部活動に励む
朝、俺が前野と昨日の部活見学の結果とこれからのことについて考えていた頃・・・
「お前ならきっとできると思うんだがな・・・」
「だから先日から言っているように僕は反対です。」
私立西野也高校の生徒のほとんどが教室に入って担任を待ちながら談笑をしている中、静かなある教室で静かに争いが繰り広げられていた。
「なぜそこまでしてこだわるのだ。もし我々の仲間になれば内申が上がるのはもちろんいろいろな学園生活を優遇されるのだぞ?それを分かっているのか?」
「ええ、わかっています。ですが、僕はそんなことで友達を・・・親友を売ったりはしません。ですので、せっかくですがお断りさせていただきます。」
一礼した男はすっと回れ右をして教室の出口に向かっっていった。
がらっと音を立て扉が開き男は明るい光の中に溶けて消えていくようだった。
暗い教室に取り残された男は、ただ笑みを浮かべているだけだった。
「・・・ふん。・・・・面白いぞ。・・・・白井大輝!!」
男は静かにそう叫んだ。
※
俺赤丸勇樹は今日もまた部活動巡りをしている。
今日は主に運動部に回る予定。
そういえばふと思ったのだが雪風さんや大輝はどんな部活に入っているのだろうか。
今まで話にも出なかったし帰りはいつも一緒だった気がするが・・・
まあなんかの部活には入っているだろう。俺とは違って二人共しっかりものだし、運動神経も良さそうだし。
「そうだ。確かチア部もあった気がする。雪風さんのチアコスチューム・・・やばい想像するだけで気がおかしくなりそうだ。いかんいかん。でも、もしかしたらいるかもしれないし行ってみるだけ言ってみるか。」
「よお!勇樹じゃねえか!!」
俺がこれからの予定を決め終わった頃に不意に誰かに喋りかけられた。
俺は声のした方を見ると、
「よ、何ぼそぼそ言ってんだ?」と言いながら、右手を上げているやつを発見した。
「なんでもないよ、波原。」
波原一兎。こいつは俺と同じ中学だったやつで当時は意外とよく遊んでいた方の中だ。今年はクラスが違うから会う機会がめっぽう減ってしまった。
身長は俺よりも少し高め。髪の毛は、短い。サッカー選手みたいな髪型っていうのかな?よくわからん。服装はというと、今はバリバリ部活の時間なのにも関わらず一兎は制服を着ていた。
「一兎さんや?お前なんで制服きてんだ?」
「それはこっちが聞きたいね。勇樹さん?」
たまにこいつと絡んでいる時に変な口調になる。一兎もそれに乗ってくるのでまあいいんだろう。
「俺はまだ部活に入っていないから。部活見学してたんだ。」
「そうだったんだ!いや~きぐーだね~!実は僕もなんだよ。デモ」
少し一兎は言いにくそうな顔をしている。何か深刻な問題でも・・・
「・・・実は俺・・・・今めっちゃ腹減っててさー!」
はぁ!?
「はぁ!?」
びっくりした。なんか深刻な問題かと思っちまったじゃねえか。
「いや~悪い。実は俺ホントは帰宅部なんだ。」
「え?でもお前入学当時に文化部のなんかに入ったって言ってなかったか?」
「そうなんだけどよ、勇樹も話ぐらいは聞いたことあるだろ?今の生徒会長の話。」
朝、前野が話していた件だろう。
「まあ、話ぐらいなら・・」
「そうか・・。それでさ、俺の入った部活、かなりマイナーでさ、今年部員が俺しか入らなかったから部員が足りなくなってだから、生徒会長が俺の部活を潰しやがったんだ。」
今の一兎の顔は少し殺意があったような気がした。
「だから、今おれは放浪者。お前と一緒さ。」
がすぐにいつもの顔に戻った。
「いやちょっとまて。別に俺は放浪者ではないからな。」
「え?なんで?勇樹も部活をあの生徒会長に潰されて憎んでいる同士を集め謀反を起こそうと考えているんじゃないのか??」
「いやだから!!なぜそんなに話を膨らますんだ!?俺は別に会長さんなんか恨んでなんかいねえよ!?」
「僕のことを呼んだかね?」
「「わぁぁ!!」」
一兎と声がはもった。
びっくりするのも無理はないだろう。いきなりかなりの低い声で会話に割り込んできたんだからな。
誰もいないと思っていた場所に誰かいるってかなり怖いことだと思わないか?なあ?
てか誰だよ!この人。見るからに上級生っぽいけど。ってかさっき会長さんで反応しなかったか?
「せせせ生徒会長!!」
え!?またもやいきなり耳元で叫ばれたのでびっくりした。
なぜかそこには顔を青くした一兎がぴしっとたっていたからだ。
「この人が生徒会長?」
俺の疑問に答えたのは、この中の三人ではなかった。
「その人の名前は中島瑛人。この学校の生徒会長にして・・・まあいいわ。」
そう言いながら日陰から出てきたのは、あの長くて黒い髪の持ち主にして、俺のの天敵。中島零子だった。
って待て待て。
「おい零子。」
「何かしら。おバカ丸君?」
「・・っく。今はそれに突っ込んでいる暇わない。そしていつからそこにいたとかもどうでもいいので聞かないことにする。しかし、いま、お前こいつの名前を中島瑛人といったか?」
「ええ。いったわよ」
少しイライラしているようだ。
「お前イライラすると足をトントンやる癖あるって知ってるか?」
「知っているわ。それが何?」
「いや、なんでもない。」
俺はくくと小さく笑った。
零子も小さく笑い返してきた。
・・・・・・・
「・・・・・・・って、そうじゃねええええだろぉぉぉぉ!!!!」
俺は大絶叫した。さっきから固まったままの一兎。うるさいなと言わんばかりの顔で耳を塞いでいる生徒会長。何もアクションをしずにただ立っているだけの零子。目を閉じている。
・・・・まさか。
「おい零子?」
「・・・・・」
反応がない。
「く~か~く~か~」
寝てるし!!!!
「おい起きろ!零子!まだお前には聞きたいことがある!!」
俺は零子の肩を掴んで揺すぶった。少しして零子は目を覚ました。
「ん?まだ何か聞くことがあったかしら?」
「しらばっくれんじゃねえ!中島ってお前もあいつも同じ苗字じゃねえか!これはどういう意味・・・」
「・・・・兄よ。」
は?
「聞こえなかったのかしら。あそこで立っている生徒会長中島瑛人その人は私の実の兄なの。」
びっくりすることを飛び越えて言葉が出てこない。
「・・・・ぇ?お前・・兄弟いたのか?」
「あら言ってなかったかしら。それに別にいう必要もないはずよ。」
「たしかにそうだが・・・・」
続きをいをうとしたところで、俺の両腕に痛みが走った。
それに殺気も感じる気が・・・・
そっと俺は左を向いた。
そこにあったのは、鬼の形相をした生徒会長がいた。
「お前は~~いつまで俺の愛しの零ちゃんに触っているんだごほほほ!!」
一瞬のできごとに・・・・
俺の頭はフリーズした・・・・・
チーーンーー
※
さて、俺は今どこにいるのだろう。
とか、自分の状況が判断できないわけでわないため、十分に理解はできる。
時間を巻き戻そう。
えい。
「何をやっているのかしら?勇樹君?中二病にでも目覚めたのかしら。ふふ。」
「うるせぇ零子!勝手に俺の思考に入ってくるな!」
俺は、さっき起こった事を思い出す。
※
ぶおーーーん!!
いきなり突風が吹いた。なんだ!?
「ごほぉ!!!」
男のうめき声が聞こえた時、俺の目の前で何かが通過したような気がした。いや、ほんとに何が通過した。しかも、とても早いスピードで。
俺は、それを確認するために飛んでいった方向に視線を送った。が、そこにあったものは・・・植木に頭から突っ込んだ生徒会長中島瑛人その人だった。
零子は手を払っている。
一兎はまだ突っ立っている。
会長は白目をむいている。
俺は、呆れて何も言えなかった。
ちょっとの間、沈黙していると、
「会長、そろそろお時間です。」
と、引き気味に、しかしはっきりとこの空気なぞお構いなしに割り込んできたやつがいた。そいつのおかげでなんとかこの空気を消すことができたわけだが。
「あのー・・・あなたは一体誰なんでしょうか?」
俺が、そいつに聞くとそいつはメガネをくいっとかけ直しながら自己紹介を始めた。
「私は、今期生徒会書記をやらしていただいている立花と申します。以後お見知りおきを。」
ぺこっとお辞儀をした。
「あ、はい。」
俺もお辞儀を返した。
何故か立花と名乗った女が俺を皆がら怪しげな笑みを浮かべていたような気もするが。
「さ、会長。」
と、立花さんが先程から植木に埋もれている会長に喋っていた。
その体勢で話しかけるのはどうかと思いますけど!?
会長は少しの間もごもごしていたがすぐに抜けて服装を整えながら、
「でわ、我々はそろそろ失礼するよ。」
と、手を振ってくれた。あの人三年だよな?
会長は立花さんに引きづられるようにしてさっていった。
少し聞こえたが、「俺はまだ零ちゃんと話したい!」とか、「さっき別れの挨拶をしたのは零ちゃんにかっこいいとこ見せたかったから!」とか、なんとも情けない声が聞こえてきた。会長・・・。
零子はとても笑っていた。そんなに面白いのか?まあ、兄妹出しな。
「おい、一兎。もう会長行っちまったぞ。」
と、俺が声をかけたが反応がない。何かぼそぼそ言っているのは聞こえるが・・・
なになに?
「う、美しい・・・会長・・・。」
はぁ!?
「おま、まさか!そんな!」
よし、俺は決めた。
“このことに関しては一切を気にしないことにしよう!”
※
という訳で、俺の部活見学はこれから。
まだはじまったばかりだ。よし。頑張るぞ!!
空はまだまだ明るく、部活動に励む声によって一層の深みをましていた。




