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第34話 帰宅

 服を着替え、両親が待っているという部屋に通される。

マルグリットが扉を開けた瞬間、私の身体がふわりと持ち上げられる。


「リリス・・・元気になったんだね。」


お父様だった。


「・・・よかった。」


お父様の背後では、お母様がため息とともに言葉をこぼす。

2人とも、私を見上げて笑みを浮かべた。


「家に帰って、ゆっくりと体を休めようか。」


「そうね、それがいいわ。」


お母様が頷き、マルグリットに向き直る。


「あなたも、ありがとう。私たちはもう帰ると校長に伝えておいてくれるかしら?」


「はい、もちろんです。」


マルグリットは大きく頷き、こちらに近づく。

私はお父様におろしてもらい、彼女と向き合った。


「ゆっくり休んでくださいね。」


「ありがとう。」


マルグリットがぎゅっと私を抱きしめる。


・・・え?


ほんの少しの間、動きが止まる。

私は自然と彼女の背中に腕を回した。


「じゃあ、また会いましょう!」


マルグリットはにこりと笑みを浮かべ、踵を返す。

私は何を言えばいいのかわからなかった。

ただただ、その背中を見つめていた。



 私の荷物を届けてもらい、お母様と手をつなぐ。

お父様は私たちの肩に手を置いた。


「それじゃあ、起動するわよ。」


お母様がそう言い、どこからか魔道具を取り出した。

そのボタンを押し、魔力を流し込む。

次の瞬間――その場に光があふれた。



 光が収まり、閉じていた目をゆっくりと開く。

瞬きをしながら周囲を見回した。


そこは、屋敷のエントランス。

正面には、アルフォンスが正面に立ち、使用人たちが整列していた。

彼ら、彼女らは一斉に頭を下げる。


「おかえりなさいませ。」


いつも通りの出迎え。

全員がどこか安心したように眉を下げ、目を細めている。

アルフォンスの後ろに立っているクレは、とにかくうれしそうに笑みを浮かべていた。


「ただいま。」


いつも通りの返事。

しかし、そこにわずかに喜びが滲んでいたことに、この時の私はまだ気づいていなかった。

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