第17話 実技試験開始
パンパンと手を叩く音が部屋に響く。
その音を聞いた瞬間、リリスとラヴィエンヌの周りにいた受験者たちは口を閉じた。
「それでは、実技試験の会場に向かいます。」
教官はそれだけ言って踵を返す。
受験者たちはお互いに顔を見合わせ、首を傾げる。
なんの説明もなかったからだ。
しかし、教官を見失ってしまっては試験が受けられないということに気がつくと、全員が慌てて部屋を飛び出したのだった。
教官の後を小走りでついていくと、筆記試験と同じ訓練場、ではなく、ドーム型の建物の中に入る。
中には、試験に使うであろう的が複数設置されており、その前には5人の教官がリリスたち受験者を待ち構えていた。
全員が動きを止め、見覚えのある、真ん中に立っている教官に視線が集まると彼女は口を開いた。
「それでは、これより実技試験を開始する。」
その言葉を合図に、後ろに立っていた教官たちが動き出し、それぞれが的の前に立った。
「実技試験の内容は、あの的に魔法で攻撃する、これだけだ。魔法の種類は問わない。自分の得意な魔法を使ってくれ。では、名前を呼ばれた者から前に出よ。」
こうして、実技試験が始まった。
今回は筆記試験の成績順のようで、リリスとラヴィエンヌが一番初めに名前を呼ばれた。
「それでは、お願いしますね。」
リリスの担当は眼鏡をかけた、優しげな教官だった。
リリスは「よろしくお願いします」と返し、的に向き直る。
とりあえず、お母様とマノンさんに言われたとおりやろう。
このときのリリスは何も知らない。
今年の試験を担当する教官が軍を引退した知り合いだと知ったセレストとマノン。
この2人が教官たちを驚かしてやろうと考えた魔法は規格外、この一言に尽きるということを。




