バライティー
「本日のゲストは人気急上昇中のMystery Pure Colorsの皆さんですー!」
俺達は今、流行っている。
東狐が復帰してから大急ぎで撮った2ndシングル。デビューから3ヶ月でMVを発表し、早くもヒットした。今日はその番宣をしにバラエティの撮影に来た。
最初の企画は、『健康人狼ゲーム』。ルールはシンプルだ。全員でルーレットを回し、当たった二人が「人狼」になる。人狼は足つぼマットに乗りつつ、人狼を隠すだけだ。途中でダンスがあるのが人狼ゲームと違うところだ。罰ゲームは激苦茶を飲んだ上での「全力告白シチュエーション」。
「まじでぇ〜!? 需要ないぜー!」芸人さんの猛烈なリアクションに圧倒されつつも、参加メンバーが発表された。今ノリにノっているからと『にんじんコンビ』こと俺と東狐、そしてクールな朔仁。そこに芸人チームの刺客3人を加えた計6人での勝負。
「さて、市民4人。人狼2人のルーレット!見られないように引いてくださいねー。」
俺は市民か。足つぼ苦手なんだよー。っぶねー。
「それではー。健康人狼ゲーム___」
「ちょっと待った! 円陣しよーぜ!」
進行を遮って、ベテラン芸人の一人が声を張り上げた。
「誰が人狼か分からんけど、一旦味方の結束を固めようぜ。全員で肩組んで、『勝つぞー!』って気合入れない?」
げっ!円陣はやばい。キャストやスタッフには男装してること言ってないし、ばれるのは避けたい!
断りたいけど賛成ムーブになってる!!!
「参加者集まってー!」
「ほらほら瑛太くんもー。」
っ最悪だー!!!よりによって芸人さんが横っぽい。体格差でバレる気がする!
「肩組もうぜ!」
芸人さんが腕を広げてこちらに近づいてきた。
やばい、密着される!
俺が身構えた瞬間、左右から強い力で肩を引き寄せられた。
「あ、芸人さん! 瑛太は僕が担当なんで。」
東狐が俺の右側に潜り込み、芸人さんの腕をブロックするように俺の肩を抱き寄せる。
「・・・俺、こっちがいい。」
反対側からは朔仁が、無言ながらも断固とした動きで俺の左側をキープした。
結果、俺はメンバー二人にがっちり挟まれる形になる。
「お前ら、仲良すぎやろ!」
芸人さんのツッコミにスタジオが沸くが、俺は冷や汗がでていた。
東狐はこっちを一瞬見て、口角をあげた。朔仁は肩を組んでる手で背中をぽんと叩いた。助かった。一安心だ。
けど、これはこれで肩が・・・肩が痛い!!!
「市民勝つぞー!」
「おー!」
「それではゲームスタート!!!」
「戦いの火蓋は開かれた!朔仁、本当は痛いんじゃないか?」
朔仁・・・!?あのクールな顔がめっちゃきつそうな顔してる!
「どんだけ不健康なんだよっ!ってかバレバレだ!」
「おお。瑛太くん、ナイスツッコミ!」
「もう一旦、会議終わりにして投票しよーや。」
「賛成ー。」
これはもう議論の余地もない・・・。
「朔仁は処刑されました!」
「___いってぇ!てか、早いって。」
おお、珍しくキレてる。大声出してた。
その後、ダンスタイムに入ったものの誰も痛そうではなかった。だが、数回繰り返したことで俺は人狼が分かった。
「もう何回目か分からない会議の時間です!時間の都合上、これで人狼が分からなければ人狼の勝ちとします!」
仕掛けるぜ!助けてくれた恩があるが、戦いは戦いだ!
「東狐くーん。さっきから笑顔だけど、口数少なくない?」
どうだっ!東狐の作り笑顔はもう飽き飽きだし、嘘は見破れるんだよ!
「そんなことないよ。」
東狐の眉がぴくっと動いた。これで芸人さんも分かるかな。
「勝利したのは・・・市民チームだぁ!」
東狐と朔仁は激苦健康茶を飲んでしっかりとバライティーしてたよ。この後はスムーズに収録が進み全てのプログラムをとり終えた。
「カット!お疲れ様でした。」
「ありがとうございましたー。」
「いやー、瑛太くん助かったよ。」
「え、何がですか?」
「さっきのボケ。拾ってくれてありがたあったぜ。」
芸人さんがまた肩を組もうとしてくる。さて、どうしたものか。
「いえいえ、お互い様です!お疲れ様でした。」
芸人さんが手を伸ばしてくる手に合わせて、ハイタッチをする。一瞬、不思議な顔をしたけど笑顔でしてくれた。
「また、どっかで会おうな。応援してるぜ!」
いい人だったなー。肩は組めないけどさ・・・。
「瑛太くんいい匂いしてたなー。あと、朔仁くんも優しかったな。」
「それ思った。てかさ、瑛太くん独特の距離感じゃなかった?」
「まあ、事情ってもんがあるんだろ。個性あるやつが伸びてくんだよ。」
「今の人。瑛太がいい匂いしてたって言ってたよ。」
いつの間にか現れて、耳打ちをしてくる東狐。
「それがどうかしたか?」
「・・・。」




