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そのゲームは、切り離すことのできない序曲に過ぎない  作者: 珂珂


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第二卷 第二章 崇められる王(3/6)

三日みっかわたし緹雅(ティア)ともに、六島之國ろくとうのくに神明かみたちが居住きょじゅうする場所ばしょ——六玄閣ろくげんかくへとかった。

出発しゅっぱつ前日ぜんじつわたしはすでに六島之國ろくとうのくに大結界だいけっかい――「萬界結界ばんかいけっかい」について、詳細しょうさい鑑定かんていおこなっていた。

この結界けっかい術式構造じゅつしきこうぞう非常ひじょう独特どくとくであり、たとえ解析かいせきすることができても、直接ちょくせつ破壊はかいすることはできない。こうした体系たいけい結界魔法けっかいまほうきわめてめずらしく、なぜなら、このしゅ結界けっかい構築こうちくできるのは、きわめて強大きょうだい魔法使まほうつかいにかぎられるからである。そのため、非常ひじょう高度こうど安全機構あんぜんきこうそなえていた。

だれかが結界けっかい通過つうかするたび、結界けっかい自動じどう持続じぞくわずか十秒じゅうびょう感知魔法かんちまほう付与ふよする。目的もくてきは、侵入者しんにゅうしゃ正規せいき手段しゅだん入境にゅうきょうしたかどうかを確認かくにんすることにあった。

そのため、結界けっかい通過つうかするさいには、感知かんち遮断しゃだんまたは隠蔽いんぺいする魔法まほう使用しようすることはできない。もし結界けっかい感知かんちできない信号しんごうった場合ばあい対象たいしょう即座そくざに「潜在敵対単位せんざいてきたいたんい」となされる。そして、結界けっかい反応はんのう掌握しょうあくしている陰虚旗部隊いんきょきぶたいが、ただちに出動しゅつどうすることになる。



えれば、だれかが正規せいき方法ほうほう迂回うかいして六島之國ろくとうのくに侵入しんにゅうしようとした場合ばあい、たとえごくわずかな魔力波動まりょくはどう異常いじょうであっても、このきわめて精密せいみつ探知機構たんちきこうによって即座そくざ捕捉ほそくされる。

結界けっかい各島かくとう主要都市しゅようとしおおっており、結界けっかい内側うちがわ比較的ひかくてき安全あんぜん区域くいきとなっている。ひとたび魔物まもの侵入しんにゅうすれば、結界けっかいはただちにそれを感知かんちする。ときつにつれて、やがて魔物まものたちでさえ、この結界けっかい感知範囲かんちはんいけるようになっていった。

しかし、この結界けっかい感知機構かんちきこうも、けっして完全無欠かんぜんむけつというわけではない。

もし内部ないぶから召喚魔法しょうかんまほうによって生物せいぶつしたり、あるいは転送門てんそうもんひらき、ひともの外界がいかいから結界けっかい範囲内はんいない移動いどうさせた場合ばあい結界けっかいはそれらの存在そんざい正確せいかく感知かんちすることができないのである。


万一まんいちそなえ、わたし妲己(ダッキ)雅妮(ヤニー)三姉妹さんしまいたちに、しばらく旅店りょてん留守るすまかせ、待機たいきして支援しえんできるようにしておくことをえらんだ。

わたし神明かみたちの誠意せいいうたがっているわけではない。しかし、不明ふめい情勢じょうせい直面ちょくめんする以上いじょう警戒けいかい一分いちぶんおおたもっておくことはつね必要ひつようである。

とりわけ雅妮(ヤニー)は、その感知魔法かんちまほうきわめてたか戦略的価値せんりゃくてきかちっている。

雅妮(ヤニー)しんつよみは、距離きょり完全かんぜん無視むしする感知能力かんちのうりょくにある。あらかじめ対象たいしょうへ「標記ひょうき」をほどこしておけば、どれほどとおはなれていようとも、彼女かのじょはその連結れんけつつうじて相手あいて連絡れんらくることができる。

この連結れんけつ強制的きょうせいてき遮断しゃだんされないかぎり、たとえ相手あいて千里せんりはなれた場所ばしょにいようとも、彼女かのじょ即座そくざ異変いへん察知さっちすることができる。

もちろん、この能力のうりょくにも制限せいげんがないわけではない。

この魔法まほう使用しようするさいには大量たいりょう魔力まりょく消費しょうひし、さらに維持いじできる対象たいしょうかずにも限界げんかいがある。標記ひょうきする人数にんずうおおいほど、消費しょうひされる魔力まりょくおおきくなるのである。



そのため、強力きょうりょく能力のうりょくではあるものの、頻繁ひんぱん使用しようすることはできない。

各国かっこくかった守護者しゅごしゃたちの安全あんぜん確保かくほするため、わたし雅妮(ヤニー)と『櫻花盛典おうかせいてん』のほかの五色ごしきに、毎日まいにち連絡れんらくうよう手配てはいしている。

彼女かのじょたちはそれぞれべつくにおもむき、情報じょうほう探査たんさしている。雅妮(ヤニー)中枢ちゅうすうとして、最低限さいていげん魔力通信網まりょくつうしんもう維持いじしつつ、いずれかのくに異変いへんしょうじた場合ばあいには、わたしたちが即座そくざ状況じょうきょう把握はあくできるようにしている。


至高天原島しこうあまはらじまは、その名称めいしょうに「至高しこう」という言葉ことばふくんでいるものの、実際じっさいには六島之國ろくとうのくになかで「地勢ちせいもっとたかい」しまであり、「最高さいこう」のしまという意味いみではない。

このしましん特徴とくちょうは、しま中心部ちゅうしんぶ隆起りゅうきして壮大そうだい丘陵きゅうりょう形作かたちづくっているてんにある。そして、その丘陵きゅうりょういただきには、まるで絨毯じゅうたんのようにひろがる遼闊りょうかつ平原へいげんひろがっている。

ここは四季しきつうじて気候きこうおだやかで、気流きりゅう安定あんていしている。そのため、この場所ばしょ六島之國ろくとうのくに全体ぜんたい政治せいじと、神明かみたちの議政ぎせいおこなわれる中枢地帯ちゅうすうちたいとなっている。

もっとたかしまは、重大じゅうだい祭祀さいしつかさど聖地せいち——雲閣うんかくである。

雲閣うんかく妖幻島ようげんとう真上まうえ天空てんくう位置いちしており、そらかぶしまである。雲閣うんかく一年いちねんつうじて雲霧うんむつつまれているため、このばれている。

ここには、三千年前さんぜんねんまえ偉大いだいなる九人きゅうにんまつられているだけでなく、初代妖王しょだいようおうまつられており、同時どうじにあらゆる霊性れいせい儀式ぎしき中核ちゅうかくとなるでもある。

とおくからながめれば、まるで雲層うんそううえにそびえ神殿しんでんのようにえ、朝霞ちょうか夕照ゆうしょうらされる姿すがたは、ことさらに神聖しんせい壮麗そうれいである。

——以上いじょうはなしは、いずれも六島之國ろくとうのくに現地げんち住民じゅうみんたちからいたものである。



神明かみたちの居所きょしょは、至高天原島しこうあまはらじま中心ちゅうしん平原へいげん奥地おくちてられた六玄閣ろくげんかく位置いちしている。

主閣楼しゅかくろうはまた「御神閣ごしんかく」ともばれ、南方なんぽうめんしている。ここは建築群けんちくぐんなかもっと規模きぼおおきく、もっと荘厳そうごん空間くうかんであり、神明かみ来訪らいほうする使者ししゃ会談かいだんおこない、国政こくせい決定けっていくだでもある。

その外観がいかん朱紅しゅこう金色きんしょく主調しゅちょうとしており、屋根やねには鳳羽ほうう琉璃るりぜて鋳造ちゅうぞうされた特殊とくしゅかわらかれている。昼間ひるま陽光ようこうけてにじのようなかがやきをはなち、よるになると月光げっこうみ、やわらかく神聖しんせい光暈こううんただよわせる。

内部ないぶ大広間だいひろまは高さ(たかさ)十丈じゅうじょうえ、天井てんじょう六重ろくじゅう穹頂構造きゅうちょうこうぞうとなっている。それぞれのそうには、かつての神話時代しんわじだいえがいた浮雕ふちょう星象図せいしょうずまれており、時間じかん霊力れいりょく変化へんかおうじて、その図像ずぞうしずかに流転るてんする。

広間ひろまゆか氷晶石ひょうしょうせきめられており、そのうえあるけば、まるで湖面こめんんでいるかのような感覚かんかくおぼえる。かがみのような床面ゆかめんは、ひとそれぞれの真実しんじつかげうつすかのようであった。


主閣楼しゅかくろう右側みぎがわには神明かみたちの居所きょしょがあり、「静心閣せいしんかく」とばれている。建築けんちく環状かんじょうめぐ回字かいじ構造こうぞう設計せっけいされ、中央ちゅうおうには日常にちじょう活動かつどう小規模しょうきぼ祭祀さいしもちいられる内庭ないていもうけられている。そこには神力しんりょく象徴しょうちょうする神樹花しんじゅかえられており、あさ曙光しょこうむたび、花弁かべんひかりかげおうじてさまざまな色彩しきさいひらめかせ、ろう全体ぜんたい神秘しんぴ気配けはいえる。

かく神明かみ居所きょしょは、それぞれ楼翼ろうよくことなる方角ほうがく独立どくりつして配置はいちされており、内部ないぶ装飾そうしょく各神明かくかみ嗜好しこうわせてととのえられている。

天照大神あまてらすおおみかみまう陽明庁ようめいちょうは、金光きんこう雲紋うんもん主調しゅちょうとし、全体ぜんたいあかるくあたたかなひかりちている。いっぽう、月読つくよみ月影室つきかげしつ水墨すいぼく壁画へきがいろどられ、静寂せいじゃくでひんやりとした雰囲気ふんいきただよわせている。

各室かくしつには日常にちじょう起居ききょのための設備せつびくわえ、侍従じじゅうひそかにするためのかくされた通路つうろ転送陣てんそうじんもうけられており、部下ぶかたちが人目ひとめけて移動いどうしたり、緊急きんきゅう報告ほうこくおこなさいもちいられる。


静心閣せいしんかく右側みぎがわにあるろうは「霊御閣れいぎょかく」とばれる。ここは神明かみえらばれたもの精神せいしん昇華しょうか深化しんかげるための場所ばしょである。建物たてもの全体ぜんたい八角はっかく構造こうぞう設計せっけいされており、「天地八方てんちはっぽうすべてがかみつうじるみちである」という象徴しょうちょうあらわしている。

主殿しゅでんは「神契堂しんけいどう」とばれる。堂内どうないにはいしぶみのようにたかくそびえる晶壁しょうへきがあり、「神御壁しんぎょへき」と名付なづけられている。このかべ過去かこ神明かみ残響ざんきょう記憶きおく投影とうえいすることができ、えらばれたもの修練しゅうれん啓示けいじけるさいに、そのみちみちび役割やくわりたす。

両側りょうがわには「御心池ぎょしんち」と「明息亭めいそくてい」がもうけられている。前者ぜんしゃ静止せいしした水鏡すいきょういけであり、修行者しゅぎょうしゃこころ奥底おくそこにある疑問ぎもん恐怖きょうふうつすといわれる。後者こうしゃ瞑想めいそうのための静謐せいひつ空間くうかんであり、内部ないぶには浄化魔法じょうかまほうほどこされているため、感知かんち修練しゅうれん精神せいしん集中しゅうちゅうたかめるたすけとなる。

霊御閣れいぎょかく外部がいぶには公開こうかいされておらず、はいることがゆるされるのはかみえらばれたもののみである。つたえによれば、霊御れいぎょ試練しれんまことげたものは、そのちからがさらに昇華しょうかするとわれている。


さらに右側みぎがわ位置いちするろうは「荒武閣こうぶかく」とばれる。荒武閣こうぶかく神明かみ直属護衛ちょくぞくごえい訓練くんれんおこな場所ばしょであり、建物たてもの全体ぜんたい様式ようしき古代こだい軍武殿堂ぐんぶでんどうちかい。外壁がいへき沈鉄石ちんてつせき風雷玉ふうらいぎょくによってかためられ、楼頂ろうちょうには特殊とくしゅなエネルギー集積装置しゅうせきそうちもうけられている。これにより、各属性かくぞくせい魔法まほう模擬もぎし、実戦形式じっせんけいしき訓練くんれんおこなうことが可能かのうとなっている。

内部ないぶふたつの訓練区域くんれんくいきかれている。すなわち「神力演武場しんりょくえんぶじょう」と「精神試煉室せいしんしれんしつ」である。

神力演武場しんりょくえんぶじょうは、個人こじん同士どうし対練たいれんおこなうためのとしてもうけられている。一方いっぽう精神試煉室せいしんしれんしつ古代こだい祭壇さいだん中心ちゅうしんとして構築こうちくされており、精神魔法せいしんまほう夢境魔法むきょうまほうによって形成けいせいされた空間くうかんなかで、心志しんしたましい耐力たいりょく極限きょくげんまでため試練しれんおこなわれる。


つづいてあらわれるのは、典籍てんせき魔法知識まほうちしき宝庫ほうこ——「神紋閣しんもんかく」である。

神紋閣しんもんかくには、歴代れきだい神諭文書しんゆぶんしょ祭祀儀式さいしぎしき手稿しゅこう古代こだい魔法術式まほうじゅつしき、そして各種かくしゅ神語碑文しんごひぶんおさめられている。ここは六島之國ろくとうのくににおけるもっと重要じゅうよう智慧ちえ象徴しょうちょうひとつである。

この閣楼かくろうぜん七層ななそうからり、それぞれの階層かいそうことなる種類しゅるい文献ぶんけん保管ほかんされている。第一層だいいっそうから第三層だいさんそうまでは公開閲覧区こうかいえつらんくであり、六玄閣ろくげんかくなか唯一ゆいいつ外部がいぶ開放かいほうされている区域くいきでもある。第四層だいよんそうから第六層だいろくそうはいるには特別とくべつ権限けんげん必要ひつようであり、最上層さいじょうそうの「封典室ふうてんしつ」は神明かみまたは宮司ぐうじのみが出入でいりをゆるされている。伝承でんしょうによれば、そこには太古たいこよりつたわる禁忌きんき書巻しょかん封印ふういんされているという。

神紋閣しんもんかくは、研究者けんきゅうしゃおもうままに魔法まほう知識ちしき探究たんきゅうできる場所ばしょである。壁面へきめんにはことなる種族しゅぞく言語げんご自動じどう翻訳ほんやくする魔法水晶まほうすいしょうまれており、使用者しようしゃはわずかな魔力まりょくそそぐだけで、各種族かくしゅぞく文字もじ理解りかいすることができる。


第六だいろく閣楼かくろうは「神工閣しんこうかく」であり、六島之國ろくとうのくににおいて符紋装置ふもんそうち道具どうぐ製造せいぞう、そして保守ほしゅ専門せんもんにな神技しんぎである。

建物たてもの全体ぜんたい様式ようしきは、はん機械きかいはん神殿しんでんのような姿すがたをしている。かべには神鉄しんてつ星晶せいしょう神紋回路しんもんかいろきざまれており、夜間やかんであってもやすむことなく稼働かどうし、あわひかりはなつづけている。

楼内ろうないよんつの主要区域しゅようくいきかれている。

鍛造室たんぞうしつ前代ぜんだい天照大神あまてらすおおみかみのこした伝承技芸でんしょうぎげいによってきずかれた工房こうぼうである。炉火ろか永遠えいえんほむら由来ゆらいし、この存在そんざいするほとんどすべての物質ぶっしつ溶解ようかいすることができる。ここできたえられた武器ぶきは、神明かみ祝福しゅくふくけることで、その強度きょうどがさらにたかめられる。

符紋実験室ふもんじっけんしつ初代最高神しょだいさいこうしんによってきずかれた研究区域けんきゅうくいきであり、古代神語こだいしんご符咒ふじゅみ、道具どうぐ安定あんていかつ精密せいみつ魔力構造まりょくこうぞうあたえる方法ほうほう研究けんきゅうしている場所ばしょである。ここはまた、数多かずおおくの魔法術式まほうじゅつしきされる創発そうはつ中心地ちゅうしんちでもある。

材料庫ざいりょうこ各地かくちから収集しゅうしゅうされた素材そざい収蔵しゅうぞうされている場所ばしょである。そこには龍骨りゅうこつ破片はへん冥海めいかい晶石しょうせき夢界むかい霊砂れいさなど、きわめて稀少きしょうしなふくまれている。出入でいりするには神明かみ許可きょかまたは特別通行証とくべつつうこうしょう必要ひつようである。

神職工房しんしょくこうぼう申請しんせいおこなえば使用しようすることができる工房こうぼうであり、個人装備こじんそうび製作せいさく修理しゅうりおこなうための場所ばしょである。また、特殊とくしゅ訓練器具くんれんきぐそなえられており、使用者しようしゃがさまざまな武器ぶきあつかいに習熟しゅうじゅくするためのたすけとなる。


この六玄閣ろくげんかくは、かつての九人きゅうにんのうちの一人ひとりによって建造けんぞうされたものだとつたえられている。鑑定かんてい結果けっかて、わたしおおきなおどろきをおぼえた。というのも、このむっつの閣楼かくろうは、六層ろくそうから防御結界ぼうぎょけっかいによってまもられているからである。

その強度きょうどは、亞米アミ弗瑟勒斯(フセレス)ほどこした十二層じゅうにそう結界けっかいくらべれば、ややおよばない。しかし、この結界けっかい構築方法こうちくほうほう亞米アミのものときわめてよくていた。

それぞれの結界けっかい構造こうぞう複雑ふくざつであるだけでなく、もっと巧妙こうみょうなのは術式じゅつしき変化へんかにあった。一定いってい規則きそく存在そんざいするものの、長期ちょうきにわたる研究けんきゅうまなければ、解析かいせきすることはおそらく不可能ふかのうだろう。

三千年さんぜんねんという歳月さいげつてもなお、この結界けっかいらぐことなく存続そんぞくしているという事実じじつこそ、この結界けっかい強大きょうだいさを物語ものがたっていた。


六玄閣ろくげんかく前方ぜんぽうにある広場ひろばは、本来ほんらいであれば祭祀さいしおこなうために用意よういされていた場所ばしょであった。だが、つい先日せんじつ八歧大蛇やまたのおろちによって破壊はかいされたばかりであり、いまもなおはい光景こうけい満目瘡痍まんもくそういとしかいようがない。

修復作業しゅうふくさぎょう予定よていどおりにはすすめられていない。というのも、あの怪物かいぶつがいつふたた姿すがたあらわすのか、だれにもからないからである。

現段階げんだんかいでは、人々(ひとびと)の意識いしきはむしろ、防衛ぼうえい強化きょうかへとけられざるをなかった。



わたしたちは六玄閣ろくげんかく大門だいもんまえ到着とうちゃくした。結界けっかいとおけるには、神明かみ許可きょかさえられれば自由じゆう出入でいりすることができる。これもまた、この結界けっかい便利べんりてんひとつである。

門前もんぜんわたしたちをむかえたのは、六島之國ろくとうのくに六旗部隊ろっきぶたい隊長たいちょうたちであった。

六旗部隊ろっきぶたいは、六島之國ろくとうのくににおける重要じゅうよう組織そしきはしらである。

疾風旗しっぷうきは、平時へいじには各島かくとうむす交通要道こうつうようどう巡察じゅんさつにない、航路こうろ通路つうろ安全あんぜん確保かくほする。また同時どうじに、国内こくない物資ぶっし調整ちょうせい輸送ゆそうにも協力きょうりょくしている。

秘林旗ひりんきは、各島かくとう資源管理しげんかんり担当たんとうしており、土地紛争とちふんそう魔物被害まものひがいなどもその職務しょくむふくまれる。大結界だいけっかいおおっている範囲はんい各島かくとう主要都市しゅようとしかぎられているため、結界外けっかいがい地域ちいきではいまなおおおくの魔物まもの出没しゅつぼつしている。とく海底かいてい魔物まもの各島かくとう海域かいいきひそみ、しばしば漁民ぎょみん安全あんぜんおびやかしていた。

盤山旗ばんざんきは、各地かくち城防施設じょうぼうしせつ修理しゅうり改築かいちく担当たんとうしている。もし天災てんさい魔物まものによって建造物けんぞうぶつ破壊はかいされた場合ばあい災害後さいがいごただちに復興ふっこう作業さぎょう支援しえんする役割やくわりになう。

烈火旗れっかきは、各種かくしゅ案件あんけん追跡ついせき調査ちょうさおも任務にんむとしている。

陰虚旗いんきょきは、国境こっきょう出入審査しゅつにゅうしんさ驛站えきえき通信管理つうしんかんり、さらには文書ぶんしょ伝達でんたつになっている。

奔雷旗ほんらいきは、外交がいこうかんする事務じむ担当たんとうし、外交使節がいこうしせつ護衛ごえい駐外ちゅうがい安全確保あんぜんかくほ、そして他国たこくとの協力交渉きょうりょくこうしょうなどをになっている。

各旗かくき担当たんとうする業務ぎょうむはそれぞれことなるが、ひとたび国家安全こっかあんぜんかんわる問題もんだい発生はっせいすれば、かれらは統合とうごうされた対応体制たいおうたいせいによって迅速じんそく行動こうどうすることになっている。

かれらはそれぞれの部隊ぶたい専用制服せんようせいふくにまとい、だれもが並外なみはずれた威風いふうそなえていた。その姿すがたは、六玄閣ろくげんかく大門だいもんまえ言葉ことばではくせない威厳いげんちあふれさせていた。


疾風旗しっぷうき隊長たいちょう——九羅河旭くら・こうきょく

かれ銀白色ぎんぱくしょく短髪たんぱつをしており、髪質かみしつほそかるく、あたまかたち沿うようにととのえられている。かみ先端せんたんはわずかに外側そとがわねていた。

陽光ようこうむと、かみつめたい銀色ぎんいろひかり反射はんしゃする。

まゆするどととのえられ、ひとみこおりのようなあおびている。虹彩こうさいふちにはあわ灰色はいいろじり、見るもの精密せいみつ冷静れいせい印象いんしょうあたえていた。はだはややしろく、首筋くびすじから鎖骨さこつにかけてのせんがはっきりとかびがっている。

かれしろはい基調きちょうとした軽装甲けいそうこうにまとっていた。肩口かたぐちには羽毛形うもうけい金属装飾きんぞくそうしょくえられ、胸甲きょうこうにはこまやかな風紋ふうもんきざまれている。

下半身かはんしんからだ沿戦闘用せんとうようのズボンと短靴たんかかためられており、くつ表面ひょうめんにはゆるやかなえが金属製きんぞくせい防護板ぼうごばんが取りとりつけられていた。

こしには長刃ちょうじんかたな一振ひとふられている。刀鞘とうしょうほそうすく、灰色はいいろ絹帯けんたいむすばれており、かぜれてしずかにれていた。


秘林旗ひりんき隊長たいちょう——內田禮未うちだ・れいみ

そのながかみ深林しんりんみどりのようであり、頭頂とうちょうからこしまでまっすぐにれていた。髪色かみいろひかりによって微妙びみょう変化へんかし、ちかくでればやわらかなみどりび、とおくからながめるとあおみをびたあおへとうつる。

顔立かおだちはおだやかでととのっており、鼻梁びりょうほそぐにとおっている。ひとみあかるい碧緑色へきりょくしょくで、まるで湖面こめんうつあさひかりのようであった。

そのとがったみみかられるのは、彼女かのじょ精霊族せいれいぞく後裔こうえいであるということだった。

はだ白皙はくせきで、ほのかなみどり色合いろあいをびている。そのため、どこか自然しぜんむような透明感とうめいかんただよわせていた。

彼女かのじょ翠緑すいりょく法袍ほうほうをまとっている。布地ぬのじうすやわらかく、襟口えりぐち袖口そでぐちにはつるはな文様もんよう刺繍ししゅうされていた。銀糸ぎんしひかりけてしずかにかがやく。

胸元むなもとには小型こがた霊石れいせき吊飾つりかざりがけられており、そこからやわらかなひかりがほのかにはなたれていた。

こしにはほそかわおびめられ、そのうえには霊符れいふ小袋こぶくろがいくつもげられている。くつやわらかな褐色かっしょくで、その表面ひょうめんにはあわ金色きんいろ紋様もんようえがかれていた。

彼女かのじょ周囲しゅういには、いくつかの若芽わかめしずかに芽吹めぶくようにかんでおり、それは彼女かのじょ元素げんそ卓越たくえつした技量ぎりょうあやつることのできるあかしであった。



烈火旗れっかき隊長たいちょう——真田延司さなだ・えんじ

かれ体格たいかく高大こうだいあつみがあり、肩幅かたはばはまるで岩壁がんぺきのようにひろい。

あかかみあらく、ながさはうなじのあたりまでびている。髪先かみさきにはわずかにげたようなくろ色合いろあいがじり、まるでほのおあぶられたかのようであった。

まゆぐで、ひとみふか橙紅色とうこうしょくびている。虹彩こうさいおくにはちいさな光点こうてんまたたくようにれていた。はだ銅色どうしょくちかく、うで首筋くびすじには筋肉きんにくせんがくっきりとかびがっている。

かれ暗紅色あんこうしょく黒銅色こくどうしょくわさった重鎧じゅうがいけていた。金属きんぞく表面ひょうめんにはほのおおもわせる浮彫うきぼりの紋様もんようきざまれている。

むね中央ちゅうおうには橙色だいだいいろ琥珀こはく宝石ほうせきまれており、ひかりたるとほのおのようなかがやきをはなった。腰帯こしおび幅広はばひろ重厚じゅうこうで、そこには予備よび短刃たんじん符片ふへんがいくつもげられている。

かれ背後はいごには一本いっぽん長槍ちょうそう背負せおわれていた。そのながさはかれ体格たいかくにほとんど匹敵ひってきするほどで、槍身そうしんくろからあかへとうつろうグラデーションをびている。槍先やりさき細長ほそながするどく、ひかりけてつめたくかがやいていた。

かれはな気配けはいは、まるで溶岩ようがんのような圧迫感あっぱくかんびている。ただそこにっているだけでも、周囲しゅういもの灼熱しゃくねつ気息きそくかんじさせた。


盤山旗ばんざんき隊長たいちょう——龍門真晝りゅうもん・まひるは、石紋いしもん仮面かめんけた少女しょうじょである。

彼女かのじょからだはすらりとびてまっており、肩幅かたはばはややほそく、こしせんぐにととのっていた。

黒髪くろかみうしろでたばねられ、こまかなかみたば仮面かめんふちからしずかにれている。

仮面かめん黒曜石こくようせきのようないろびた金属きんぞくつくられており、その表面ひょうめんにはあわ石紋いしもんきざまれていた。そこからのぞくのは、金褐色きんかっしょくひとみだけである。

はだはややしろく、くび筋理きんり繊細せんさいでありながらもたしかなちからめていた。

彼女かのじょ墨色すみいろ重鎧じゅうがいにまとっている。よろい表面ひょうめん幾層いくそうもの金属板きんぞくばんわさって構成こうせいされており、ふち暗銀色あんぎんしょく縫線ほうせん固定こていされていた。

胸甲きょうこうあつ重厚じゅうこうで、肩甲けんこう両側りょうがわには山形やまがた符紋ふもん浮彫うきぼりとしてきざまれている。

こしにはいた灰色はいいろ革帯かわおびめられ、そこには簡潔かんけつつくりの長剣ちょうけんかれていた。

下半身かはんしん護腿ごたい厚底靴あつぞこぐつまもられている。くつ表面ひょうめんには地紋じもん模様もようきざまれ、よろい色合いろあいと調和ちょうわしていた。

彼女かのじょ地脈ちみゃくあやつ能力のうりょくっており、そのちからから攻守こうしゅ両面りょうめんそなえた象徴しょうちょうとしてなされている。



陰虛旗いんきょき隊長たいちょう——莞原日和かんばら・ひよりは、どこか文青ぶんせいめいた雰囲気ふんいきただよわせる青年せいねんである。

その体躯たいくはすらりとほそびており、ゆびなが繊細せんさいであった。

紫色むらさきいろ長髪ちょうはつやわらかくかたへとれ、髪先かみさきはややあわく、かすかなぎんひかりびている。

まゆ細長ほそながととのい、ひとみ灰紫色はいむらさきいろびていた。虹彩こうさいきりなかうつつきのように、どこかおぼろげなかがやきを宿やどしている。

はだしろさのなかにわずかな灰色はいいろふくみ、その気質きしつ清冷せいれいであった。顔立かおだちはやわらかさのなかに、どこかつめたい輪郭りんかくびている。

かれ月影色つきかげいろ軽紗けいしゃ法袍ほうほうをまとっていた。布地ぬのじ半透明はんとうめいであり、幾重いくえにもかさなった衣裾いすそ銀灰色ぎんはいいろ内袍ないほううえへとしずかにひろがっている。

襟元えりもとには月相げっそう円環えんかん紋様もんよう刺繍ししゅうされていた。

胸元むなもとにはちいさな鏡形かがみがた装飾そうしょくおびされている。その鏡面きょうめんなめらかで、いかなるもんきざまれていない。

腰帯こしおび紫銀色しぎんしょくいとまれており、そこから二本にほんほそくさりれていた。くさりさきには小型こがた鏡片きょうへんしずかにれている。

かれかたわらには一枚いちまいかがみちゅうかんでいた。それは万物ばんぶつ姿すがたうつかえすとつたえられており、かれ幻術魔法げんじゅつまほう達人たつじんとしてられている。



奔雷旗ほんらいき隊長たいちょう——藤原雛ふじわら・ひな

彼女かのじょからだほそ均整きんせいれており、金髪きんぱつ絹糸きぬいとのようになめらかで、こしまでながれている。ひかりけると、かみあいだにはかすかなあお電光でんこうはしるようにらめいた。

まゆあわ金色きんいろで、ひとみ琥珀色こはくいろきんびている。そのひとみおくでは、微細びさい光点こうてんしずかにまたたいていた。

はだ白皙はくせきで、ほほせんやわらかくととのっている。くちびるあわ桃色ももいろびていた。

彼女かのじょ灰白色かいはくしょく金色きんしょくざる軽装甲けいそうこう戦衣せんいけている。布地ぬのじにはこまやかな雷紋らいもん刺繍ししゅうほどこされ、金糸きんしひかりけるとかすかな電流でんりゅうのようにまたたいていた。

肩甲けんこううすかるつくられており、俊敏しゅんびんうごきをさまたげないよう設計せっけいされている。

こしには一振ひとふりの長剣ちょうけんかれていた。剣鞘けんしょう銀白色ぎんぱくしょくで、その表面ひょうめんには雷紋らいもんながれる軌跡きせききざまれている。

手首てくびには導電金環どうでんきんかんかれており、足元あしもとには軽量けいりょう戦靴せんかかれている。靴先くつさきはわずかにとがり、動作どうさ沿形状けいじょうとなっていた。

彼女かのじょ身体しんたいには時折ときおり稲妻いなずまのような雷光らいこうまたたく。それは彼女かのじょかみなり属性ぞくせい魔力まりょくきわめて高度こうど制御せいぎょできるあかしであった。



そしてかれらのまえち、ひときわ卓然たくぜんとした気質きしつはなっていたのが、六旗部隊ろっきぶたい総指揮官そうしきかん——大将軍だいしょうぐん稲天寺いなてんじである。

かれ今日きょう白銀はくぎん重鎧じゅうがいにまとっていた。胸元むなもとには六島之國ろくとうのくに国旗こっき刺繍ししゅうされている。面差おもざしは冷峻れいしゅんで、その眼光がんこうたかのようにするどく、見るものかたちのない圧迫感あっぱくかんいだかせた。

かれらは冒険者公会ぼうけんしゃこうかい所属しょぞくしているわけではない。しかし鑑定かんてい結果けっかによれば、そのなかにはすでに混沌級こんとんきゅう冒険者ぼうけんしゃ匹敵ひってきする実力じつりょくそなえているもの存在そんざいしていた。



主閣楼しゅかくろうはいまえには、まず一本いっぽんなが回廊かいろうとおることになる。

この回廊かいろうは、かろやかな白木しろき蒼黒そうこく石材せきざいによってきずかれており、屋脊やせきはわずかにがっている。そこには銀鈴ぎんれい咒布じゅふしずかにげられていた。

微風びふうけるたび、すずはかすかにひびき、まるでうたのようにんだおとかなでる。その音色ねいろは、おとずれるものいた俗塵ぞくじんしずかにあらながすかのようであった。

欄干らんかんにはこまやかなつるからみつき、そのあいだにはさまざまなはないろどりをえている。

ゆきのようにしろ玉瓣水仙ぎょくべんすいせん深紫色ふかむらさきいろ幽蘭ゆうらん、そして黄金色こがねいろ鳳凰花ほうおうか

かぜがそっとけると、花香かこうかぜってただよい、かすかに、しかしたしかに鼻先はなさきをかすめていった。



長廊ちょうろうからは、六玄閣ろくげんかくかこまれた中央神庭ちゅうおうしんていのぞむことができる。

そこは清冽せいれつ泉水せんすいかこまれた空間くうかんであった。泉水せんすい碧緑へきりょく光沢こうたくびており、えずさらさらとながつづける。そのながれは、まるで龍蛇りゅうだしずかにをくねらせているかのようであった。

水面すいめんには蓮弁れんべんかび、かすかな波紋はもんひろげている。きらめく波光はこうは、周囲しゅういほこあざやかな花々(はなばな)のいろどりをうつしていた。

庭院ていいん中央ちゅうおうには、伝説でんせつかたられる「根縁神樹こんえんしんじゅ」がそびえっている。

その樹齢じゅれいはもはやすべもなく、枝幹しかん龍蛇りゅうだのようにうねりながらびていた。みきたかてんへとそびえ、樹皮じゅひ紋様もんようから脈絡みゃくらくのようにきざまれている。

枝葉えだはみつしげり、翠緑すいりょく天蓋てんがいのようにひろがっていた。枝先えださきには点々(てんてん)と琉璃果るりかみのり、陽光ようこうけてまるで星辰せいしんのようにかがやいている。

神樹しんじゅ根元ねもとには、いろとりどりのはなみだれていた。ほのおのようにあか鳳凰花ほうおうか霞光かこうのようにやわらかな桃色ももいろ櫻影花おうえいか、そして碧海へきかいのようにふかあおびた月影蘭げつえいらんが、たがいにきそうようにほこっていた。

花蕊かずいあいだには、ときおりつゆしずくがきらりとひかり、まるで透明とうめい真珠しんじゅのようにかがやいていた。


主閣楼しゅかくろうまえには、紫紅色しこうしょく大扉おおとびらえられている。その門扉もんぴをくぐると、やわらかな灯影とうえいじりひろやかな大広間だいひろま視界しかいひろがった。こここそが中央会議廳ちゅうおうかいぎちょう——「穹雲殿きゅううんでん」である。

そこはふるびたおもむき回廊かいろうや、しずまりかえった庭院ていいんとはことなり、典雅てんがやすらぎが一体いったいとなった空間くうかんであった。

広間ひろまゆかには、ふか栗色くりいろ檀木だんぼくいためられている。表面ひょうめんはほのかに光沢こうたくび、壁面へきめんえがかれた淡金色たんきんしょく壁画へきがうつくしく調和ちょうわしていた。

壁画へきが主題しゅだい六島之國ろくとうのくに歴史絵巻れきしえまきであり、建国けんこく始祖しそたちの伝説でんせつえがされている。神光しんこうがゆらめくそのあいだ、まるでいにしえの人々(ひとびと)がたずさえ、くにきずげていった歳月さいげつそのものが、しずかにかびがるかのようであった。


天井てんじょうたかさはおよそ十丈じゅうじょうおよび、その上方じょうほうには八盞はっさん琉璃灯るりとうげられている。灯芯とうしんにはかすかなあおほのおえ、そのはまるでもののように脈打みゃくうちながら、灯芯とうしんなか上下じょうげらめいていた。まるでひくささやくような歌声うたごえつむいでいるかのようでもあった。

大広間だいひろま中央ちゅうおうには、ながさおよそ十米じゅうメートル黒檀木こくたんぼく会議卓かいぎたくしずかにえられている。卓面たくめんには精巧せいこう鎏金螺鈿りゅうきんらでんほどこされ、むっつのはた神紋しんもんまれていた。

それぞれのはたしたには一脚いっきゃくずつやわらかな座椅子ざいすかれている。背凭せもたれにはあわ絨布じゅうふけられ、座面ざめんには羽毛うもうめられており、やわらかく心地ここちよい。その姿すがたは、伝統的でんとうてきひざってすわひく蒲団座ふとんざとは対照的たいしょうてきであった。

卓上たくじょうならべられた銀製ぎんせい茶具ちゃぐはほのかなひかりはなち、茶壺ちゃこからはあわきりちのぼっている。そのなかからはすがしい茶香ちゃこうしずかにただよっていた。

かたわらの木製もくせい菓子皿かしざらには、蓮蓉れんよう豆沙とうさ桂花けいかあんとした精巧せいこう菓子かし整然せいぜんならべられている。それらは金箔きんぱくかざられているだけでなく、表面ひょうめんには繊細せんさい花紋かもんきざまれていた。



五位ごい最高神さいこうしんと、ほかの四柱よはしら神明かみは、すでにその着座ちゃくざしてっていた。

このとき、わたし緹雅(ティア)右側みぎがわすわり、神明かみたちは左側ひだりがわ主座しゅざすわっている。ほかのものたちは、それぞれわたしたちの左右さゆうせきっていた。

こうして、わたしたちと六島之國ろくとうのくに神明かみたちとの会議かいぎまくけたのである。




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