騒がしい日の……終わり?
あの後、すぐに校舎中に放送が鳴り響いて、私たちのクラスは作治君が暴力を振るってしまったために、失格扱いになってしまった。
結局、優勝したのは一階の教室の掃除用具淹れの中にずうっと隠れていた、とても臆病な人が代表者になっていた三年生のクラスで、禁止の校内暴力をしてしまった私たちのクラスは、ルールの通りにペナルティが課せられた。
そのペナルティは、カラーボールで真っ赤に汚れてしまった校舎を今日中に清掃すること。
「なんで俺様がこんなことしなくちゃいけねぇんだよぉ……」
「全くです。泥沼、バケツの水を変えて来てください」
「あいよ……って、なに俺様をパシらせようとしてんだ海鞘蕗ぃ!!!」
「適任ですから」
「……うぬ」
泥沼たちもいる。
「はぁ~~~、めんどくっさいわねぇ。アタシだって疲れてるってのに」
「まぁまぁ、ミトッチ~」
このみちゃんたちもいた。
「疲れたし」
真虎君もいる。
みんなみんな、顔中に不満の色を一杯に湛えて、清掃をしていた。
私はと言うと、実は清掃自体にはそんなに不満はなかった。
そんなことよりも、純粋におしかったなぁ、と。もうちょっとで優勝できそうだったのに。
それが、あんなことになってしまうなんて。
まさか、作治君があんなことをしてしまうなんて。
私、夢でも見ていたんじゃないかな。
だって、作治君があの利根田を一本背負いするなんて、この目で見ても未だに信じられないんだもん。あまりにも意外過ぎで。
「はぁ、泥沼、アンタでしょ、ルール破ったの」
「だから、俺様じゃあねえって言ってんだろうが!!」
このみちゃんが泥沼に文句をぶつけていた。
みんなも、作治君が暴力を振るった、だなんて思えなくて、泥沼がやったのでは、と思っている人がクラスの大多数を占めているようだった。
「じゃあ、叶恵がやったって言うのっ!? そんなわけないでしょっ!」
「だから、豊三郎が……」
「豊三郎って誰よっ!!!」
っていうか、作治君が代表者だったってこと自体、もう既に忘れられている。
泥沼、豊三郎って誰よ。いないよそんな人。もはや作治君の名前に全く被っていないし……。
「叶恵」
と、私は声をかけられた。
振り向くと、ワンちゃんがいた。
「ワンちゃん」
「おい! 大神っ! こっち手伝ってくれって!!」
「裏アニキっ! 人でが足りないんすよ~」
私が振り向くのと同時に、下中君と彼と仲が良さそうな友達が、ワンちゃんに声をかけていた。
「……ちっ。待ってろ!」
うっとしそうにしながらも、ワンちゃんは彼らを無下に扱ってはいなかった。
思わず、私は笑ってしまった。
「ワンちゃん、なんだか慕われてるね」
外で、何かあったのだろうか。
「俺は何もしてねぇ」
「このみちゃんと真虎君を助けたんじゃなかったけ?」
私は終わってからこのみちゃんに聞いたことを、ワンちゃんに聞いてみた。
すると、ワンちゃんはめんどくさそうに舌打ちをした。
「……ちっ」
きっと、照れくさいんだろうね。ワンちゃん、あんまり素直じゃないから。もうちょっと、素直になって欲しいなぁ。
あ、私も、素直にならなくっちゃいけないと思うけどね。
「……惜しかったな」
「うん。もうちょっとで優勝できそうだったからね」
……でも。
「優勝しなくても良かったかも」
「……ん?」
「だってね」
私は、廊下を見渡した。
「クラスのみんながこうやって協力しながら何かやってるの、今が初めてじゃない? 派閥とかそんなの関係なしで、みんなが一つのことを協力しながらやる。代表者の私たちや、無線機を持ってた人達だけが頑張って手にする優勝よりも、きっと、もっともっと価値のあることだと思うな」
私がそう言うと、ワンちゃんも穏やかな笑みを浮かべた。
「……そうだな」
「大神ぃ!!! 早く来てくれって~~~!!」
「うらあにき~~~~」
ワンちゃんが笑ったのと同時に、またさっきの下中君たちがワンちゃんを呼んだ。
「……ふん」
ワンちゃんは相変わらず、うっとしそうに鼻を鳴らした。
でも、その表情はただただ嫌とか、めんどくさいとか思っているだけじゃなくって、
「行ってあげなよ。私は一人で大丈夫だから」
彼らを受け入れようとしているような、余裕そうな面持ちだった。
「……分かった」
ワンちゃんが歩いていく。
ワンちゃんにも分かってもらえたみたい。
とても価値がある、この時間に。この一体感に。
変ったことが起こったけど、本当におかしな行事だったけど……。
楽しめたかな。今日、一日は。
ども、作者です。
非常にわちゃわちゃした一章分でしたね。ええ、相変わらず章分けはしていませんが(笑)。
たしか、このお話は去年の今頃だかに思いついたような、そんな気がしています。違っているかもしれませんが。いや、なにか行事らしいお話を作りたかったっていう骨組のみができていたのか、まぁ、一年前のことなのでかなりあいまいではありますが、どちらにしろそれ位の時期のお話でも書けるまできたのだな、と思うと、ちゃくちゃくと進んでいるのを感じますね。
今回のお話(章)を長々と振り返りたい気持ちもありますが簡潔に。
泥沼が結構便利だな、と気づきました。多分、それがこのお話の最大の収獲だったように思います、その収穫も速攻で処分される可能性もありますが(笑)。
さて、実はもうちょいで終わりが見えるところまで来ています。実際にプロット事態は終わりの方をどうしようかと考えている最中です。まぁ、骨組は書き出したころから決まっていましたし、もう少しで終わりと言っても、半年以上1年以上は、このペースならかかると思いますが。続きもおつきあいくださると、終わらせる甲斐があるというか、終わらせるモチベーションが高くなりますね、多分。
では、この辺りで。また次回もよろしくお願いいたします。




