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侯爵令嬢の華麗なる追放劇  作者: 文字塚
第2章 侯爵令嬢の華麗なる推理劇
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28/84

第28話 侯爵令嬢は再開する

 追放、後拘束。それが私の置かれた状況だ。

 あれから二週間、陛下の指示通り騎士団の男達が代わる代わる私の下を訪れた。

 まるで乙女ゲームのようなそれには辟易したが、陛下、殿下の命令通り私にゴマをする彼らを無碍には出来なかった。彼らの役割には監視も含まれるが、こればかりは仕方ない。意識の外に追いやれば、久方ぶりの穏やかな日常を味わえるというものだ。


 事実上二ヶ月の謹慎処分を食らったと考えた私は、可愛い後輩二人と時間を過ごすことにした。先輩、友人として言わねばならないこともあったし。

 ミーシャには「胸を盛るな。自分を受け入れ見つめ直せ」と強く言い聞かせた。コンプレックスの塊みたいな盛り癖は、放置すると悪化しかねない。どれだけ盛っても盛りは盛り。いずれいい人と出逢えた時に「え、話が違う……」などと失望されたらどうするのか。先が思いやられる。


 アリスには「落書きの件よく揉み消した。褒美に飴玉をやろう」と事実飴玉をくれてやった。男爵令嬢に果たして度胸が必要か否かはともかく、引っ込み思案にも程度というものがある。見本を見せ褒めて伸ばす。私を見本とすることはいただけないが、頭を撫でるとアリスは猫のように甘えてきた。凄く男受けしそう。


 二人がどう受け取ったかはともかく私に出来ることは限られている。追放が決まった私に出来ることは、これ以上恐らくもうない。ハラルド陛下に「しばらくは気ままに過ごせ」と言われた以上、受け入れるしかないのだ。そう考えていたのに――


 私は今、旧王都「レイラノヴァ」城内の小部屋にいる。

 室内には各騎士団員とゲッツァ殿下の部下、そして王家直属の役人達が顔を並べていた。私は中央席へと導かれるよう案内され腰を下ろす。尋問か詰問される者のようなぜだか部屋の中央に配置され、皆に囲まれる形となっている。

 そしてそんな私の目の前には、


「皆さん揃ったようですね。では始めます。その前に、言うまでもなくこれは秘密会議です。情報の漏洩は決して認められない。ライン王国の存亡はあなた方の双肩にかかっていると自覚し、会議に臨んでいただきたい」


 かつての婚約者ラムダ・フィン・クラウザーその人がいた。

 なぜ私に婚約破棄を言いつけた彼がここにいるのか……。

 言うまでもなくここはゲッツァ殿下のお膝元。

 殿下の差し金というほかない。


 いやだけれど、まさかこんな形で再会し、よく分からない秘密会議とやらで顔を突き合わせるなんて思いもしなかった。しかも事実上取り囲まれた状態で。

 いつか手紙に記しますと誓った私の思いは一体なんだったのか……。


「ここにいる皆様は諜報部と呼ばれる情報の専門家。及び外交通商、戦時の機微に携わる面々。それぞれが情報を持ち合い、これより想定されるライン王国の危機を乗り越えるべく召集されました。喫緊の課題は王国内の勢力争い。続いて教会の処遇。更に殺戮勇者との向き合い方にあるとよくご存じでしょう」


 ラムダは堂に入った身振り手振りで弁を振っているが、私に一瞥すら寄越さない。お互いに対する嫌がらせ人事と殿下を恨むしかないのか。そもそも知っていたら私はここに来なかった。一方の彼はやはり泰然と振る舞い淀みなく話している。決して私と目を合わさないという一点を除いて。

 ラムダは続ける。


「私は諜報部特別調査官として、この会議において情報の分析と今後の指針を決めねばなりません。似たような組織、会議は他にも用意されているでしょう」


 なるほど、ならそちらがよかった。よりにもよってなぜここに。全く、殿下の嫌がらせには辟易する。

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