活休
ここにいる全員がビクッとした。空気が震えたのだ。
あの優しい社長が怒鳴った。
・・・いや、優しさ故か。
「君たちが瑛太を助けに行ったことは知っている。咎める気もない。だから冷静に対策を考えようじゃないか。」
「社長・・・。」
「真瀬。君もマネージャーならやるべきことをしなさい。」
「あっ、はい!救急箱を持ってきて。」
真瀬さん。社長が俺のためにマネージャーを女性にしてくれた。本当に問題が多いグループで申し訳ない。
今は殴り合って怪我した東狐と朔仁の手当をしてくれている。
「さて、どうしたものか。」
手当てが終わったので緊急会議を開催した。
「とりあえず、SNSの発信を止める。マスコミの発表はなんとか遅らせるように私が手配しよう。」
「あとは無罪をどう証明するか。」
無罪。俺達は隠蔽をしてるから有罪だ。東狐が居心地悪そうにしている。
やっぱり俺が自首する!___とか言いたいんだろうけど、それはここにいる全員から却下が降りるだろう。被害を被っている朔仁ももれなく。
「写真!写真に朔仁が丸腰で返り血もなんにもついてないって証明できない?」
羅潔・・・。
「返り血は見当たらない。」
東狐が呟く。
「なら・・・!」
「羅潔。写真は朔仁の暗いところの背中だけが写ってるんだ。丸腰だってナイフをそこら辺に捨てることだってできる。」
「っ・・・!」
勢いよく立ち上がった羅潔だが、現実を知って椅子に座るしかできなかった。
ガタンッ___
「・・・朔仁?」
「っ・・・。」
俯いたままの栄虎が走り去る朔仁を目だけで追う。
「朔仁は自宅待機。皆もプライベートに気をつけて仕事をしてちょうだい。」
「仕事って、メンバー放っておいてできるかよ。」
・・・東狐。朔仁と同じく去っていった。
「俺も。」
それに続いてどんどん部屋の人口密度が減っていく。
「瑛太。君は帰らないのかい?」
「・・・。帰って勉強でもします。」
「瑛太。いや、瑛華ちゃん。この調子じゃあ、発表を遅らせることが成功してもしばらく活動休止よ。」
「そうですね。」
「あなた、久しぶりに実家に帰って学校に顔でも出してきたら?まあ行かなくても、自由にすると良いわ。」
「・・・。失礼します。」
「ただいま。」
久しぶりに言ったな。前は当たり前だったけど、こっちに来てからは言わないのが普通だった言葉。
俺は17歳で一人暮らしだ。実家も高校も北海道だが、オーディションに受かってからは行ってない。学校はリモートでやってた。でも家族は一人暮らしに反対だったからマネージャー、真瀬さんが近くに住むならっていう条件で隣の部屋を借りることにした。
「・・・帰省するか。」
友達にも顔を出したいし帰る時間なんてそうそうないし。
真瀬さんにメールだけしておいて、明日のチケットの購入完了っと。
・・・そうだ。
「多分断られると思うけど。」
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