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赤炎遺跡

 赤炎遺跡の入り口は火山の麓にあり、周りは固まった溶岩で覆われ、巨大な岩盤の亀裂から灼熱の熱気と硫黄の匂いが立ち込めている。


 ひび割れた溶岩から、赤い光が漏れ出て、遺跡の扉から溢れるエネルギーのようににも、扉を動かす力がつながっているようにも見えた。

 キラたちはあたりの熱気に汗を拭いながら、遺跡の入り口の前で待機していた。

 侯爵家の一人娘ヴェスタの到着を待っているのだ。

 遺跡の最深部には侯爵家の血筋のものがいなければ、入れない仕掛けがあるらしく、多忙な侯爵に変わり、ヴェスタが同行することになった。


「待たせたな。ゼノン。」


 浅黒い肌に、燃えるような赤い髪を一本に縛った、引き締まった体の快活そうな女性が軍用車両から降りてきた。彼女のエネルギッシュな様子にティアは気後れして、キラの背後に身を寄せた。


「本日はよろしくお願いいたします。彼らは遺跡の力の安定に協力してくれるキラ・スカイラーとティア嬢です。」


 ゼノンが礼をして、キラとティアを女性に紹介する。

 ゼノンが礼を尽くすということは彼女が侯爵令嬢のヴェスタなのだろう。

 女性がキラたちの方を向いた。


「私はヴェスタ・ヴァルカン。協力ありがとう。今日はよろしく頼む。」

「キラ・スカイラーです。彼女はティア。」

 キラは背中にくっついているティアに視線を促した。

「ティアです。よろしくお願いします。」

 ティアも戸惑いながら挨拶を交わした。


 侯爵に堂々と交渉した少女と聞いていたヴェスタはティアの様子が予想外だったようで、一瞬キョトンとした顔を見せたが、大きな口を開けて笑い出した。


「ははは!お父様と1対1で交渉したというから、どんな子かと思っていたら!ゼノン本当に彼女はお父様と話せたのか?!」

 ヴェスタの言葉に、ティアが強い口調で前に出た。

「私、侯爵様とお話ししました!私の力が役に立つって証明するチャンスをくれました!」

 その様子を見てヴェスタは一瞬笑いを止めたが、再び別の意味で愉快そうに笑った。

「なんだ、気が強いじゃないか!疑って悪かった。お父様からチャンスを引き出すなんて、どんな手を使ったんだ?」

 ヴェスタは好奇の目を輝かせ、ティアの顔を覗き込んだ。

「ヴェスタ、良い加減にしろ。」

 ヴェスタの様子に痺れを切らしたカイルが口をはさむ。侯爵令嬢にタメ口をきくカイルにキラがギョッとする。

「大丈夫だ。カイルは幼馴染でな、弟みたいなものなんだ。君たちも私のことはヴェスタと呼んでくれ。」

「え、じゃあヴェスタさん。」

 キラとティアが遠慮がちにそう呼ぶと、ヴェスタは満足そうに頷いた。

 そして、ゼノンに向き直る。

「今日私はゼノンあなたの指揮下に入る。敬語は不要だ。」

「わかりました。あなたは軍属ではありませんが…ヴェスタ・ヴァルカン、本日ゼノン・グリッドの指揮に従い行動するように。」

 ゼノンの指示に敬礼してヴェスタが応えた。


 ヴェスタはそれから、彼女の補佐官のローと護衛二人が同行することをゼノンに報告した。

 護衛の二人は軍人のようだが補佐官のローという人物は、線が細く赤炎島の人たちと雰囲気が違って見えた。


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