第23話 罪状
「長の話となった。では終わりとしよう」
ハラルド陛下は立ち上がり、静かに口を開いた。
「私の罪状を述べよ、エルカ・ライン・アールブルト」
威風堂々足る姿に恥じぬよう、私は一つ息をつく。
そして、
「ハラルド・ライン・ウォーシュタイン。あなたは私を裏切り続け、なんの手立ても用いずただ玉座に居座る愚か者だった。無駄に時間を浪費したその罪免れがたし。妾だらけの種馬ぶり。私の処女斬り、転生者殺しをなんの前触れもなく奪った所業も許しがたい!」
「そうか、正直すまなかった」
「急に爆破するな! 衝撃波も起きない爆破ってなんだ!」
「技術だ」
「その技術の真髄ここで吐け!」
「企業秘密だ。我々はライバルだぞ」
「上等だ……」
ライバル。私がライン王国最強の男のライバル。ある種感動すら覚えるが、
「でも技術は継承しないと」
感じたことをそのまま伝える。すると、
「断る。我が秘伝は真っ当な人物にこそ相応しい」
……あーん!? 今なんつったっ!?
「人格否定したな! 今日は父さんにも母さんにもボロクソ言われた! というかほぼ全員だ! 今に見てろ、勇者もあなたも必ず私が抜き去ってみせる!」
「その意気やよし。で、罪状は」
「色々だ!」
「よろしい。ならばどう罰する」
「追放!」
「了承した。いつ追放される」
「……ちょっと待って下さい」
ひと呼吸置きゲッツア殿下の様子を窺う。
殿下は継承問題や諸事諸々を逆算しているらしい。一頻り考えた後、
「半年」
私の顔も見ず呟いた。どこの異世界SNSだ……顔を見ろ! 顔を見せろ! 人を陰から罵るが如き条件……半年後の追放はただの転職だ!
声を大にして告げる。
「二ヶ月くれてやる。正妻に挨拶して側室の今後に触りがないようせいぜい励め! そっちの意味じゃないぞ!」
「分かっている。異国の女に会うは久しい」
「あなた人生楽しむ気ですか? 人の話聞いてたの? 私は婚約者を失ったのに!」
「切り替えろ」
「そんな秒速で切り替えられるか! 出来たら苦労しない!」
憤る私の下に、ミーシャとアリスが駆け寄って来た。
アリスは涙目で、私に同情するよう強く抱きついてくる。
ミーシャは私の頭を撫で「だから先輩は、話盛られるんです」と軽口を叩いた。全く、口の減らない可愛い後輩だ。
ゲッツア殿下まで傍に来て、
「この間ご苦労であった。さして役にも立てず、心苦しい。王族を代表し詫びる」
「……はい。全く、私は、なんの問題もありません!」
大きく元気よく、全てを受け入れた。
長い戦いが終わり、そして始まる。




