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コワモテ!  作者: リソタソ
誰がための
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102/105

私の……すべきこと!

 道の奥、多分この先も道は続いているだろうけど、私が辿り着いたところが、終着点だった。

 そこにたくさんの人がいた。真ん中が空いていて、底を取り囲むように人だかりができている。だけど一か所だけ円が途切れている場所があって、そこは道なりに真正面にあった。

 人だかりの裂け目に思い切り飛び込む。

「ワンちゃん!」

 そこにいた人達の顔が一斉に私に向いた。人だかりのチンピラの顔、全く知らない大分ガラの悪い人の顔、ガラの悪い人の正面にいた懸さんの顔、腫れや傷がついたワンちゃんの顔、そして作治君の顔。

「誰だ……」

 ざわざわと辺りがざわめく。それだけじゃなく、何人かが近づいて来ようとする。

「……止まれ」

 作治君が命令すると、周りの人達がぴたりと止まった。作治君と目が合う。

「君まできちゃうなんてね」

 にこりと笑顔を向ける。

「作治君……」

「驚いた?」

 いつもの学校で会ったときに言うような、悪戯っぽい口調。

「ううん。あんまり」

 答えると作治君の方が驚いたような顔をした。

「そりゃあ、意外だったよ……でも、驚きはないかな」

「なんで?」

「多分、今の私にとってどうでもいいことだから」

 素直に思ったことを告げる。空気がぴりっとした。それは多分、

作治君の表情から明るさが消え失せたからだろう。

「言うじゃねえか叶恵ちゃん」

 一人息を吐くように軽口を言う懸さんの声。

 作治君は振り返り、ワンちゃんを見た。

「ほら、君ばっかり……羨ましいね!!」

 作治君がワンちゃんの胸倉を掴むように手を伸ばす。一瞬どきっとしたけど、すぐに高鳴った鼓動は収まった。ワンちゃんは作治君の手を避けて、膝を作治君のお腹の辺りに打ちつけた。

 作治君はお腹に手を当てて膝をついた。

「ちっ、おいおいおいおい! くっだらねぇことで動揺しやがって……」

 ガラの悪い男が大げさに驚いた様子言い、辺りに視線を動かした。

「テメェら、そこの女をどうにかしろっ!」

 命令が辺りに響き渡る。

「何言って……叶恵ちゃん!」

 ガラの悪い男の命令の後に周りの男達の一部が、私に近づいてくる。私をどうにかしようと思っているのだろう。

 退く気はないし、退きたくもなかった。近づいてくるチンピラたちに怖気づきたくはない。すぐそこにワンちゃんがいるから。

 だけど、どうしようもないのも事実だった。

 ……どうしよう?

「姐さん! 俺らを忘れてもらっちゃ困りますぜ!」

 後ろの方から騒がしい声が聞こえてきた。

 振り返ってみると、人だかりの中に突撃してくるピアス山田とモヒカン田中がいた。しかも彼らだけじゃなくて……。

「ったく、後で連絡するって言ったじゃないの」

「このみちゃん……」

 眉間にしわを寄せてちょっと怒っているけどこのみちゃんも来ていた。このみちゃんを筆頭に、懸さんがいつも率いている仲間たちもいる。

 懸さんの仲間たちと周りにいたチンピラたちが衝突し始める。そのおかげか、私に対して迫ってくるチンピラたちはいなくなった。

「ほら、もたもたしないの? アタシらもいるんだから」

「……うん!」

 このみちゃんにも背中を押してもらえた。

 もう一度ワンちゃんの方を見て、近づく。ワンちゃんはいつの間にか寝転がされていた。多分、作治君に倒されたのだろう。

 構わずに、私はワンちゃんに聞こえるように声を上げた。

「ワンちゃん。私にはあなたがどれだけ苦しんでいるのか、何を考えているのか、どうして、どれだけ先生のことを憎んでいるのか分からないよ。私には知らないことだもん」

 だから、

「だから、教えて! 一緒に悩も、一緒に考えよ。そうしたいの、それが私のしたいことだから! 話してほしい、私、全部受け止めるから!」

「……」

「知りたいの。何も知らないワンちゃんのこと、だって私、ワンちゃんのこと好きだから!」

 自分の気持ちを、自分の思いを一つ一つ取り上げて言葉にして伝える。伝わって欲しい。周りは騒がしかったけれど、今は静かになっているように思う。

 私の言葉、私の想い、全部ワンちゃんに届いてほしい。願いながらワンちゃんの様子を見る。

 じっとあおむけで倒れていたワンちゃんが、のそりと立ち上がった。

ども、作者です。


これを含めてあと四つです。更新も終わるんですねぇ、しみじみ。

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