第二十一話 藤華女子高等学校
「久しぶりの学校はちょっと緊張するなー。」
朝、起きて制服に着替える。身支度をして朝食をとる。
「朔仁、おはよう。」
「え、その声⋯瑛華?」
「そうだよ。」
貸している部屋から出てきた朔仁に驚かれる。まぁ無理もない。だってスッピンとも男装とも違う姿だから。
「本当に瑛華か⋯。」
「いつものおねえちゃんだよ?」
唖然とする朔仁と寛蓮がお見送りしてくれる。
「あはは。じゃあ、いってきまーす。」
「いってらっしゃい。」
「ワフッ!」
ここ、藤華女子高等学校は女子校である。故に俺が男だとは誰も思わない。
それに今は髪をセットしてないし、セーラー服に加えてメガネをしているから。
「瑛華久しぶり!今日もかっこいいね!元気だった?」
「久しぶりー。やっぱ瑛華は隠れた逸材だねー。今日も顔がいい。」
「元気だよ。そっちも変わらず?由夏、花音。」
昼時間、俺の席に集まってきた由夏と花音。おっと、俺じゃなくて私だ。間違えないようにしないと。
「相変わらずよ!あ、てか見て!瑛華の推しの朔仁と同じグループの子!」
「由家の新しい推し、若竹瑛太くん。名前見た時に瑛華かよって思ったよ。ワンちゃん親戚とか。」
「⋯へー。確かに名前が激似だね。」
やっぱりーーー。
面食いの由夏なら見つける可能性もあるから緊張してたのに、知ってるだけじゃなくて推しかー。ってか、活動休止になるんだよな⋯。これから、スキャンダルが発表されて⋯。
「もう、声からイケメンって分かる!」
「それな。聞いてるだけで落ち着くわー。瑛華みたい。」
⋯そりゃーそうだろうね!だってそれ俺だもん!なんとか誤魔化さないと。
「そ、そうだねー。」
「どうした瑛華。声が裏返ってるぞ。」
「久々の学校でちょっとね⋯。」
「声は大事にしてね!瑛華の声もちょー良いんだから!」
「同感。」
ちょっと照れくさいな。
「ありがと。」
「瑛華。一緒に帰ろ!」
「うん。」
学校1日目、あと5日は北海道に滞在する。それまでやり過ごせると良いな。
「あ、信号点滅してる!早く渡ろ!」
「だめだよ。点滅はもう止まれっていう合図なんだから。」
「瑛華はまじめだなぁ。渡っちゃえるのに。」
「真面目も何も無いよ。⋯あ。」
あれって。
「んでさぁこんな事あって、ぶっちゃけどう思う?瑛華。⋯あれ?」
「ん。」
花音が指を指す方向には、庭の真ん中にたったマリア像と1人の少女がいた。
「瑛華⋯。本当にいると思ってないのにそんなに熱心にお祈りするの?」
「⋯うん。ここでこのネックレスと一緒に祈ってると伝わってくるんだよ。ここって屋根ないでしょ?祈ってると日がさしてきて、昔頭を撫でてもらってたみたいにあったかくなるんだ。」
「んな、漫画みたいな⋯ってまじで日がさすのかい。」
「フフ、まじだよ。⋯今日もあなたの分まで生きてるよ。」
「よいしょっと。花音はなんで信じてるの?」
祈り終え、土をホロいながら聞く。
「そんなの簡単だ。神がいると思っていた方が楽だから。すがるものがあるって良いんだぞ。」
祈りながらそう答えてくれた。花音はてっきり化学こそ正義!だと思ってるのかと。
「ふーん。じゃあ由夏は?信じてないんだよね。なんで?」
「祈ってかなったことがないから!でも、推しのライブ当てるために祈って運を上げるの!」
「はは。由夏らしい。」
あ、でも俺のライブは当たりませんように。神様お願いしますよ。




