食獣のような笑みを浮かべながら、男たちが席を立った。


 ――――――

 スキル:ジャイアントラット

 ①悪食

 有機物であれば、なんでも食べられるようになる。

 ②登攀

 垂直な壁なども、わずかな歪みがあれば、登ることが出来る。

作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ