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モンスター系ダンジョン配信者  作者: おしり炒飯


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第15話 新宿ダンジョン

 ゲートを抜けて最初に目に飛び込んできたのは、崩壊し、廃墟と化した高層ビル群だった。


 「お、おぉ…。崩壊して滅んだ東京みたいだ。」


 アスファルトはひび割れ、高層ビルはいくつか傾いてしまっている。遠くで衝撃と破壊音が聞こえる。もしかしたらビルの廃墟が倒壊したのかもしれない。


 「立川ダンジョンとは打って変わって、なんか、陰鬱とした雰囲気というか、ディストピア味を感じるなぁ。」


 ひび割れたアスファルトからは、草花が顔を覗かせている。期待と興奮に胸を高鳴らせながら、僕は歩き出した。


 新宿ダンジョンは全10階層。5階層と10階層にボスが存在している、中規模ダンジョンだ。


 5階層のボスは何度も討伐されているが、10層のボスは一度も倒された記録がない。故に、この新宿ダンジョンは「未踏破ダンジョン」なのである。


 「世界が滅んだ後に散歩しているみたいで、なんだか不思議な気分だ。」


 このダンジョンは環境が日本と似ており、週に1~2回ほど雨が降る。今日は幸い晴れており、探索日和と言えた。


 また、中規模ダンジョンということもあって、一層あたりの面積はかなり広い。第5層までは東京都の半分ほど。第6層以降は東京都全域ほどの面積がある。


 「あ、何かいるな。第一村人ならぬ、第一モンスターだ!」


 前方、道路上を何かが歩いていた。黒いぼろ切れを纏った、小柄な二足歩行のモンスター。手には木製の両手杖。こちらを振り向いた。見覚えのある、緑色の肌。


 「ゴブリンメイジだ!」


 ゴブリンメイジはこちらに気づくと、ぎょっとしたような反応を見せた。うおおおおお、逃がさんっ!


 「こんにちはぁああああああああ!」


 『ヒ、ヒィイイイ!?』


 全力疾走、からの全力挨拶。ゴブリンメイジ君はなぜか涙目になっていた。


 「ごめんごめん! 驚かせるつもりは無くて!」


 『オマエ、ニンゲンカ? デモ、オレタチトオナジ、ニオイガスル』


 ゴブリンメイジ君は頭をかしげながら、僕の周りをぐるぐると回り、時折手に持った杖でツンツンしてきた。


 『オマエ、ダレダ』


 「僕は人間だよ。君たちみたいなモンスターと話すのが大好きなんだ!」


 『オレハベツニ、ハナシタクナイ』


 むむっ。生意気なヤツめ。メイジってくらいだから、もしかしたらゴブソル君よりも頭が良いのかも。


 「ふふふ、これを見ても、そう言えるかな?」


 『ソ、ソレハッ!』


 僕は“ある物”をアイテムボックスから取り出した。ゴブリンメイジ君の目の色が変わる。口からはよだれがダダ漏れだ。


 「そう、ニンゲンの腕だよ! それも、ただのニンゲンじゃない。この腕の持ち主は、魔法使いだったのだ!」


 『ホ、ホントウカッ!?』


 ゴブリンメイジは戦闘中、人間の魔法使いを執拗に狙う、という特性がある。その理由は不明であったが、何か執着する理由があると僕は踏んでいた。


 いや~、『カツヤの腕』、一応残しておいてよかった~! ゴブリン系の種族はみんなニンゲンの肉が大好きみたいだから、一応残しておいたんだよね。


 「僕とお話してくれるなら、この腕、そなたに渡してやってもよいぞ~?」


 ぶらぶらと、カツヤの右腕を振る。


 『タ、タノム! ハナス、ナンデモハナス!』


 「ふぉっふぉっふぉ! 苦しゅうないぞ、ではこの腕をやろう。」


 『ヤ、ヤッターーー!』


 腕を渡した途端、ゴブリンメイジ君は一心不乱にそれを食らい始めた。



 ○



 「つまり、君たちゴブリンメイジは、魔法使いの肉を食べれば食べるほど、自分の魔法が強くなると信じてるの?」


 『ソウイウコトダ。ア、ソコ、クズレルゾ。』


 「おっと、危ない危ない。」


 僕はメイジ君と並んで歩いていた。どうやら彼らゴブリンメイジは、魔法使いの肉を食べれば自らの魔法が強化されると信じているらしい。あと、単純にニンゲンの肉は美味いから好き、とのこと。


 『オレ、ヒノマホウ、ツカエル。メイジミンナ、ヒノマホウ。』


 ゴブリンメイジはみな、火魔法が使えるらしい。魔法は体内に存在する魔力を用いて行使する。威力や規模は、その魔法に込められた魔力量によって決まる。魔力は一般的に適応が進むことでその総量が増えていく。


 僕は、うーん。どうなんだろう? なんか使おうと思えばいっぱい使える気がするけど。というか、現状幻影魔法しか使えないや。


 ゲームや漫画では詠唱、というものがたびたび登場するが、現実における詠唱とは、その魔法のイメージを浮かびやすくするために使うもの、といった感じだ。


 だから、人によって詠唱は千差万別。火の玉を飛ばす魔法でも、「ファイヤーボール」だったり「フレイムボール」だったり、「火の玉」だったりする。「メ○」の人もいる。イメージさえできればいいので、無詠唱の人も一定数存在する。


 『タテモノ、クズレテモ、モトニモドル。ヨルノアイダ、ウゴク。』


 へぇ~。どうやらこのダンジョンに存在する建物は、倒壊したりしても勝手にもとにもどるらしい。そういえばそんなことHPに書いてあった気がする。他にも同じようなダンジョンがあるとも書いてあったな。


 『オレ、ココスンデル。ソルジャーモ、コブンモイル。ジャアナ。』


 とある廃ビルの前で、メイジ君とは別れた。


 「うん! いろいろ教えてくれてありがとう!」


 そう、この新宿ダンジョンにはゴブリン、ゴブリンメイジ、ゴブリンソルジャーが出現する。例に漏れず、ゴブリンたちは集団を形成し、上位種であるゴブソル君、もしくはメイジ君がそれらを率いる。まれにメイジとソルジャー、両方が共同で集団を率いることもあるが、今回のメイジ君は珍しいタイプだったようだ。ただ、呉越同舟という言葉があるとおり…。


 『ガァアアアアア! オマエダケズルイ!』

 

 『ウルサイウルサァアアイ!』


 ドガァーン、ボフッ!


 廃ビルの一角から火の手が上がった。


 「喧嘩するほどなんとやら、なのかな…。」



 『スキル獲得:ゴブリンメイジ』



 ―――――

 スキル:ゴブリンメイジ

 ①火魔法

 ②捕食強化(魔力)

 魔法スキルを持つ者を捕食すると、総魔力量が増加する。


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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