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【第二章完結】モンスター系ダンジョン配信者〜ニンゲン嫌いの僕は、モンスターを布教しながら最強となる〜  作者: おしり炒飯


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第99話 報告

 「それで、高松ルナの攻撃を受けて気絶。瀕死となっていたところをパンイチじーさんによって救助。ピューマンの集落で療養してから帰還した、と?」


 「は、はい…。」


 帰りたい。帰りたいです。

 目の前には眉間にシワを寄せた、獅子角講師。


 あれから数日後。パステル☆ナイツと高松兄妹によるピューマン襲撃から始まった一連の事件について、僕は事情聴取を受けていた。ぱんじーさんとは口裏を合わせており、僕は瀕死でぱんじーさんに助けられた、ということになっている。


 今回の事件、場合によってはスタンピードにも繋がりかねない重要な事件である上に、数ヶ月前世間を騒がせたモンスター・Xの再出現と、その後に現れた「死んだはずの英雄」。あまりにも情報量が多く、ギルドは事態把握と各所への説明に追われて大忙しだった。


 「その直後に現れたモンスター・Xと、黒山羊とパステル☆ナイツの戦い、その後のピューマンたちと“英雄”については何も知らない。そういうことで良いですか?」


 ジロリ。獅子角さんの鋭い眼光に、一瞬たじろぎそうになる。お、落ち着け僕!


 「は、はい。あ、いえ! 一点だけ。ピューマンたちと黒山羊の戦いについては、彼らと交流する中で得た情報があります。彼らにとって黒山羊は神に等しい存在で、かの神を打ち倒すことこそが誉れ、という考えがあるようです。詳細については後ほど報告書を出させていただきます。」


 「なるほど、黒山羊を神聖視。興味深い内容ですね。」


 獅子角さんはサラサラとペンを走らせる。


 「わかりました。報告書の提出、楽しみにしています。ああ、それと。事件の当事者であるあなたには、説明しておかないといけませんね。」


 ギシ。獅子角さんが背もたれに体を預けた。


 「パステル☆ナイツについては、メンバーの西園寺ソウ、東雲寺ミナトが死亡。唯一生存した神宮寺ヒナタについては、現在付属病院で療養中。精神的ショックも大きいようですが、スタンピードを引き起こしかねない計画を立てたとして厳重注意の上、無期限で富士ダンジョン探索資格を剥奪することになりました。」


 やっぱり、緑と青は死んでいたのか。この処分については他に、「黒山羊の姿を大々的に配信に写した」ことも問題となっているようだ。講習でも習ったが、黒山羊については民間に対して情報の多くが秘匿されている。一定の精神耐性を持っていないと、見ただけで発狂する恐れがあるからだ。


 適応が進んでいない一般人にすれば、見ただけで発狂するモンスターなんて最悪だろう。実際、パステル☆ナイツの配信視聴者は、メンバーの死と黒山羊SAN値チェックのダブルパンチを食らって精神病院に入院した人がかなりの数いたそうだ。


 ま、僕の配信荒らしたりするような奴らも多いし、ざまーみろって感じだけどね☆


 「高松兄妹も同様の理由で、3年の資格剥奪です。今回の件を受けて今後、ギルド規定に“特定種族の殲滅禁止”に関する規定が盛り込まれる予定となりました。」


 あの兄妹も同罪、か。僕としては殺すつもりで攻撃したんだけど、二人とも生き残ったらしい。ぱんじーさんのおかげかもしれないけど、腐っても攻略勢ということか。


 新規定については大賛成! 他の知的種族にも適用されるんだろうから、僕としても一安心だ。


 「ギルドとしては、守野さんに罰則を与える予定はありません。むしろ、よく彼らを止めようとしてくれました。金銭負担などはできないのですが、個人的に感謝を述べさせてください。」


 「い、いえいえ! あれは僕が勝手に行動しただけですから、気になさらないでください。」


 僕も高松兄妹に攻撃したりしたが、正当防衛の範囲内であるとしてお咎め無しだった。現状、兄妹が言ったように、特定種族を殲滅しても罰則は無い。従って今回は、探索者同士の私闘という処理をされた。


 「ふふ、ありがとうございます。あなたは講習の時から熱心だった。」


 獅子角さんは書類をまとめると、ぱたりとファイルを閉じた。


 「私のこの足はね、富士スタンピードで失ったんです。」


 「えっ。」


 獅子角さんの右足は、棒状の義足だった。講習の時から気にはなってたけど、スタンピードの時に失ったのか…。


 「生き残れただけでもラッキーでした。“彼ら”がいなければ、私は今この場にいません。竜の王に食われていたでしょう。」


 獅子角さんが僕を見る目は、とても優しいものだった。


 「ですから、あなたがスタンピードを止めるために高松兄妹の前に立ち塞がったとき、私は嬉しかった。ああ、やはり君は、“彼ら”の息子なんだ、と思った。」



 『おう、シッシー! 今度グロムスロトの毒を採取しに行くんだが、またパーティ組まないか!?』


 『シッシーさん、いつも夫がご迷惑を…。これ、良かったら使ってください。聖女印の簡易ポーションです! 効き目は保証しますよ?』


 

 「これはただの独り言です。もし、もし君が、彼らの力を継いでいて。「死した英雄」の正体が、君だったとしても。私は誰にも、どこにも報告しないでしょう。」


 獅子角さんは書類を手に立ち上がると、僕の目をまっすぐに見た。


 「これからも応援していますよ。ゴロウ君。」


 ぱちり、と。獅子角さんはウインクをして部屋を出ていった。



 コツン、コツンと。義足の音が遠ざかっていく。


 その足取りはどこか軽やかで、楽しげに感じられた。





 ギルドの外は、すでに夕方だった。コカトリスの卵みたいに綺麗なオレンジ色をした夕日が、黒光りする建物群を照らしている。いつか食べてみたいな~、コカトリスの卵。いかんいかん、お腹がすいてるからこんなことを考えてしまうんだろうな。


 「昨日の盛りすぎ都市伝説、見た?」


 「見た見た、モンスター・Xの正体はダンジョンの化身! 人類を根絶するために生み出された、最終兵器! ってやつでしょ?」


 「そうそう! あと、死んだはずの英雄はアンデッドとして富士ダンジョンを彷徨っている! ってやつ。」


 あの事件から、世間の注目は再びモンスター・Xに集まっていた。ダンジョンをまたいで出現する特殊個体なのか。はたまた、“様々なダンジョンに出入りしている”のか。後者であった場合その危険度は跳ね上がるため、各機関は確認を急いでいるらしい。


 また、死んだはずの英雄にも注目が集まっており、あることないこと吹聴されまくっている。もしかしたらそろそろ、僕が息子であると言うことなんかも報道されてしまうかもしれないなぁ。


 「まぁ、今考えても仕方ないか!」


 そう、不確定のことをごちゃごちゃ考えてもどうしようもない! メンタル病むだけ!


 「さーて、帰ってご飯作ろうっと! 今日は豪華に、オーク肉のステーキにでもするかぁ!」


 イマジナリーもふげが尻尾を回転させ、イマジナリーおいもちゃんが尻を振ってよだれを垂らしている。



 さぁ、帰ろう! もふげとおいもちゃんが待ってる!



—————

次回、第二章完結!


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。


面白ければぜひ、リアクションと評価いただけると嬉しいです。


また、本作カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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― 新着の感想 ―
2章完結、おめでとうございます。次も楽しみにしてます。 パステルも兄妹も、そのうち逆恨みからの復讐に来そう。 パステルはダンジョン入れないだけだから外で襲ってきて、兄妹は密猟者を引き連れてお礼参り、か…
処分が甘すぎる…テロリストはきちんと豚箱に無期で放り込まないと。結果的に阻止されて被害が出てないからと言ってテロ行為を実行に移した事実は変わらない。人が死ななかったとて放火は重罪なのと一緒だよ。少なく…
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