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威力偵察3

試作レールガンが放出した余剰熱の熱気に煽られながら、中隊長たちは臨時拠点へと帰還した。

その足取りには、自分たちが心血を注いだ牙が異形の装甲を食い破ったという、確かな「手応え」が刻まれている。

だが、拠点待機していた一団の冷徹な空気感は、その熱を一瞬で冷ますものだった。


「……威力偵察、ご苦労だった。独断での行動は不問に処す。それだけの価値があるデータだ」

新たに赴任した選任司令官は、中隊長が持ち帰った戦闘記録を凝視しながら言った。

その口から語られたのは、世界中で同時多発する侵略と、核の使用すら議論される絶望的な惨状。そして、中隊長たちの試作機に使われている特殊素材と動力炉が再現不可能な代物であり、彼らが人類「唯一の牙」であるという事実だった。

「ここ、下関が最終防衛線だ。現在使えるのは、私と共に来た二個中隊の歩兵と、2台の戦車、1台の機動装甲車のみ。航空支援も待機中だが、橋を守るにはあまりに戦力が不足している」


その時、偵察班から淡々とした、しかし非情な無線が入った。

『敵ユニットが再集結し、再構築を開始。現在の進捗速度から推定、敵の「橋」がこちら側の岸壁に到達するまで、残り30分を切りました』


「……待機している時間は、一秒も残っていないようだ。中隊長、君たちは――」

司令官が言葉を濁らせるのを遮るように、中隊長はまだ冷却システムの熱が引かないハッチへと手をかけた。

「小島、わかっている。俺たちが再出撃する。今回はバックアップ含めて8機でいく。書類と報告は任せるぞ。……俺らは戦う。いつも通りだ」

中隊長は階級を超えた信頼を預け、待機していた一団へ咆哮した。

「山本、第二小隊を呼んで来い! 3分以内に全機、出撃準備を完了させろ。」


慌ましく機体へ向かう背中を見送りながら、小島は「まったく、まだ治らんのかあの言葉使いは……」と、周囲に聞こえないほどの小声で苦笑を漏らした。だが、その目はすぐに鋭さを取り戻し、自身の部隊員たちに向き直る。

「今回は我々は彼らのサポートに徹する。各偵察部隊に少しでも情報を集めさせろ。奴らが帰還した際、すぐに整備・補給ができるよう部品と弾薬を集めて待機だ。……ただし、奴らの工具には絶対に触るな。あいつらは自分の仕事道具を触られることを嫌う。徹底させろ」


人類の運命を左右する戦いを前に、境界線のアグレッサーと、それを支える小島の部隊が、一つの巨大な歯車として噛み合い始めた。

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