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裸の付き合い?

「今回の件、突然の戦闘にもかかわらず、手を貸してくれて感謝する。」

 ゼノンとカイルが頭を下げた。

「そんな、こんなところで。堅い話はよしてください。」

 キラはあわてて二人に頭を上げさせようとする。

 こんなところ、そう今三人はゼノンの屋敷自慢の温泉に入っているのだ。

 キラとカイルが疲れを取ろうと、入っていたところに、ゼノンがやってきて、一糸纏わぬ温泉で、お互いの本心を語ろうとやってきたのだ。いわゆる『裸の付き合い』とやららしい。

 キラは慌てて二人の頭を上げさせようと手を振った。

「感謝しているのは僕たちの方です。島のためとはいえ、僕らを信じて遺跡の精霊に合わせてくれて、ありがとうございました」

 そう言って、キラもまた湯船の中で頭を下げた。

「いや、俺たちはキラに感謝されることなんてないんだ」

 カイルが気まずそうに、言葉を濁した。

「俺は…いや、俺たちは、お前たちを監視して、もし赤炎島に不利益をもたらすようなら…」

「排除するよう、指令を受けていた」

 カイルの言葉を継いで、ゼノンが静かに告げた。

「すまない。お前たちを信用していなかったわけじゃないんだ」

 カイルが再び頭を下げた。

「やめてくれよ、そんなの分かってたって。僕だって、カイルたちを全面的に信用してたわけじゃなかったし、そもそも、侯爵様の命令は当たり前でしょう。皇帝がスパイを派遣しまくってる中で、僕たちみたいな身元不明で、しかも島への上陸ルールすら知らない田舎者が来たら、誰だって警戒する」

 キラの言葉に、ゼノンはわずかに口元を緩めた。

「いや、君たちがスパイではないということは、初めから分かっていた」

 キラは困惑した顔で、ゼノンを見た。

「え? どういうことですか」

「公には出回っていないが、ティア嬢のことを皇帝が探しているというのは、我々も情報を掴んでいたのだ。皇帝が己だけの力にしようとしていたから、ティア嬢の情報は秘匿され、ごく一部の人間しか知らんがな」

 ゼノンは湯船の中で腕を組み、不敵な笑みを浮かべた。

「向こうがスパイを送りつけているのだ、我々が黙って排除するだけなわけがないだろう?」

「最初から…じゃあなんで?」

「ティア嬢の力だ。今となっては君のことも脅威だが。皇帝が欲しているというだけで、彼女が並々ならぬ力を持っているとわかった」

 ゼノンは説明を続けた。

「侯爵様はその力が、島にとって有益なら利用し、有害なものなら排除すると言っておられた。島のためには非道な決断もできる方だ。皇帝から軍縮を迫られていたこのタイミングで、結界の件もあったから、君たちを利用するしかなかった。だが、侯爵様は内心、君たちを心配していたんだ」

「そうだったんですね…」

「ああ、君たちをうちで預かることになったのも、君たちの存在を外部に漏らさないという意図もあるが、同年代のカイルがいるうちの方がくつろげるだろうとの配慮もあってのことだ」

「まぁ、私というより、母上は優しいですからね」

 カイルがニヤニヤしながらゼノンに視線を向けた。ゼノンは表立ったり、面と向かって妻を褒めたりはしないが、かなりの愛妻家だ。ゼノンは耳を赤くしながら、咳払いをいて何もなかったかのように答えた。

「ともかく、そういうことだ」

「それに、今回のことで侯爵様はお前たちを支援してくれるはずだ!島を守った恩人だからな!」

 カイルが嬉しそうに付け加えた;

 キラの胸に、侯爵やカイルたちから信頼を得た喜びがじんわりと沁み渡った。


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