作治君の・・・・・・危険?
「作治君、倒されては……いないよね?」
「もちろんだよ。この人の手下が入って来たのと同時にね、しゃがみ込んで移動していたんだ。机や椅子に隠れて移動しようとしていたんだけど、本当に気付かれないだなんて! ははは、喜んでいいのかな、悲しんだ方がいいのかなぁ……」
作治君が悲しそうな顔をする。悲しんでるじゃん。
「でも、おかげで助かったよ。凄いね、作治君」
「あはは。まぁ、叶恵ちゃんの役に立てたのなら、喜ぶことにするよ」
そう言って、彼が私の方に近づいてきた。
「彼らを倒すことはできたけど、まだ終了じゃないみたいだ」
「ってことは……」
「まだ、どこかに敵がいるのかもしれないね。二階の教室の中か、一階の教室の中か……折角だし、優勝目指して頑張ってみようか。叶恵ちゃん」
「うん」
優勝が見えてきた。泥沼も倒されちゃったけど、作治君が入れば、なんとか優勝できそうな気がする。
なんたって、利根田も倒しちゃうんだもん。
あ、でも、私だって頑張らない……と……。
「誰を、倒すことができた、ですってぇぇぇぇ?」
私は思わずその場に立ち尽くした。
作治君の背後で、立ち上がる男の姿が見えたから。
他でもない、利根田だ。
「もう何も関係ないわっ!!! アタシをこけにしてくれたアンタら殴り殺してやるわあああああ!!!」
利根田は、もうカラーボール戦争とかどうだっていいって感じで、作治君の頭めがけて、握り締めた拳を突き出す。
「あ、あぶな……」
作治君はまだ利根田に背を向けていた。
このままじゃ、作治君が危ない。
彼が気付いていないというわけじゃないだろうけど、叫ばずにはいられなかった。
だけど……。
作治君は利根田の方なんてちっとも見ないで、体を横にずらした。
「えっ?」
利根田の拳が空を突く。
それからは、あっという間の出来事だった。
作治君が利根田の腕を片手で掴んだかと思うと、もう片方の手で胸倉をつかんでいて、利根田の体が浮いた。
作治君は彼に背を向けていて、利根田を持ち上げ、柔道の背負い投げで、利根田を放り投げていたのだった。
がっしゃーん! と大きな音を立てて、利根田の巨体が整列されていた机や椅子を弾き飛ばして、床に落ちた。
「ふぅ」
作治君は涼しげな顔で、利根田を見下ろす。
「知らなかったでしょ。僕って柔道も得意なんだよ」
作治君はにこっと笑った。
「し、知ら無いも何も……あ、あんた。誰よ……あんた、みたいなやつ、アタシ、しら、ない、わよ……」
がくっ、と利根田は気絶したようだった。
私はしばらく、何も言えなかった。
作治君が、巨体の利根田をあっさりと放り投げちゃうなんて。
信じられなかった。
「あ! これって、暴力、だよね……ま、不味いなぁ。失格になっちゃうかも」
そんなとんでもないことをしでかした作治君だったけど、私の方を見た時には、自分のやったことを悔いてか、とても情けない顔をしていた。
ども、作者です。
文量一枚半。短回ですね、とっても。




