帰省
「ただいま。」
俺は今、実家に帰ってきた。
「・・・お世話になります。」
「ねえちゃん、おかえり!あれ?この人だぁれ?」
玄関まで走ってきて、抱きつきながら聞く弟。
「朔仁。私と同じアイドルグループだよ。しばらくお世話になるそうだよ。」
いやぁ、まさか一緒に来るとは思ってもなかったんだけどね。
暇だな。皆、何してるんだろう。
朔仁・・・落ち込んでるよな。なんか励ましたい。
「確か、飛行機空いてたはず・・・。」
ある男は自宅に帰るとベットに倒れ込んだ。
「・・・俺のせいで。」
拳に力を入れては、ベットを殴った。
ふと、スマホが震えた。
『朔仁。明日、北海道の実家に帰省するんだけど一緒に来ない?ほら、北海道ってここらに比べて見つかりにくいかなーって。』
「・・・瑛太。」
男は喉に詰まったものを飲み込み、震えた吐息を吐き出した。
メールを送ってしばらく返信が来なかったからてっきり来ないのかと思ったら、一言だけ『何時、どこ集』って送ってきたんだから。まったく世話がやける。
「瑛太・・・瑛華。この子は?」
瑛太って呼んでからちょっと後に気づいて訂正する推し。最高。
「朔仁がヒロのこと知りたいって。自己紹介しなよ。」
「うん。僕の名前は寛蓮心が広いひろ と、繋がるれん!小学4年生です!」
「俺は朔仁。少しの間だけどよろしく。」
「朔仁くん!よろしくね!」
朔仁から自然に微笑みが溢れている。どうしても1人じゃあ思い詰めちゃうから、せめて記事が発表される前に覚悟を決められるように環境は良いほうが良いよね。
「朔仁はここで過ごして。俺・・・私は明日から久々に学校行こうと思うから。」
「分かった。」
環境は整えられたはず、でも1週間後には記事が発表されるだろうという予想だ。だから「逃げた」と思われないように「立ち向かう」準備をしないといけない。でも俺にできることは、やり尽くしたかな。
「・・・明日から久しぶりに学生生活を堪能しますか〜。」
瑛太の家。あったかいな。
「・・・暇だ。」
瑛太は明日から学校行くって言ってたし何しよう。でも、あんま外行く気分じゃないんだよな。
「暇なら遊ぼ。」
「・・・うわっあ!?」
いつの間に部屋に・・・!我ながら完璧な二度見をした。
「あ、遊ぶって何をして?」
「晴れてるでしょ?だから公園でキャッチボール!円山にも公園あるんだよ!」
ここは札幌市中央区 円山ってとこらしい。
「・・・外行く気分じゃない。」
「気分は動いてからつくものって、ねえちゃんが言ってたよ!暇なんだから良いでしょ!」
裾・・・伸びる。引っ張られても気分は変わらないんだよ。
「むー。」
俺が動かないから拗ねて出ていっちゃた。悪いことしたかな。
「おかーさん!!!朔仁くんとキャッチボールしてくるー!!!」
え?
「夕暮れまでには帰ってきなさいよー。」
「朔仁くんっ。ほら行こ。」
ドタバタ走ってまた俺の裾を引っ張ってくる。
「・・・ぷっ、ふふ。それは反則だろ。」
「朔仁くんが笑った!ほら早く!日が暮れちゃう。」
「いってきますー!!!」




