部活でも作ってみたら?
という訳で。
先程の謎の生徒会長との邂逅なんぞは記憶の端に追いやり、最終的には消去してやるとして、現在俺、赤丸勇樹は、中島零子、波原一兎、両名と、共に部活見学を開始するのであった。・・・
「なんてことになるわけねぇだろ!!なんでお前たちがついてきてんだよ!!おい!!」
俺はいつにも増して怒り気味だ。いかんカルシウムでも足りんな。後で牛乳のも。
「別にいいだろー?なぁー勇樹~。」
「そうね。あなたに気にする権利なんてないと思うのだけれど・・・」
なんだよ、それは・・・
どうせ歯向かったどころで「あなたには口答えをする権利もなのだけれど」とか、嫌味でも言われそうなので、やめた。
「そうね。あなたに口答えする権利なんてないのよ。」
「おい、零子!正直今のタイミングでその言葉を言うとや、お前を人間だとは思いたくなくなるんだよ!だから、やめろ!」
「うるさい。」
っく!まさか・・・
「な、なんだよ。」
もしかして・・・・
「・・・・・・」
ん?????
お、おい、どうした?
「おい、零子?どうした?」
俺は、零子が反応しないため状況確認をするために、零子の肩に手を置いた瞬間。
『おい!!!!赤丸勇樹!!お前、俺の大切な零ちゃんに気安く触るなー!!』
と、音割れをしながら放送された。
ちょっと・・・これ全校放送ですよね?大丈夫なんでしょうか。
声の主は聞くまでもなく、先程の生徒会長さんだろう。しかし、
「どこから見てんだよ!!あの生徒会長!!」
「兄はたまにものすごく鋭いかんを働かせる時があるわ。例えば、私が学校の遠足で誰かに話しかけられたら、その都度私に電話をしてくるの。しかも決まって男の場合。全く。困った兄を持ってしまったものだ。」
零子は、やれやれとした感じで首を振っている。
しかし、俺はそいつをボート見ることしかできなかった。べつに!零子に特別な感情があるわけでわないからな!
当の本人は「ん?」としていた。
やれやれ。もうそろそろ突っ込むのにも疲れてきた。だから、聞くのはやめた。
よし、次行こう!
「で、どこ行くんだ?」
今まで黙っていたというか声が聞こえなかった一兎が、聞いてきた。
「んー・・・とりあえずは・・・・・」
それから俺たちはいろいろな部活を回った。
※
そして、翌日。いつもの教室。いつもの席。
そして俺。
よし。
まず、結果だけを報告しよう。
「成果無し!」
「えー。またかー。」
あまりがっかりしてなさそうな反応をするのは俺の席の前の奴。前野だ。こいつには最近部活関連でいろいろ話を聞いてもらっている。
「もう、見てない部活とかないんだろ。それでもないって言うなら・・・どうしよ?」
やっぱわからんか。どうしよっかなー。もう部活に入らな言ってことでいいのかなー。
俺はボート空を見ることしかできなかった。
何気ない一日の始まり。もう、・・・やることは・・・・ないな。
意識がだんだんなくなって、やがてシャットダウンされた。
少し寝よう。疲れているんだな。
※
カラスが鳴いている・・・
っていつも鳴いてるな。
ここは、どこかの教室。だだっ広い教室。なのに人口密度がものすごく少ない。
「・・・。」
「・・・。」
無言の時間が過ぎる。1人は机に肘をついて手を絡ませて顎を乗せている。偉そうにする社長みたいな。
もう1人は、それの向かいに突っ立っているだけ。メガネをかけている。身長は見るからに高校生ではない。黒スーツの男。
少しばかり、沈黙な時間が過ぎ、ようやく机にいる方の男が、口を開いた。
「・・・私にいい案があります。」
「ほう?それは、あの男をこちら側に引き入れる方法ですか?」
「うむ。」
「なるほど、しかし、そんな簡単にあの男が納得するでしょうか。」
「それは問題ない。」
「そこまで言い張る理由は?」
「そんなものはない。ただ・・・直感的にだ。」
「ふん。馬鹿馬鹿しい。」
「そう言ってられるのも今のうちですよ。」
机の方の男は少し笑った。
それは、黒スーツを挑発するような、なにかを楽しむようなそんな。
「・・・まあ、いいでしょう。分かりした。それではお聞きしましょうか?あの男・・・」
「白井大輝が、生徒会にする作戦を。ね。」
ふふ。
ただその教室はそんな不気味な笑いで埋め尽くされるのであった。
※
・・・おい。
・・・おいってば!
誰だよ。うるさいな〜
「・・・おい!勇樹ってば!」
「がば!!」
「おお、びっくりした〜。」
「なんだ、前野か・・・」
ここはいつも通りの俺の教室の俺の机。寝る前とほとんど変わらない、風景。唯一変わったものといえば、外の空の色が透き通った青色から、情熱的な赤色に変わっていることぐらいかな。
「つまり俺は、数時間かそこら寝てたんだな。」
「い、まあ、そうだな。」
「そうか・・・」
んー。もう夏か〜・・・
あれ?今って夏だよな!?
まあ、それはいいとしよう。
・・・って!
「俺あれからずっと寝てたってことは授業わ・・・」
「もちろん、サボりだよ。教室にわいたけどね。先生もどんな顔するのかなって思ったけど、案外普通に、『あ、こいつならいっか』みたいな顔してすぐに何もなかったかのように授業してたよ。ふふ。勇樹よ。君はつまり・・・」
いうな!うわないでくれ!それだけわ!!
「それだけわーー!!」
「つまり勇樹は・・・見捨てられたでしょう」
「うぎゃゃゃゃ!!!!!」
「おいそこ〜うるさいぞ〜。」
「あ、はい。スミマセン。」
まさかの戦力外通告に叫び出してしまったが、ここはまだ生徒の残る教室だ。周りの迷惑には気を使わないとな。スミマセン。
「んで、そんなことはどうでもいいとして・・」
「おい前野。どうでもいいとはなんだ、どうでもいいとは。俺にとってはどうでもいいわけがないんだぞ!」
「あーはいはい。わかりました。とりあえずそのことは置いておいて、お前部活決まったのか?」
「・・・・」
「?聞いてるか〜?」
「・・・・」
「きこえてるーー?」
「・・・」
「おーーーい!」
「きこえてるよ!!うるさいな!耳元でそんな大声出すな気色悪い。」
「きこえてるなら返事ぐらいしろよ」
「返事できないこと聞かれたから返事できなかったんだよ!それぐらい察しろよ!」
「・・・そうなのこ・・。やっぱり部活まだ決まってないんだな・・・」
呆れたような、諦めたような、そんな前野の表情からは同情すらも感じなくなってしまった。
「ま、とりあえず頑張ってくれや。」
「おうそうだな」
そんぐらい話していたら担任がやってきて、ホームルームが始まり、部活の時間が始まる。俺の戦いの時間が・・・
「おーい。赤丸クーン。誰か呼んでるよー。」
始まろうとしていたけど、俺のクラスの女子が俺を呼ぶ声がしたのでまずはそれからだ。
でも何の用でしょか。そういえば、前にもあったな。こんな風に呼ばれたことが。あんときは霧崎さんだったなー。
さてと。
俺は、いつもよりも少しだけ重たい体を持ち上げて、呼ばれた方へ歩いていく。
また面倒なことにならなければいいけど。
「やあ、こんにちわ。赤丸勇樹くん・・でいいよね?」
「はあ。まあ。そうですけど・・・」
「ああ、申し遅れました。私は生徒会副会長をやらして頂いている隈野八亮と申します。どうぞお見知り置きを。」
そう丁寧に名乗る男は確かに生徒会にいそうな雰囲気がある。表情は軽くかなり親しみやすい感じもする。メガネをかけて、少し髪の毛が跳ねている。まあ、スーツでも着れば会社員と間違われるほどには様になっている。身長は俺よりも高いのは当然のこと。大輝よりも高いな。生徒会長さんと同じくらいか?
「突然お邪魔して申し訳ありません。実はですね、あなたが最近部活動の見学をしていらっしゃると聞います。」
「まあ、そうですね。」
「はい。ですのでもしかしたらと思いまして。」
「何がですか?」
「いや、ですからね。もしかしたら、あなたは自分の入りたい部活がないので苦労していらっしゃるのでわ?と、思いまして。」
「!!なんでそんなことしってんですか?」
その瞬間。一瞬だけその、隈野とかいう男がにやけたかのように見えたが俺の目に写らないような時間だったので、見間違いで済ませてしまう。
「はい。ですからね。もし、自分の入りたい部活がないのでしたら、是非とも、ご自分で設部してはいかがですか?」
たしかに。それは俺も考えた。いや考えていたが一度は否定した考えだ。
「まあ、たしかに。それを考えたことはあります。でも・・」
「でも、自分には部を建設出来るような人脈はないと?そんなことに時間は使えないと?そんな勇気はないと?そんな事は無いのでわ?」
「え??」
「だって、あなたにはユニークなお友達がたくさんいるじゃありませんか!ですから、あなたにはこんな設部条件なんて簡単すぎると思いますがね。」
「・・・」
確かに。そうだな。そうかもしれない。最初から諦めていては、何も始まらない。どうせすぐに飽きてしまうかもしれない。ならば、自分で部を作ってしまおう。うん!そうしよう!
「どうです?」
「・・・わかりました!俺!新しい部を作ります!」
その時は、何も気づかなかった。前まで話していた、前野からの噂や、なんか流れに任せすぎているような気もするが・・・
気にしなーーい!
※
「予定通り目標の誘導には成功しました。」
「やはりな。」
「しかし、こんな事であいつが動くとは考えにくいのですが・・」
「なに、心配するな。考えはある。あとは私にお任せを。」
ふふふ。と不気味な笑いが2人しかいないこの、夕焼けの差し込む教室に響いていった・・・




