頼れる……頼もしさ
何はともあれ、まずは学校を終えてしまわないと。
昼まで過ごしたけれど、やっぱり今日もワンちゃんの姿は無し。今日来てくれていれば、何も心配は無かったのだけれど。
とりあえず、教室で時間を過ごす。心なしか、今日は人との会話が少ない気がした。
そんなときに、私に声をかけてくれる人が一人いた。
「ねぇ、ちょっといいかな叶恵ちゃん」
作治君だった。
「ん、なに?」
「多分知らないと思うけど、僕は昨日休んでてさ。ノートを見せてほしいんだけど」
「え、休んでたの?」
「はは、声をかけた人みんなそう言うんだよ。覚えられないのってちょっと不便だよね、ははは」
ごめん。作治君は笑っているけれど、本当に知らなかったから申し訳ない。
私は昨日の授業で使ったノートを取り出して、
「あ。数学は提出しちゃったから……」
「そっか。じゃあそれ以外はちょっと借りるよ」
受け取った作治君はすぐには自分の席に戻らず、しばし私の顔を伺って、
「どうしたの? なんだか元気なさそうだけど」
と心配そうに尋ねた。
「そ、そうかな?」
「鏡見たら自分でも分かりそうなくらいだよ」
そんなに元気無さそうな顔をしてるかなぁ……まぁ、実際に元気がないのは本当なんだけど。
「叶恵ちゃんが元気じゃないなんて……何があったの?」
「私だっていつも元気じゃないよ」
風邪を引いた記憶はないけれど。
でも、どうしようか。作治君にワンちゃんのことを言うべきかどうか、少し悩む。このみちゃんにも言っていないんだけど……。
作治君も友達で、この学校に来てからは最初にちゃんと話せた相手だ。なのに、彼の存在感が薄いせいか、すごく仲がいい友達っていう感じでもない。
そのせいか、つい口が軽くなってしまった。
「あの、ワンちゃんが……」
何があったか、彼に教えることにした。
作治君は驚いたような顔をして、
「そうだったんだ。良かったら、僕も手伝うよ」
と言ってくれた。
「本当?」
「もちろんだよ。こういうときじゃないと僕も役に立てないからね、ははは。言ってて自分で悲しくなってくるなぁ」
作治君お得意の自虐だ。
でも、作治君の提案は素直にうれしかった。
「君が心配するなんて、よっぽどだよ」
「そうかな? 私、いつも何かを心配している気がするけど」
「それを他人に漏らすのが珍しいって感じかな。いつもは自分で解決しようとして……」
「あはは、否定できないかも。でも、そんなに行動的でもないと思うけど」
「僕からすればよっぽど行動的さ」
いつだかに、作治君が私のことが変ったとかなんとか言ってたけど、彼にはそう見えていたからなのだろう。
でも、今は行動的にならなくっちゃね。ワンちゃんを探さなくちゃいけないし。
「きっとすぐに見つかるよ。きっと遠くになんて言っていないだろうから、探せばあっという間さ」
そう言って励ましてくれる作治君の言葉が、とても頼もしかった。
ども、作者です。なんとか日曜日中に間に合いました(^_^;)




