表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/40

ほころび

掌編

 

(僕は僕の世界を愛さない)


 他人がその目を通して見る世界が素晴らしくても、僕にはそれが見えるわけじゃあない。

 他人の価値観に興味なんてない。

 だけど自分の価値観で見ても美しくなんて映らない。


(僕は僕の世界を愛さない)


 僕の目で見た世界が愛しいのなら、それは自分の価値観を愛するという点で限りなく自己愛に似ている。

 自己愛など馬鹿な感情はもてない。だから僕の世界は、僕の価値観は美しく輝いたりなどしない。


(僕は僕の世界を愛さない)


 自分も他人も所詮薄汚くずる賢く周りを潰して生きてきた下劣な生き物、人間だ。

 そんな生き物を中心に回る世界など愛せるはずもない。

 すべての観念は泥ほどの価値もない。


(僕は僕の世界を愛さない)


 どんなに言葉や情景で飾ったって無駄だ、美しい世界なんてまやかしでしかない。


 たとえば君の笑顔でさえ、


(僕は僕の世界を、)


 ———君は僕の褪せきった世界に突然現れた。

 その姿は天使のようで、言葉は甘く、唱える価値観は海よりも広く深く、透き通っているようで、


(僕は…——)


 いつから、この世界が輝いているように見え始めたんだろう。

 彼女を中心に、蔓が這って花が咲き誇るように

 鮮やかに艶やかに色づいて、


 いつしか、


 この僕の世界は美しく息をしていた。

20100518

改題

原題は素材サイト様よりお借りしていました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ