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まったく、その気にならなくて  作者: あけの星
第一章

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解呪5


 どのくらい眠ったのか、ふと目が覚めた。

 朝の光ではないはずなのに、胸元に白い光が見えた。


 えっ、と首を起こしてよく見ると、かたわらに寄り添って寝ているアジューの頭のこぶ――もうそれは、こぶとは言えなかった――白い立派な角が、わたしの胸の上で光っているのだった。


 わたしが身動きしたので、目を覚ましたアジューが眠たげに言う。


――どうしたの、ルナーリア? ――


「アジュー、角ができてるわ!」


 アジューは身体を起こして、身震いした。

――あ、もうずいぶん大きくなってる、ボクーー


 白い角が灯りになって、アジューの姿が見えた。

 立つと坑道が狭く感じる。


「アジューってユニコーンだったの⁉ ユニコーンのペガサス?」

 わたしは驚きながらアジューを見上げる。


――うん、そう呼ぶ人もいるよ――


「ね、触ってもいい?」


――いいよ――


 わたしは起き上がって、アジューの角を触った。

 白く光っているのに熱はない。


「不思議ね、光っているのに冷たいわ」


――これは石だからね、夕月の女神に祝福された石だよ――

 アジューは何気なく言った。


「え、夕月の女神の⁉ そ、それって――もしかしたら白き月の石かも⁉」


――ん? たしかに白い石だけど ――


「お願い、ちょっと試させて」


 わたしは、急いで収納バッグから遮断石を取り出して、短剣で細かく分けた。

 寝床を動かして、周囲に遮断石で魔法陣を描く。

 その中にわたしは横になり、アジューに声をかけた。


「その角で、わたしの額に触れて!」


 アジューは言われた通りに角をわたしの額に触れる。


「そのまま、じっとしてて。いい? 解呪いくわよ!」


 わたしは一気に魔力を魔法陣に流し込んだ。

 魔力の実の効果が残っているのか、面白いほど魔力が流れ出る。


 魔法陣は一瞬全体が強く発光した。


 すると、わたしの額から灰色の靄のようなものが立ち上がってきた。

 靄の中に古代魔法言語がいくつも重なり合って見えた。

 

 しだいにそれはアジューの白い角に絡まっていく。べっとり角に貼りついたとき、白い角が光った。と、それは一気に分解され、透明な煙となって消えた。

 魔法陣が静かになってゆく。


「やったー 消えたわ、解呪成功!」

 瞬間、神官長の悔しがる顔が浮かんだ。


 わたしはクスッと笑って、アジューに声をかける。

「ありがとう、アジュー」


 わたしは魔法陣を消し、石を片付けると、アジューの首を抱いて撫でた。

「あなたは、大丈夫だった?苦しくなかった?」


――大丈夫だったよ。安心して。解呪できてよかったよ――

 アジューはフンフンと鼻を鳴らした。


 夜明けまでには、まだ間がありそうだった。


 明日からは忙しくなるだろう。追跡魔法が消えた今、まずは身の落ち着きどころを探さねばならなかった。


 すべては、朝になってからね。

 わたしとアジューは身を寄せ合って、またひと眠りしたのだった。


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