キラの白昼夢
隊員たちに背負われたキラは、意識が遠のき夢の中に沈んでいく。
見覚えのある優しい声が聞こえた。振り向くと、そこに立っていたのは、亡くなったはずの父だった。
「父さん…?」
父は穏やかに微笑み、キラの頭を優しく撫でた。
最後に見た父より背も、優しく撫でる手も、大きい。
キラはこれが幼い頃の自分が見ている父だと悟った。
「キラ、各地の遺跡には古からの力が宿っている。そして、それを守っているのが精霊だ。」
「精霊?父さんは見たことあるの?」
「ああ、一度だけ。…精霊は、とても人想いな存在だった。」
「へぇ、優しいの?」
キラの問いに、父は少し考え込んだ。
「優しいのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。父さんに言えることは、精霊が遺跡にいるのは、人のためだということさ。」
「そうなの?」
「そうだ。遺跡の力と精霊の心は深く繋がっている。それぞれの遺跡の特性は、精霊の心そのものと言ってもいい。もし、遺跡に異変があれば、それは精霊の心に起因することが多いだろう。」
父の言葉に、キラの頭の中に、先ほど修復した回路の光が蘇った。あの光は、精霊の心の光だったのだろうか。
「遺跡と精霊の心は、どうやって繋がっているの?」
「いいところに目をつけたな!さすが俺の息子だ!」
父は楽しそうに笑い、続けた。
「父さんは、遺跡はある種の道具だと考えている。空島の維持に必要な力を、回路を通じて供給し、そしてその回路は、精霊と繋がっているんだ。遺跡が道具なら、精霊は制御装置みたいなものだな。」
「僕たちは、虹から力を取って、光石にして使うでしょう?遺跡の力はどこからきてるの?使ってもなくならないの?」
「そうだな、そこは父さんにもまだわからないんだ。何か特別な仕掛けがあるのだろうな。」
「じゃあ僕が父さんと一緒に、調べてあげるよ!」
「ははは!お前が大きくなったら、一緒に遺跡に行こうな!」
そう言って笑う父の顔が、光の粒になって消えていく。
「父さん!」
キラは手を伸ばしたが、父の姿は既にそこになかった。キラは、夢から覚めた。




