続きは、僕が紡ぐ。
第四章 雨降って地固まる
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その日の夜。僕は、初めて大浴場に足を踏み入れた。リフレッシュと反省。後は、肝心な明日のシナリオを組む為に。隈なく体を洗い終え、僕は広い檜風呂に肩まで浸かる。
「先ずは、反省だ……」
そもそもの勘違い。僕は、致命的な思い違いをしていた。僕の主観から見た景色と。彼女達の主観から見た景色は違う。僕は、全容を知り、創作物と言う概念があったから単なる子供騙しの絵本と割り切っていた。そして。それは二人も同じだと。思い込んでいたのだ。だから二人の熱量と僕の熱量に温度差があった。兎と亀と言う配役を勝手に割り振られ、訳も分からない内に巻き込まれた。最初は、分からなくても良かった。でも段階が進むにつれて話は変わって来る。自然と二人は、兎と亀に自分達を重ねてしまっていたのだ。その上、自分達の意思を混ぜろと言われてしまえば。
複雑さは、より増して行く。
「ほんとに気をつかえない男だよ。僕ってヤツは——」
それが分かっていたら。
もっと早くに片が付いていたかもしれない。
「だけど—— 違う」
黒幕が見たかったのは、僕達の行動そのものだ。
紆余曲折を経て一つの答えへ辿り着く。
その答えへ至るプロセスを見たかったのだ。
「まあ—— 今更、恨み言を言っても仕方が無い」
全ての小片を揃えた。後は、全てを嵌め込んで一枚の絵を完成させるだけ。
散々、面白可笑しく場をかき混ぜてくれたのだ。その意趣返しをせねば。
「二人を生かす為には——」
誰かを殺す必要がある。
でもその犠牲は、犠牲であって犠牲では無い。
何せ、本人は何とも思っていないのだから。
「胸を張って思い上がりと怠惰を演じ、負けられる者」
求められているのは、そんな都合の良い適任者だ。
「実に馬鹿らしい。そんなの最初から存在していたじゃないか」
さて、明日は存分に暴れてやろう。
僕の真骨頂を。ふざけた主催者の目に焼き付けてやらねば。
そうで無ければ。僕の気が済まない。
二人を悲しませた贖いを。見合うだけの報酬をきっちり払わせてやる。




